| 公開 |
2004年5月8日 |
| 監督 |
行定勲 |
| 原作 |
片山恭一 |
| 脚本 |
行定勲、坂元祐二、伊藤ちひろ |
| 音楽 |
めいなCo. |
出演 |
大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來、山崎努、天海祐希、杉本哲太、宮藤官九郎、津田寛二、近藤芳正、木内みどり、田中美里、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
結婚を間近に控えた松本朔太郎の婚約者・律子は、引っ越しのために荷物を整理していて、小さくなったカーディガンのポケットから1本のカセットテープをみつけた。
ウォークマンを買って、カセットテープを再生した律子は、涙を流す。そして彼女は、書き置きを残して姿を消した。
偶然、台風29号接近のニュース映像で、高松空港に律子がいるのを見た朔太郎は、律子を追って香川県に飛んだ。
そこは、朔太郎の故郷であり、そして、高校時代の、初恋の人・広瀬亜紀との思い出が眠る場所でもある。
実家に残っていたカセットテープとウォークマンを持ち出して、朔太郎は、追憶の中に入って行った。
1986年。高校2年生の夏。
学校に禁じられているスクーターに乗っていたサク(朔太郎)の前に、優等生のアキ(亜紀)が現れ、何故か2人乗りで走ることに。
訳が分からないサクに、アキは言った。「サクと話したかったから。」これが2人の恋の始まりだった。
アキの提案で、葉書が読まれればウォークマンがプレゼントされるラジオの深夜番組に、2人は競争で投稿。
サクの葉書が先に読まれたが、その内容は、アキをモデルに、女の子が白血病にかかって髪が全て抜け落ちて〜という、作り話。
アキは病気の人の気持ちを考えたのかと非難、サクはしゅんとなるが、アキは許す。
そして、またアキの提案で、賞品のウォークマンを使って、声の交換日記が始まった。
サクはカセットテープに、改めて、つき合って欲しいと吹き込み、アキは笑顔で答えた。「いいよ。」
それからサクとアキは、純粋で充実した時間を過ごした。
夏休みの終わり、サクの親友・大木龍之介の計らい(?)で、サクとアキは、無人島・夢島に2人きりの1泊旅行をすることになる。
その帰りの日。モーターボートで迎えに来た龍之介とサクの見ている前で、アキが倒れた!
アキは、入院生活を送ることになった。病名は、白血病。
それでもアキは明るく振る舞い、サクの気持ちも変わることなく、声の交換日記も続いた。
アキの吹き込んだカセットテープは、同じ病院に入院している患者の娘・小学生のりっちゃんが、学校のサクの下駄箱に届けて。
アキが白血病になったのは、ラジオ番組に投稿した葉書のせいだと自分を責めてサクは、別の作り話を送り、番組で読まれた。
白血病の女の子は、その後奇跡的に回復して、前よりもずっと元気になったという、サクの願いを込めた作り話。
だが、アキの病状は悪化するばかりだった。
夢島で拾ったフィルムを現像すると、写っていたのはオーストラリア、ウルルの風景だった。
世界の中心・ウルルにいつか行きたいと願うアキ。連れて行きたいと思うサク。
2人は、重じいの写真館にパスポート用の写真を撮りに行った。
そこでアキは忘れられることが恐いと口にし、サクと2人の写真を撮った。ウエディングドレスのアキと、タキシードのサクの。
アキの病状は、無菌室に入るほどになり、頭髪も全て抜け落ちた。
なおも生きようとするが、体力が落ちて行くアキ。
サクは、彼女のためにしてあげられることを考え、オーストラリアに行こうと、カセットテープに吹き込んだ。
サクのカセットテープを聴いて、身支度して待っていたアキを、サクは病室から連れ出し、タクシーで高松空港に向かった。
だが、台風29号の接近による荒天で、東京行きの飛行機は欠航になってしまった。
そして、アキが倒れた。自分には「次」は無いと呟いて、意識を失うアキと、助けを求めて叫ぶサク・・・・。
10月28日、アキは自分の誕生日に、サクに“最後のメッセージ”を吹き込んで、いつものようにりっちゃんに託した。
だがりっちゃんは、カセットテープをサクに届ける前に、自動車にはねられてしまう・・・・。
そして、アキは亡くなった。
街を歩いている内に雨に降られ、重じいの写真館の前で雨宿りして、中に招き入れられた律子は、飾られている写真に釘付けになった。
それは、サクとアキが新郎新婦姿で写された写真。重じいの話で、律子は、写真の少女=アキが撮影後間もなく亡くなったことを知った。
そして、そこに写真の少年=アキの交際相手が、朔太郎だったことを。
アキのカセットテープを預かっていたりっちゃんは、幼少時の律子だった。
朔太郎の携帯電話が鳴った。相手は律子。居場所を知って重じいの写真館に駆けつけた時には、律子は去った後だった。
律子が預けて行ったカセットテープを受け取った朔太郎は、高松空港に向かった。
17年前のあの日と同じように、台風29号で東京便が欠航した空港で、朔太郎は律子をみつけた。
律子は、失踪の理由を語った。カセットテープを、渡すべき相手に届けたかったのだと。
遠回りして、亜紀の最後のメッセージは、やっと朔太郎の手に渡った。
今を生きる朔太郎と律子は、今日飛行機が飛ばなくても、次がある。
2人は、17年前の「約束の場所」、オーストラリアのウルルに向かった・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
宣伝用チラシや予告編映像等でほとんどストーリーが分かってしまってうくらいでありながら、それで面白さが損なわれるような映画ではありませんでした。
形式上の主演は朔太郎を演じる大沢たかおであり、形式上のヒロインは律子を演じる柴咲コウですが、追憶の中のヒロイン・アキ(亜紀)を演じる長澤まさみの演技が最高に光っています。
前半は、明朗で爽やかな少女。
教室で、ウォークマンでサクのカセットテープを聴き、「いいよ」と答えるシーンの、アキのほのかな笑顔は、とても幸せな、最高の笑顔です。
一方で、後半の、不治の病に侵された姿!
白血病で頭髪が抜け落ちた姿を演じるために、本当に頭髪を全て剃った頭。
メイクでそう見せるのではなく、真実、髪が無いために小さく見える頭。
17歳の少女の痛々しさが、スクリーンからひしひしと押し寄せて、静かな映像でありながら、ただならぬ迫力を発していました。
又、正真正銘頭髪を無くした頭は、その形、その皮膚感、デコボコのある有り様に、死に行きつつあるとはいえまだ生きている亜紀の「生」を感じました。
ところで。亜紀を亡くした後、華やぐべき青春の時間が止まってしまった朔太郎は、どういう人生を送っていたのでしょうか。
「現在」の朔太郎は、友人の紹介で交際した女性と婚約していて、一応“普通”に生きていることがうかがわれます。
しかし、その婚約相手のことを、どれだけ見ていたのか?どれだけ理解していた、あるいはどれだけ理解しようとしていたのか?
朔太郎の婚約者・律子が足を引きずっていたのは、子供の頃の交通事故の後遺症であることが示唆されています。
もし朔太郎が、律子の足の障害の原因を訊いたことがあれば、律子はあの事故のことを話していただろうし、その際には当然、あの時あの場所にいた理由に触れ、
“母が入院していた病院でかわいがってくれていたお姉さん”のことも語っていたでしょう。
しかし、朔太郎は訊かなかったようで、つまり、現在の婚約者である律子と、きちんと向き合っていなかった、ということになります。
アキの最後のカセットテープを聴いて、朔太郎の止まっていた時間が動いて、ようやく朔太郎と律子は、本当に二人の人生を歩くことが出来るようになったと言えると思います。
恋人の片方が、主人公の故郷に飛んでしまい、残された片方が追って来て、故郷を舞台に物語が進み、最後に、初めて本当にお互いを理解し合う・・という映画、といえば、
4ヶ月前に公開されたばかりの、同じ大沢たかお主演作である「解夏」と似てしまった分、新鮮みを欠いてしまったのが、少し残念なところです。
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