| 公開 |
2008年1月19日 |
| 監督 |
フランソワ・ジラール |
| 原作 |
アレッサンドロ・バリッコ |
| 脚本 |
フランソワ・ジラール、マイケル・ゴールディング |
| 音楽 |
坂本龍一 |
出演 |
マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、芦名星、役所広司、中谷美紀、アルフレッド・モリーナ、国村隼、マーク・レンドール、
本郷奏多、ケネス・ウェルシュ、カラム・キース・レニー、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
19世紀のフランス。軍隊の休暇で故郷に帰ったエルヴェが、美しい女性エレーヌと出会った時から、この物語は始まった。
ヨーロッパ中の蚕が、病気で壊滅的な状態に陥った。
製紙工場を営む実業家のバルダビューは、市長の息子であるエルヴェに、アフリカへ行って健康な蚕の卵を手に入れるよう要請した。
エルヴェはこの役目を果たし、報酬を得て、エレーヌと結婚する。
しかし、アフリカの蚕の卵も罹患していた。
バルダビューは、再びエルヴェに、最高の絹糸を吐く蚕の卵を求めて、日本へ行くことを求めた。
エルヴェは、東方へ旅立つ。
馬車、鉄道、ソリと乗り継いでウラジオストックに到達し、日本の案内人の船で酒田に渡り、最上川を遡って山形、
さらに信濃の山を越えて、エルヴェは目的の村に着いた。
そこは、闇の商取引を仕切る原十兵衛が支配する、雪深い村だった。
十兵衛の若い妻である、美しい肌の少女と出会ったエルヴェは、言葉一つ交わすことなく、ひかれ合う。
蚕の卵を買い付けて、エルヴェは帰国した。
エルヴェが持ち帰った卵は、素晴らしい絹糸を生み出し、製紙工場が稼働を再開して、村は大いに潤った。
エルヴェは、バルダビューから得た報酬を使って、ユリの花が好きなエレーヌのために、庭園を造る土地を買い、妻に贈るのだった。
子供が出来ないことを嘆くエレーヌを残して、エルヴェはまた、日本へ蚕の卵の買い付けに旅立つ。
大陸を横断し、海を渡り、十兵衛の村に着いたエルヴェは、歓待を受ける。
あの少女は、エルヴェにこっそり付け文を渡したが、翌日、十兵衛が少女を連れて村から出かけてしまった。
エルヴェは、目的の卵を手に、帰国する。
少女の書いた日本語が読めないエルヴェは、バルダビューが紹介状を訳してもらった人物マダム・ブランシェを訪ねた。
マダム・ブランシェは、エルヴェの見せた付け文を、訳してくれた。〜帰ってこなければ、死にます〜
その頃、日本は内戦状態に陥っているという情報が入っていた。
他に蚕の卵の供給源も現れ、危険を冒してまで日本に行く必要は無くなっていたが、少女のことが気になるエルヴェは、周囲の反対を押し切るように、三度当方へ向かった。
エルヴェが着いた時、三度目の雪深い村は、様変わりしていた。
戦場になったのか、家屋は焼け、死体が放置された村・・・・。
エルヴェは馬を走らせ、村から離れる十兵衛の一行に追いついたものの、妻である少女との関係を知っていた十兵衛に追い返される。
少女には会えず、蚕の卵を他のルートで入手して、エルヴェは日本を離れた。
今回、入手に手間取ったために帰国が遅れ、エルヴェが持ち帰った蚕の卵は、途中でかえってしまっていた。
村の製紙工場は操業出来なくなり、村人達は困窮を極める。
エルヴェは、エレーヌの庭園造りのために村人を雇い、賃金を与えた。
ある日、日本語の手紙がエルヴェに届く。エルヴェは再びマダム・ブランシェを頼り、手紙を訳してもらう。
長文の手紙は恋文だったが、「あなたの幸せのためなら、ためらわずに私を忘れて」、そして「さようなら」と締めくくられていた。
数年が過ぎた。スエズ運河が開通して、日本への旅は、エルヴェが行った時のような命がけのものではなくなった。
さらに数年が流れ、エルヴェとエレーヌは、子供が出来ないことを受け入れ、穏やかに暮らしていた。
やがて、エレーヌの体が弱り、死んでしまった。
妻の死に、悲しみに暮れるエルヴェ。
彼は、何年も前の長い日本語の手紙を持って、マダム・ブランシェを訪ねた。
そして、その手紙の真実を知る・・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
冒頭、主人公エルヴェの声が振り返るように始まって(この、エルヴェのナレーション形式は、終盤まで続く)、いつ、誰に語っているのだろう、
と思ったら、最後に納得しました。
これは、エルヴェの、後悔混じりの半生の回想物語です。
淡々と語られたフランス人の男と、その妻と、はるか遠い日本の少女の関係は、「手紙」に結実するのですが、この手紙がエルヴェに届いた時、
「どうやって?」と不思議に思いました。少女が、どうやって遠い異国の男に手紙を送ることが出来たのか、と。
最後に、この手紙にからくりがあったことが明らかになり、疑問は解けました。
しかし次の問題は、この手紙はどの立場で(どういう目的で)書かれたのかということです。
一見、これは、少女が綴った別れの手紙です。
でも“からくり”があって、そうではないことをエルヴェは知ります。
では、この“からくり”に込められた思いは、少女に仮託して別れを告げるものだったのか?
“からくり”があることにエルヴェが気付かなかったら、結局少女が綴った別れの手紙に過ぎない訳だし、手紙が届いた次点では、単にエルヴェに少女への思いを諦めさせるものに過ぎないのです。
核心に関わる部分で、得心出来ないことが残ってしまいました。
全体的には、とても落ち着いた、叙情的な作品で、坂本龍一の音楽が叙情性を一層高めていると思います。
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