平成13年8月 選句結果
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | ||||
4 | 向日葵や少女の背丈また伸びぬ | 暖流 | みずき | 竹峰 | 手毬 | 洋城 | |
3 | 帰省子にわずか二日の母となる | 夕花 | 暖流 | 手毬 | 洋城 | ||
3 | 嬰児(みどりご)の一人占めする夏座敷 | 洋司 | 京子 | 静歩 | 久須夜 | ||
3 | 踊りの輪小さき手振りの後れがち | 京子 | 夕花 | 久須夜 | 洋司 | ||
2 | 朝涼や散歩の先に鳥の声 | 京子 | 竹峰 | まぐろ | |||
1 | 雲の峰呑んでなお碧い猪苗代湖 | 和泉 | みずき | ||||
1 | 子らの声響き渡りて夏座敷 | 手毬 | まぐろ | ||||
1 | 空蝉のなほ乾きたる風の音 | 夕花 | 静歩 | ||||
1 | 海の日や地球儀の青さ海を拭く | 静水 | 洋司 | ||||
1 | 生きた人生きて行く人銀河濃し | みずき | 暖流 | ||||
1 | 子持鮎いのちの旬を噛みしめる | 暖流 | 京子 | ||||
1 | 木のままの改札口や山開く | 静水 | 夕花 | ||||
得点 | 兼題 「水着」 | 作者 | 戴いた人 | ||||
4 | 屈託なく伸びた手足に水着はえ | 夕花 | みずき | 暖流 | 京子 | 静歩 | |
2 | 細かりし頃の水着を捨てきれず | 洋司 | 竹峰 | 久須夜 | |||
1 | 水着だけカバンにつめてプールの日 | 静歩 | 手毬 | ||||
1 | 水着飛ぶ渓流すべりや握りめし | 手毬 | 夕花 | ||||
1 | 自販機の行き来が楽し水着の子 | みずき | まぐろ | ||||
1 | ずっしりと水着を絞る金盥 | 竹峰 | 洋城 | ||||
1 | 水着干す隣の娘の婚期かな | 静水 | 洋城 | ||||
私の選んだ一句 | |||||||
向日葵や少女の背丈また伸びぬ | 暖流 | 健康で伸びやかな句です。成長盛りの少女・・・向日葵・・・何処を取っても明るい空気に満ちあふれています。(みずき) | |||||
思春期の少女と向日葵。この取り合わせが絶妙だと思います。向日葵の明るさと少女のスラッとした手足と笑顔がマッチして夏の一コマの挿絵を見るような句ですね。気持ちよく読ませて頂きました。(手毬) | |||||||
生きた人生きて行く人銀河濃し | みずき | この句に深く共感しました。夜空を見上げて星々の瞬きを見つめるとき、時空の悠久さを思い、茫然としてしまいます。それに較べると人間の営みの何という儚さ。生きて、そうして滅んだ命。今、生きている命。共に一瞬の儚さではあるが故に、健気さと愛しさがこみ上げてきます。そんな感傷を抱くのは今夜の銀河が殊に輝きが濃いせいでしょうか。この句の作者が見上げる銀河と同じように・・・。(暖流) | |||||
木のままの改札口や山開く | 静水 | 夏休みを利用して信州に行ってきましたが、まさに、この句と同じ風景に出会いました。帰宅後、この句を見て驚くと同時に、信濃の山を思い出しました。これはどこの山の駅なのでしょう。(夕花) | |||||
嬰児(みどりご)の一人占めする夏座敷 | 洋司 | あかちゃんが寝ている時は、皆 "寝かしておこうよ” という気です。 涼風の入ってくるお座敷の真中であかちゃんが寝ている様子は、ママもあかちゃんも極楽、極楽。 やっぱり 王さまです。 さわやかな句です。(京子) | |||||
空蝉のなほ乾きたる風の音 | 夕花 | すでに命の無い空蝉に夏の暑い乾いた風が容赦なく吹き付ける生者必滅の姿------(静歩) | |||||
踊りの輪小さき手振りの後れがち | 京子 | 各地で行われる盆踊り。老若男女を問わず楽しんだ頃を懐かしむ。その環に、ちっちゃな手振りの幼児が目に浮かぶ平和な戦後のある時期を・・・・(久須夜) | |||||
帰省子にわずか二日の母となる | 夕花 | 久しぶりの母子の生活も短時日で終わる。期待とせつなさが伝わる。(洋城) | |||||
自販機の行き来が楽し水着の子 | みずき | やはり、同じような思いの方がおられた。が実感です。子供が幼少の頃プールサイドで、身体が冷たいにも拘らず親に催促をするよに同じことをしたな〜の思いが、、プールからの帰途も自販機が近くなると早足で・・・と。俳句にはできませんが、同感です。(まぐろ) | |||||
海の日や地球儀の青さ海を拭く | 静水 | 海の日は歳時記には、まだ載っていないかも知れないが、国民の祝日なので遅かれ早かれ季題に加わるものと思われる。そうした新しい季題を使った事を評価したい。また地球儀が青い、と感じたことは、多分にガガーリンの言った「地球は青かった」を思い出してのことと思うが、そのことを思い出しながら、あらためて地球というものを想い、その青さの源である海をいとしみながら綺麗にしようと拭いている作者を想像すると、作者の人生哲学が見えてくるようだ。(洋司) |