「築地魚河岸三代目」

公開
2008年6月7日
監督
松原信吾
原作
はしもとみつお、鍋島雅治
脚本
安倍照雄
音楽
本多俊之
出演
大沢たかお、田中麗奈、伊東四朗、伊原剛志、森口瑶子、柄本明、マギー、荒川良良、江口のりこ、温水洋一、峯村リエ、佐野史郎、 大杉蓮、森下愛子、鈴木一真、六平直正、他
備考
  
物語
 東京の大手商社に勤める赤木旬太郎は、漆原常務に人事課長に抜擢され、恋人・鏑木明日香との結婚を考え、順風満帆の人生にある・・・・かに見えた。 しかし、常務の私用には嫌気が差し、大規模な早期退職計画を任されて、楽しくない。
 ある日、デパートで装飾の仕事をしている筈の明日香が、早朝の街を自転車で走るのを見かけて、旬太郎はあとをつける。 行き先は、築地の魚河岸だった。 明日香は、築地の仲卸・魚辰の二代目である父・徳三郎が膝の手術のため入院し、代わりに店を手伝っているのだと明かす。 本業と店の手伝いで疲れている明日香を休ませたい一心で、旬太郎は出勤前の時間、魚辰の手伝いを強引に買って出た。
 玄人が真剣勝負をしている魚河岸で、素人の旬太郎が通用する筈もない。 旬太郎は自腹で魚を買って、人並み外れた繊細な味覚を持つ自分の舌で味を覚える努力をする。 又、厳しさの中に優しさがのぞく、築地の人達が、旬太郎は好きになっていった。
 漆原常務に迫られて、恩のある元上司・金谷に退職を決めさせた旬太郎。 末期ガンの妻と共に信州で静かに暮らすことにした金谷から、「幸せとは、自分の気持ちに嘘をつかずに生きること」と聞いて、旬太郎は決心した。  漆原常務に辞表をたたきつけて、旬太郎は魚辰に向かう。 そして、退院して魚辰に帰って来た徳三郎に、雇ってくれるよう頭を下げた。 自分の生きる場所は築地だと決めた、と。 徳三郎も、従業員達も、何の相談も受けていなかった明日香も、驚く。
 築地は、旬太郎と魚辰の噂で持ちきりになる。 そして旬太郎が耳にした、思いがけない話〜明日香は、10代から魚辰で働く英二と結婚することがずっと前から決まっていた〜!?
 動揺する旬太郎を、英二は、徳三郎の幼なじみ・真田正治郎の鮨屋に誘い、“秘密”を打ち明けた。 明日香は旬太郎に心底惚れているとも。それは、明日香のため・・・・。
 旬太郎が、築地から姿を消した。行き先は、銚子のいけす・一番丸。 疲れた魚は、いけすで元気を取り戻すと、正治郎から聞いた旬太郎は、一番丸の社長・牛尾のもとで、もっともっと魚のことを学ぼうとしていた。
 牛尾から話を聞いた徳三郎に教えられ、明日香は一番丸を訪ねた。 旬太郎と明日香は、お互いの気持ちを確認。サラリーマンだった時に買ったままだった指輪を旬太郎が差し出し、明日香はプロポーズを受けいれた。
 その頃、英二が密かに思いを寄せる小料理屋の千秋は、執拗に迫る片岡十四郎の求婚を受け入れ、店を閉じていた。 旬太郎と明日香は、自分達だけ幸せになれない、と、築地の人達の力を借りて、英二と千秋を捜す。
 みつけた英二に、千秋から渡されていたレシピノートの料理=英二の好物を作って食べさせ、“秘密”を知っていたことを明かし、今まで言えなかった言葉を口にする明日香。 そこへ、旬太郎が飛び込んで、中華料理屋で千秋が、片岡家の親類一同に御披露目されていることを伝える。 嫌がる英二を置いて、旬太郎が中華料理屋に向かっていると、英二が取り乱して追いかけてきた。 二人は、千秋のところへと急ぐ・・・・・・・・・・。
一言
 松竹は、人情味あふれる映画が何と得意なんだろう、と思わされる1本。
 原作のある映画なので、原作がそうなのでしょうが、ぶつかり合うことはあっても根っからの悪人などいない世界で、 純情な人々の織りなす、笑いどころのある物語は、安心して観ていられるものです。
 「あんたが選んでくれたんなら、熊のぬいぐるみでも喜んで着て、銀座だって歩くわよ!」は、爆笑させられた迷台詞にして、名台詞だと思います。
 題名は、「築地魚河岸三代目」ながら、旬太郎が三代目の「候補」として認められたところで終わった本作。 物語はこれからというところですが、続編製作が決定しているようで、公開が楽しみです。



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