| 公開 |
2007年10月27日 |
| 監督 |
ニール・ジョーダン |
| 脚本 |
ロデリック・テイラー、ブルース・A・テイラー |
| 音楽 |
ダリオ・マリアネリ |
出演 |
ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナビーン・アンドリュース、ニッキー・カット、メアリー・スティーンバージェン、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
ニューヨークでラジオのパーソナリティーを務めるエリカ・ベインは、デイビッド・キルマーニとの結婚を間近に控えていたが、その幸せは打ち砕かれた。
2人で愛犬カーティスの散歩をしていた夜の公園で、3人組の暴漢に襲われたのである。
意識不明の重体で病院に運ばれたたエリカが3週間ぶりに意識を取り戻した時、婚約者・デイビットは既に亡くなり、葬儀も済まされた後だった。
退院して、帰宅しても、事件のフラッシュバックに苦しむエリカ。
捜査状況を聞きに警察署を訪れても、警察官は親身に取り合ってくれない。
衝動的に銃を求めたエリカは、非合法に一丁のオートマチック拳銃を買った。
夜のコンビニエンスストアで、夫が妻である店員を撃ち殺す場に居合わせてしまったエリカは、銃口を向けられた時、初めて人に向けて引き金を引いた。
妻を殺した男は即死、エリカは防犯ビデオの録画テープを抜き取って、その場を去った。
自分のしたことに、というよりは、男を撃ち殺す時に手が震えなかったことにおののくエリカだったが・・・・この時から、彼女の中で何かが変わった。
エリカが二度目に引き金を引いたのは、夜の地下鉄だった。
恐喝をはたらく2人組に、他の乗客は停車した駅で逃げ出したが、エリカは無表情に座っていた。
そして2人組にナイフを向けられた時、何のためらいもないかのように彼らを射殺し、エリカは次の駅で降りた。
地下鉄の事件の現場検証中、担当刑事のショーン・マーサーは、取り巻く群衆の中に、エリカの姿をみつけて声をかける。
エリカはとっさにインタビューを申し込むが、マーサーは拒否した。
しかし後日、ラジオ局にマーサーがやって来て、エリカの取材を受け入れた。
マーサーは、エリカの番組のリスナーであり、彼女が事件に遭い瀕死の重傷を負ったことも知っていた。
エリカの質問に、マーサーは法律を守る立場の刑事として誠実に答え、又、3年追っている悪党のことを話す。
エリカは彼に感銘を覚え、以後、2人は時々直接会ったり、電話で話すようになる。
少女を監禁して売春させている男に会った時、エリカは三度目の殺人をした。
しかし、助けようとした少女は、エリカが撃った男の車に轢かれて、大怪我をしてしまう・・・・。
エリカの起こした3つの殺人事件は、金品目的ではなく、犯罪者を殺害したもの。
警察は同一犯の犯行として捜査する一方、世間は、「犯罪者に制裁を加える処刑人」をもてはやす。
エリカの番組にもリスナーの声が寄せられるが、賛否両論、中には自分が処刑人だと言い出す者も!
エリカは、自首するつもりで警察署に赴くが、緊張感の無い応対に決心が砕け、そのまま帰った。
直前にマーサーに電話して、エリカは第四の犯行に及んだ。
マーサーが3年追っていた悪党を襲ったのである。バールで反撃されて腕を負傷したが、悪党は仕留めた。
捜査に当たる、マーサー。
法を守る限り手を出せなかった悪党を、正体不明の処刑人が葬った・・・・。
現場のビルでマーサーは、エレベーターの音に聞き覚えがあることに気付いた。
エリカとデイビットが襲われた事件の容疑者がみつかった。
マーサーから連絡を受けて、面通しに臨んだエリカは、犯人ではないと証言する。
だがエリカは、嘘をついていた。
デイビットを殺し、自分をも殺しかけた男達に、自ら復讐するつもりだったのだ。
3人組の居場所を突き止め、殺意を持って向かうエリカ。
一方、エリカがしようとしていることを察知したマーサーも、その場所に向かう・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
キャッチコピーは「許せますか、彼女の“選択”」。
人殺しの方法を手に入れた主人公が犯罪者を処刑する映画といえば、昨年2部作で公開された「デスノート」を連想します。
「デスノート」の主人公・夜神月が手に入れたのは“死神のノート”で、同じ金子修助監督作品の「クロスファイア」(2000年)で
主人公・青木淳子が犯罪者の制裁に使ったのはパイロキネシス。
同じ犯罪者への私的制裁でも、手段が、日本では超常的な力であるのに対し、アメリカでは銃になるようで。
しかし、アメリカではありふれている銃が手段になることは、フィクションである映画に現実味を与えている気がします。
婚約者を殺されると同時に自らも重傷を負った犯罪被害者のエリカが、事件のフラッシュバックに怯え、警察を信用出来ずに非合法の銃に手を出し、
自らにかかる火の粉を振り払うように初めて引き金を引き、次には遭遇した犯罪者をためらわず撃ち、殺すべき犯罪者を捜し、
“仇”を警察がみつけてもあえて私的制裁に走るに至る過程がね巧く描かれています。
エリカの対局にいるのが、法に従順な正義の守護者・マーサー刑事。
親しい人が犯罪者だと分かっても逮捕出来る刑事であろうとしてきた彼が、親しくなったエリカが噂の“処刑人”であると気が付いたことによる葛藤は
あまり描かれておらず、説明的になり過ぎないとう点は良いのですが、最後の行動に至った彼の思考と心情に踏み込まれていないのは惜しいところ。
さて、犯罪者を殺すために自ら殺人を犯した「彼女の選択」を、許せるのかどうか。
夜神月(「デスノート」)や青木淳子(「クロスファイア」)は、そうなるべき結末を迎えていますが、エリカの場合は少し違います。
この映画の結末に、納得出来る人は(少なくとも日本人には)少ないのではないでしょうか。
ただし、納得させずに考えさせるところが、この映画の神髄だと思われます。
ところで、改めてこの映画の題名を見ると、「ブレイブ ワン」(原題「THE BRAVE ONE」)=勇気ある者。
この映画は、暴力を封じるために暴力に頼ることに、肯定的であるのでしょうか。
ただ、エリカもマーサーも、非常に苦悩していました。
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