平成14年12月 選句結果
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 鶴を見に行くため淡い旅衣 | みずき | すずらん | 静歩 | 弓子 | 洋司 | ||
3 | 取り入れし毛布担げば日の重さ | 手毬 | 洋子 | あきこ | 洋城 | |||
3 | 針穴に糸の通らぬ冬の暮れ | ポテト | 福助 | まさき | 静歩 | |||
2 | 算盤の九が並ぶごと吊るし柿 | 洋司 | おさむ | 福助 | ||||
2 | 霜月の椅子の軋みに深々と | 夕花 | 手毬 | ハシケン | ||||
2 | 思ふこと眠らせたまま冬に入る | 陽炎 | ポテト | 洋城 | ||||
2 | 白壁をさらに白くし冬陽さす | 洋子 | すずらん | あきこ | ||||
2 | セーターにもぐれば明日に出られそう | 夕花 | みずき | 暖流 | ||||
2 | 熱燗や言葉しだいにほぐれゆく | あきこ | 洋子 | 陽炎 | ||||
2 | シュプレヒコールビル間に冬の隠れ居る | 244 | みずき | 洋司 | ||||
1 | 朝の茶を両手でつつむ十二月 | ポテト | まさき | |||||
1 | 着膨れて尖りたる風まるく受く | 暖流 | 手毬 | |||||
1 | 喘息の発作苦るしき夜寒哉 | 静歩 | ポテト | |||||
1 | 短日やかやぶき屋根の厚き苔 | 洋城 | 久須夜 | |||||
1 | 身に降りしもの諾ひて聖誕祭 | あきこ | 暖流 | |||||
1 | 冬木影白き土塀の息づかひ | まさき | 久須夜 | |||||
1 | 句集読む余白やさしき十二月 | 手毬 | 陽炎 | |||||
1 | 蓑虫の吊るさる糸のあるやなし | 洋司 | 弓子 | |||||
1 | 末枯れて終ひの白き花ひとつ | 陽炎 | ハシケン | |||||
得点 | 兼題 「マフラー」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | マフラーを解くや笑顔のあらはるる | 陽炎 | 洋子 | おさむ | あきこ | まさき | 洋城 | |
弓子 | ||||||||
4 | 襟巻きに寡黙さ包み父帰る | 洋司 | みずき | すずらん | 手毬 | 久須夜 | ||
3 | 信楽の狸の粋な赤マフラー | 洋子 | 福助 | ポテト | 洋司 | |||
2 | 白絹のマフラ−目指せし過去(トキ)もあり | 久須夜 | おさむ | 静歩 | ||||
1 | 颯爽の二文字が好きマフラー巻く | 夕花 | 陽炎 | |||||
1 | 町の駅流行(はやり)マフラー女学生 | 静歩 | ハシケン | |||||
1 | マフラーも思いも風に翻す | あきこ | 暖流 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
セーターにもぐれば明日に出られそう | 夕花 | 嬉しくなって戴きました。在る物と言えばセーターだけなのですが、確かさの感じられるこんな句も大好きです(みずき)。 | ||||||
白絹のマフラ−目指せし過去(トキ)もあり | 久須夜 | 絹の白いマフラーと言えば 石原裕次郎
そんな姿に憧れた青春もあった。今は老春を楽しもう(おさむ)。 絹の白いマフラーを風になびかせて天蓋をあけたまま滑走路を行く戦闘機−−−落下傘の切れ端を(絹)整備からわけてもらって飛行服の首にまいて沖縄爆撃に参加しました−−−私はこんなことが偲ばれます(静歩)。 | ||||||
針穴に糸の通らぬ冬の暮れ | ポテト | 針穴に糸の通らぬまどかしさを、冬の暮れに置き換えての表現が何とも身近に感じられる(福助)。 | ||||||
身に降りしもの諾ひて聖誕祭 | あきこ | 身に降るものは雪でしょうか?いいえ。喜びや悲しみ。幸せや不幸せ。来し方行く末。動かし難い運命。それらのすべてを、神の御子イエスのように、微笑んで静かに諾(うべな)う。折りしも今宵は、聖誕祭。クリスマスに似つかわしい、静謐な清らかな心情句です。作者の人生に豊かなものを感じました。(暖流)。 | ||||||
着膨れて尖りたる風まるく受く | 暖流 | 私の事だわ〜と思わず笑ってしまいました。着膨れて外に出るとまさにこんな感じ。冷たい尖った風をまるく受けると言う表現が巧みだと思いました。私は着膨れなくてもまるいのですが〜(手毬)。 | ||||||
蓑虫の吊るさる糸のあるやなし | 洋司 | ベーカリー・レストランに落ち着いて、見慣れた中庭の楓の木立に眼を遣ると、そこの枝、あ、こちらの枝にも、と、楓色の蓑虫達が微かに揺れていました。雄が巣を離れても、雌は巣の中で一生を終えるものとか。あるやなしの糸に注がれる視線の主は、さて、どちらの生を生きておられるかたなのでしょう(弓子)。 | ||||||
冬木影白き土塀の息づかひ | まさき | 無機物の中にも、造りし人や、周囲の樹木その他の生命など等が土塀を包み込み、且つ、宿り、今、作句者自身の聴覚を刺激したのに相違ない。研ぎ澄ました感性。何物をも透徹し得る感覚の人のみが、把握し得た句と見る(久須夜)。 |