| 公開 |
2006年6月17日 |
| 監督 |
小泉徳宏 |
原作 脚本 |
坂本賢治 |
| 音楽 |
椎名KAY太 |
出演 |
YUI、塚本高史、岸谷五朗、麻木久仁子、通山愛里、山崎一、田中聡元、小柳友、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
16歳の少女・雨宮薫は、レストランを営む父・謙と母・由紀と一緒に住む高台の家の、2階の窓から、夜明け前に、サーフボードをバイクに積んでバス停で友人と待ち合わせをする少年・藤代孝治を見るのが楽しみだった。
薫は、XP(色素性乾皮症)患者で、太陽の光を浴びることが出来ない。学校にも行けず、友達は親友の松前美咲と、歌だけ。
暗くなると起きて、駅前でギターの弾き語りをし、夜明け前には帰宅して、窓から孝治を見てから眠りにつく生活をしていた。
ある日、美咲を観客にいつものように駅前で歌っている時に、孝治が歩いて行くのをみた薫は、思わず駆けだして追いかけて、突然の告白を始めた。
追い付いた美咲は、唖然とする孝治を置いて、薫を引っ張って去る。
後日、薫が、夜明け前に帰宅する途中、あのバス停のベンチに座ってギターを弾いていると、孝治が現れた。
ぎこちなく言葉を交わす二人。薫はいつも駅前で歌っていると言い、孝治は今度聴きに行くと約束した。
孝治が薫の路上ライブを聴きに行った時、運悪くいつもの場所は他の路上ミュージシャンに使われていて、薫は立ち尽くしていた。
その彼女を、孝治は、バイクに乗せて横浜に連れて行く。
横浜の広場で、薫はギターを弾き、歌う。孝治は、薫を囲むたくさんの人達と一緒に、彼女の歌を聴いていた。
それから町に戻り、海辺で、孝治は薫に、交際を申し込む。
だがその時、夜明けが近付いていていることを知った薫は、取り乱して家へと走り出した。
訳の分からない孝治は、とにかくバイクに薫を乗せて、家まで送る。
薫が玄関に飛び込んだのは、昇った太陽の光線が町を照らし始めた時だった。
薫の両親と一緒に薫を捜していた美咲は、孝治に言い放つ。「あんた、薫を殺す気!?」
・・・・孝治は、薫の病気のことを知った。
やはり、病気のせいで、人を好きになることも出来ない・・薫は落胆し、歌うこともやめてしまった。
孝治はといえば、サーフボードを売ってしまい、アルバイトに精を出していた。
そして父・謙は、美咲に、自分が孝治に会ったら薫は怒るだろうかと相談を・・。
ある日、日没後に食事をしに1階に下りた薫は、両親だけでなく、美咲と、孝治までいることに驚いた。
謙が、孝治を招いたのだった。5人で囲む、何とも不思議な空気の食卓。
孝治は、薫に、インターネットでみつけた資料を見せた。
薫の歌をCDにしないか、その費用20万円を作るためにアルバイトをしている、と。
それから、夜になると孝治は薫に会いに来た。薫は、レコーディングに向けて、練習に励む。
だが、薫の病気は進行していた。
神経障害の症状が現れて、ギターを弾くことが出来なくなってしまったのである。
それでも薫は、諦めなかった。〜手は動かなくても、声は出る、歌える。〜
レコーディングの日が来た。
初めてのレコーディングスタジオに一人入った薫は、演奏してくれるバンドのメンバーに良い曲だ誉められた、自作の歌を歌った。
スタジオの外では、孝治が、薫の両親と美咲に、薫のCDを売り込むと宣言していた。
さらに日が過ぎた海辺。サーフィンをする孝治を、両親に付き添われた薫が見ていた。
着るのを嫌がっていた防護服を身につけて、車椅子に座って。
思わず防護服なんか脱ぎ捨てて走り回れと口走った父に、薫は、そんなことをしたら死んでしまうと答える。
そしてキッパリと言うのだった。「私、死ぬまで生きるって決めたんだから。生きて生きて、生きまくるんだから。」
それから間もなく・・・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
治療方法の無い病気に冒されて、若くして命を奪われるヒロインの、最期の数ヶ月間の物語。
病気の描写は控えめですが、薫が孝治との初めてのデートを打ち切って死にものぐるいで家に走るシーンは、生命に欠かせないものである筈の太陽の光が、
XP患者にとっては殺人光線であることが、恐ろしいほどに伝わってきました。
その恐怖の太陽光線を避けて、昼夜逆転の生活を強いられたヒロインが、如何に生きたかを中心に描かれている訳ですが、
ずっと彼女の支えになってきたのは限られた人(両親とたった一人の親友)と、歌。
そして、彼女の人生の最期を輝かせるきっかけになったのは、孝治との出会いでした。
(さらに、孝治がいたから、薫がいなくなった後も薫の歌=薫の思い、薫が生きた証が残された。)
たとえ短くても、人生を輝かせるのに必要なのは、生きることに前向きな姿勢と、打ち込むことの出来る何かであると、雨宮薫の最期の日々は語っています。
ヒロイン・薫を演じたのは、女優ではなく、シンガーソングライターのYUI。
歌が重要な要素であるこの作品で、この起用は効いていて、スクリーンの中のYUIは、確かに雨宮薫の存在感でした。
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