「ホワイトアウト」

公開
2000年8月19日
監督
若松節朗 
原作
真保裕一
脚本
真保裕一
音楽
ケンイシイ・住友紀人
出演
織田裕二、松嶋菜々子、佐藤浩市、石黒 賢、吹越 満、橋本さとし、工藤俊作、古尾谷雅人、平田満、中村嘉葎雄、他 
備考
ビデオレンタル中
DVD発売中(通常版=税別4700円、特別版=5800円)
物語
 酷寒、雪に閉ざされた奥遠和ダムが、武装グループ「赤い月」に占拠された。 リーダーの宇津木は政府に、50億円の現金を要求。 拒否すれば人質のダム職員達を殺し、ダムを爆破する、と。 ダムを爆破されたら、下流域の20万世帯が犠牲になるが、ダムに通じる唯一の道路は爆破され、警察は雪に閉ざされたダムに行くことが出来ない。
 ただ一人人質の難を逃れたダム運転員・富樫。人質の中には、偶然ダムを訪れた、富樫の亡き親友の婚約者・千晶もいた。 人質となった仲間を助けるため、そしてダムを守るため、富樫の孤立無援の戦いが始まる・・・・。
一言
 日本映画としては、かなりの大作でしょう。 日本版「ダイハード」と言われたりしたようですが、似ているにしても、間違いなく日本の娯楽映画です。 なかなかの見応えで、大きなスクリーンで見る価値はありました。
 印象的なシーンは、富樫と、警察署長とが、無線で会話したところ。 奥遠和ダムを一旦離脱した富樫は、下流のダム管理事務所から無線で奥遠和の状況を知らせるのですが、 この時彼は、自らが「赤い月」のメンバーを何人か殺したことを告げます。 それを聞いた署長は、「ああっ!!」という表情をしました。
 「ダイハード」の主人公は、銃社会アメリカの刑事で、テロリストと戦うのも、まあ、職務の延長線と言えなくもないかもしれません。 しかし富樫は、ダム運転員であって、警察官でも何でもありません。 本来、彼は武装グループ相手に戦う人ではないのです。 しかし状況が状況で、富樫は戦ったし、いろんな方法で相手を殺しました。 署長の反応は、彼が「殺人」=罪を犯してしまったことを思い知らせるものでした。 また、警察が手をこまねいている間に、一般人の手を血で汚させてしまったことを悔いる顔でもあったように思います。

 いくつか気になる点もあります。
1千晶がマシンガンを撃つシーン。
 銃を撃ったことなど無い千晶は、最初マシンガンを手にして安全装置を外せずオロオロしていたが、 エレベーターのドアが一度閉まり再び開いた時には、毅然としてマシンガンを構え、堂々と発砲、 「赤い月」のメンバーを仕留めました。
 ・・・・富樫は、「赤い月」との戦いの最初は、腰が抜けそうに這いずり回り、銃を手にしてもやはり使い方が分からず、 撃った時も、とてもではないが“格好良い”とは言えない有様でした。それに引き換え、千晶は、あまりにも不自然です。
2「殺人」を犯した富樫の運命。
 最後、富樫は救出され、意識を失ったまま、警察署長が同乗するヘリで運ばれて行きますが、 彼は「殺人」を犯しているのです。最初の方は、自らが生き延びるための正当防衛としても、問題は後半。 一旦奥遠和ダムを離れ、無線で署長と話した時、彼は、あとは警察に任せてそこで休めと言われています。 しかし富樫は、奥遠和に戻り、「赤い月」との戦いを続行しました。
 ・・・・結果的に、富樫のおかげで「赤い月」は全滅、ダム爆破は回避されたので、彼は英雄といえば英雄なのですが、 警察の制止を振り切って人を殺した以上、法的には殺人罪を犯した、人殺しである筈。 ダム防衛の英雄・富樫は、殺人犯として裁かれることになるのでしょうか?見終わったあと、とても気になったことです。

 難点もあげましたが、全体としては、客をあまり選ばない娯楽大作だと思います。




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