平成12年9月 選句結果
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | ||||
4 | ちぎり絵を遊びてゆけり秋の雲 | あきこ | 暖流 | あんな | 福助 | 檸檬 | |
3 | 息づかい指の先より風の盆 | 洋司 | みずき | あきこ | 檸檬 | ||
2 | 手を添えて恐れる孫の花火かな | 和吉 | あんな | 静歩 | |||
2 | 老眼鏡ふたつ夜長を読む夫婦 | 洋司 | 暖流 | 静歩 | |||
2 | 風の手のひらりとさむし神無月 | 湖底 | みずき | あきこ | |||
2 | 香を惜しみそろりとたたむ秋扇 | あんな | 和吉 | 和翁 | |||
1 | 夜半まで故人のことなど萩の庭 | 和泉 | ふきこ | ||||
1 | 友の忌に集ひて菊の酒を酌む | 暖流 | 福助 | ||||
1 | さやかなる風の道筋萩こぼる | 和翁 | ちあき | ||||
1 | トタン屋根叩く日照雨(そばえ)や野は晴れて | 静歩 | 竹峰 | ||||
1 | 青春をいまも揺らして秋桜 | あきこ | 竹峰 | ||||
1 | 川面射す陽やわらかとなりあきあかね | 和泉 | ちあき | ||||
1 | 親と子の踊り浴衣や縁の先 | 和吉 | ふきこ | ||||
1 | 秋日傘詮なし北に住み慣れて | 湖底 | 和翁 | ||||
1 | 赤とんぼ影の伸びゆく地蔵尊 | 竹峰 | 和吉 | ||||
得点 | 兼題 「虫」 | 作者 | 戴いた人 | ||||
3 | 鈴虫や木橋渡れば無人駅 | 暖流 | 竹峰 | あんな | 檸檬 | ||
2 | 旅に出て旅を知らしむ虫時雨 | 洋司 | ちあき | 静歩 | |||
2 | 胸のうちに来て鳴くよ夜半の虫は | あんな | みずき | 暖流 | |||
1 | 手入れする盆栽枝にすがる虫 | 和吉 | ふきこ | ||||
1 | 日溜やぎらりと蟷螂現るる | 竹峰 | 和吉 | ||||
1 | 土蔵には土蔵のにおいチチロ鳴く | 静歩 | 和翁 | ||||
1 | ゆったりと湯舟につかり虫の秋 | 和翁 | 福助 | ||||
1 | テリトリー狭めて白し秋の蝶 | 湖底 | あきこ | ||||
私の選んだ一句 | |||||||
ちぎり絵を遊びてゆけり秋の雲 | あきこ | 天高い秋の澄み切った青空に浮かぶ独特な形の雲が、私も好き。遠のく夏への感傷も多少あるのか?
(檸檬) 空をじっと見ていると、雲はゆっくりゆっくりその姿をくねらせていくまぶたを閉じて、心を遊ばせている間に、かれはいつのまにかちぎれてひとり・・・秋の空は、透明なのに、いろんな顔がある。(あんな) 秋の高い雲を空の「ちぎり絵」と表現した感性の豊かさに脱帽しました。しかも、それを雲が遊んでいると詠むことで、あたかも童画の世界のような、美しく、やさしい繪に仕上がりました。童心を呼び覚ます一句です。〔暖流) |
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息づかい指の先より風の盆 | 洋司 | 八尾の風の盆で踊る越中おわら節は俳人にとっていつか訪れて句にしたいものの一つです。恍惚と胡弓に合わせて踊る人の息使いがしなやかに伸びた指の先からも伝わってきそうに作者は感じたのでしょうね。(みずき) | |||||
老眼鏡ふたつ夜長を読む夫婦 | 洋司 | 秋の夜長に共に老いた夫婦が仲むつまじくだろうと思いますがなごやかな風景が浮かびます。(静歩) | |||||
風の手のひらりとさむし神無月 | 湖底 | 秋風に吹かれる感じがでていて良いと思いました。(あきこ) | |||||
香を惜しみそろりとたたむ秋扇 | あんな | 知人を偲ぶ香に、思う心は走馬灯に走る如き、こみ上げる思いを、秋扇に託す様に、ゆっくりと噛み締められた、感動句と詠みました。(和吉) | |||||
夜半まで故人のことなど萩の庭 | 和泉 | 私も主人も早くに両親を亡くしていますので、この心持ち同じです。特に、義母は、萩の咲きこぼれていた時でしたので、義母を思い出させてもらいました。(ふきこ) | |||||
青春をいまも揺らして秋桜 | あきこ | 望郷の歌でしょうか。揺れる秋桜の向こうに何を見ているのでしょう。揺れているのは秋桜だけでしょうか。聞かぬが華、言はぬが華か秋桜。(竹峰) | |||||
川面射す陽やわらかとなりあきあかね | 和泉 | 自然の移り変わりを、、感じる一時をかんじました。(ちあき) | |||||
土蔵には土蔵のにおいチチロ鳴く | 静歩 | 無性に懐かしさが湧いて来る。高窓から差し込む明かりで、埃っぽい古雑誌を捲っていた頃が思い出される。(和翁) |