「Life 天国で君と逢えたら」

公開
2007年8月25日
監督
新城毅彦 
原作
飯島夏樹 「天国で君に逢えたら」、「ガンに生かされて」
脚本
斉藤ひろし、吉田智子
音楽
吉俣良
出演
大沢たかお、伊藤美咲、袴田吉彦、真矢みき、哀川翔、川島海荷、塚本将、塚本僚、村山蒼也、石丸謙二郎、他
備考
  
物語
 プロウインドサーファー飯島夏樹は、妻・寛子と共に、ワールドカップを転戦していた。 全然勝てない夏樹はいつも資金難で、車はポンコツ、食費にも事欠き、家賃滞納で借家も追い出されてテント住まいに陥る有様。
 オーストラリア大会で、転機が訪れた。 先輩ウインドサーファー・藤堂のアドバイスを得て風と波に乗った夏樹は、初優勝を果たす。 その後の大会でも快進撃を続けて、貧乏暮らしから抜け出した夏樹は、藤堂夫妻やウインド仲間の篠田達に祝福されて寛子とようやく結婚式を挙げ、 小夏、ヒロ、吾郎、タマキ4人の子供に恵まれ、ハワイに家を買い、幸せな日々を送る。
 だが、長女・小夏が10歳になる頃、暗雲が立ちこめる。 夏樹は以前のようにレースで勝てなくなり、小夏は不在の多い父に反発するようになっていた。 雨の日、家出した小夏を公園でみつけた夏樹は、倒れてしまう・・・・。
 日本の病院で検査を受けた夏樹に下された診断は、肝細胞ガンだった。 治療のために、寛子と4人の子供達共々日本に居を移して、夏樹の闘病生活が始まった。 手術は成功し、化学療法に取り組むも、夏樹の病状は好転せず、頻繁に入退院を繰り返す。 家に閉じこもって無為に過ごし、ついには精神をも蝕まれた夏樹は、パニック障害になる。
 寛子は、主治医から、夏樹の余命は3ヶ月と宣告された。 それでも夏樹を支えていこうとする思いを、寛子は小夏に語る。
 ある日、寛子が夏樹を強引に海へ連れ出した。 水辺では、小夏がウインドサーフィンに乗ろうと格闘していた。 ウインドサーフィンに乗れるようになって、父・夏樹に見せようという小夏の思いを知り、夏樹は目が覚めた。
 夏樹は、残された日々を、有為に過ごす決心をした。 「(余命は)冬が越せないなら、冬の無い所に行こう」と、家族6人でハワイに移住して、著述に生き甲斐を見出す。 電子メールや手紙で励ましてくれるファン、見守ってくれる仲間、支えてくれる家族・・・・生かされていることに感謝しながら、最期の時まで・・・・・・・・・・。
一言
 主人公がガンに冒され、亡くなってしまう映画ですが、見終えた後に、湿っぽさは全く感じませんでした。
 プロウインドサーファーが主人公ながら、ウインドサーフィンのシーンは多くはありません。 これは、ウインドサーファーの人生の物語ではなく、彼とその妻と子供達、家族の物語であるということなのでしょう。
 前半で印象的なのは、貧しい食卓のシーン。 〜寛子が冷蔵庫を開けると2個の卵とわずかな野菜しかなく、レースのことを考えていた夏樹が差し出された料理を見ると、 夏樹の皿に卵2個分の目玉焼きが載っていて、寛子の皿には野菜とパンしか載っていない。 それに気が付いた夏樹は、ただ両手を合わせて食べ始める。〜 この間、台詞はありません。 無言のまま繋がれたカットから、貧乏を強いられても夢を追う夫を気遣う妻と、その妻に感謝して夢を追う夫の姿がくっきりと浮かび上がっていました。
 後半で印象的だったのは、生活費の心配をする夏樹と寛子の会話。 寛子は、今は大丈夫だと答え、「子供達には早くから苦労させた方がいいのよ」と、さらりと答え、夏樹は笑って応じます。 「世界貧乏ドサ回り」時代から苦楽を共にしてきた夫婦の、強い絆が感じられました。
 飯島夏樹とその家族の十数年を2時間に凝縮した映画が終わった後に、心に残ったのは、素敵な家族の姿と、ハワイの美しい風景でした。



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