「ラフ」

公開
2006年8月26日
監督
大谷健太郎
原作
あだち充
脚本
金子ありさ
音楽
服部隆之
出演
長澤まさみ、速見もこみち、阿部力、市川由衣、石田卓也、高橋真唯、森廉、安藤なつ、黒瀬真奈美、池澤あやか、増本裕子、 森下能幸、田中要次、八嶋智人、田丸麻紀、徳井優、松重豊、渡辺えり子、他
備考
  
物語
 二ノ宮亜美と大和圭介が、栄泉高校に入学、他の入学生共々、上鷺寮での生活が始まった。 亜美と圭介は共に水泳部で、亜美は高飛び込み、圭介は競泳自由形の選手。 亜美が最初に圭介に投げた言葉は、「ひとごろし」・・・・! 2人の実家は同じ和菓子屋で、商売敵。 亜美の祖父は、圭介の祖父との競争に負けて身体を壊し、「大和に殺された」と言って亡くなっていたのである。
 亜美には、「お兄ちゃん」と慕う仲西弘樹がいた。 潰れかけた二ノ宮家を仲西家が救って以来のつきあい。 その仲西は早海大学に在籍し、競泳自由形の日本記録保持者で、圭介にとって憧れであり目標でもある男だった。
 高一の夏、圭介は日本選手権で2位になるが、優勝者は仲西だった。
 その夏、上鷺寮の面々が海に遊びに行った時、亜美が事故でおぼれてしまった。 相次いで海に飛び込んだ圭介と仲西。 先にたどり着いて亜美を砂浜に運び、人工呼吸して助けたのは、仲西だった。 “やはり、かなわない”・・・・圭介は敗北感を味わった。
 栄泉高校のプールでは、競泳選手も高飛び込み選手も、練習に励んだ。 圭介も、記録を伸ばして行く。
 亜美と圭介、高2の夏。日本選手権で、圭介は優勝した。 ただし、仲西のいないレースで。 仲西は、一緒に会場に行くため亜美を迎えに行く途中、交通事故で重傷を負っていたのである。
 選手生命の危機にさらさるほどの傷を負って入院する仲西に、亜美は付き添った。 亜美が、自分の練習もせずに仲西に献身的に付き沿う一方で、圭介は懸命に練習していた。
 翌年。学生選手権で、仲西が優勝し、復活を遂げる。 大きな手術痕を背負った天才は、必死だった。 競泳においても、亜美に関しても、追い上げてくる圭介をはっきり意識して。
 亜美と圭介、高3の夏の日本選手権が近付いた。 祖父の代からの敵(?)として出会った2人は、もう今では惹かれ合っていた。 高飛び込みのエース・小柳かおりの好意を、圭介は拒んだ。 亜美はといえば、仲西のことがあり、揺れていた。
 日本選手権の日の朝。 亜美は、学校のプールの高飛び込み台で、迷っていた。 そこへやってきたかおりと会話して、心を決めて、一緒に飛び込む。
 日本選手権会場。 仲西が亜美から預かったカセットテープを、圭介に渡した。 圭介はいつもレース前に歌を聴いているヘッドホンステレオで再生しようとしたが、何故か動かず、そのままレースに臨む。 圭介と仲西の決着をつける、レースが始まった。 不思議なことにあのカセットテープが回り始めた頃、圭介と仲西は、水の中で、激しく競い合っていた・・・・・・・・・・・。
一言
 原作は読んでいないのですが、ストーリーはもちろん、キャラクターも、作品世界の雰囲気も、原作のそれを損なっていないに違いないと思える作品でした。 特に、ギャグシーンを織り交ぜるだけでなく、あだち充作品独特の“間”を実写作品で実現しながら、主人公達3年間の出来事を2時間弱でまとめ上げたのは、見事です。 (脇役達は脇役に徹していますが。)
 主人公達が水泳部員であるので、水泳シーンの占める位置が大きいのですが、特に競泳のシーン(練習も試合も)はスピード感が抜群で、それがまたテンポの良さに繋がっています。
 上鷺寮の管理人の娘・東海林緑役は、第6回東宝シンデレラに選ばれたばかりの黒瀬真奈美。 登場シーンも台詞も少ない、顔見せ的出演ながら、この映画は東宝シンデレラのデビュー作として遜色ないと言っていいでしょう。
 東宝シンデレラといえば、第5回が、主役の一人である長澤まさみ。 昨年公開の「タッチ」の浅倉南に続いて、あだち充作品のヒロインを演じているのですが、彼女が演じる南と亜美に“どこか似た感”を覚えることはなく、よく演じ分けていると感じました。 映画出演11作品目の先輩シンデレラは、いい貫禄が出てきたようです。



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