平成15年5月 選句結果
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | 初夏の光ごと飲む朝の水 | 暖流 | 竹峰 | 可不可人 | 洋城 | まさき | 夕花 | |
洋司 | ||||||||
4 | 聖五月切子グラスの石榴色 | 夕花 | 竹峰 | ポテト | 果林 | 244 | ||
3 | げんげ編む土の匂ひを少し混ぜ | 手毬 | 暖流 | 陽炎 | 静歩 | |||
3 | 満開の桜の下にゐてひとり | 果林 | 可不可人 | 洋城 | 和泉 | |||
2 | 春めきて何するでなし大欠伸 | ポテト | まさき | 紫 | ||||
2 | 窓あけて心に五月を溢れさせ | 夕花 | 久須夜 | 洋司 | ||||
2 | 飛騨川に赤き尾濡らす鯉幟 | 暖流 | 弓子 | パンの耳 | ||||
2 | つばくろも吾も安らぐ築十年 | 洋司 | おさむ | 手毬 | ||||
2 | 睡き午後あさりしづかに砂を吐く | 陽炎 | 果林 | パンの耳 | ||||
2 | こっぽりの通う茶屋街夕桜 | 洋司 | 手毬 | 久須夜 | ||||
1 | 雀の子羅漢の藪に迷い込み | 久須夜 | 弓子 | |||||
1 | 昨日まであった露店や花の屑 | 静歩 | 陽炎 | |||||
1 | トイレの灯20を40にしてみた春 | 244 | みずき | |||||
1 | バケツには鮒が六匹子供の日 | 手毬 | 暖流 | |||||
1 | 薫風に子と廻し居るフラフープ | むらさき | ポテト | |||||
1 | 退職の便りのとどく花の冷え | まさき | 洋子 | |||||
1 | 濃き淡きみどり重なり五月来る | 陽炎 | 和泉 | |||||
1 | こりこりと軟骨うまし花馬酔木 | 果林 | 244 | |||||
1 | 藪かすみ光秀の魂(たま)いまいずこ | 久須夜 | おさむ | |||||
1 | 春の雨係船索はぎぎと鳴く | 洋城 | 紫 | |||||
1 | 薫風に糊きかせたるシーツ干す | 紫 | みずき | |||||
1 | 物の芽や土持ち上げてのぞきおり | ポテト | 洋子 | |||||
1 | 老犬の綱を結わえて草むしる | まさき | 静歩 | |||||
得点 | 兼題 「遠足」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 捨てきれぬことの数々月朧 | 果林 | まさき | 手毬 | 久須夜 | 244 | ||
3 | ゆったりと刻を知らせて寺おぼろ | パンの耳 | 竹峰 | ポテト | 暖流 | |||
3 | つつがなく今日も終わりの鐘朧 | 244 | パンの耳 | 洋司 | 洋子 | |||
3 | 朧なる闇ふくらみてざわめけり | 陽炎 | 洋城 | 弓子 | ||||
2 | 朧へと向ける船首の漁場遠し | 洋司 | 陽炎 | 夕花 | ||||
2 | をとことは可愛いものよ月朧 | 夕花 | おさむ | 可不可人 | ||||
1 | 知らぬ街知らぬ川沿ひ朧月 | 手毬 | 静歩 | |||||
1 | 川沿いの2キロの散歩朧月 | 和泉 | 紫 | |||||
1 | 朧なり灘も砂丘もこの街も | 洋子 | みずき | |||||
1 | 路地朧口紅赤き女来る | 紫 | 果林 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
つばくろも吾も安らぐ築十年 | 洋司 | ツバメが巣を造る家は幸いがあると言われる お互いに此れからも安穏でいたいものだ(おさむ) | ||||||
をとことは可愛いものよ月朧 | 夕花 | おなごとはおそろしきもの月朧(可不可人)。 | ||||||
トイレの灯20を40にしてみた春 | 244 | 表現的には問題ありかも知れないが見過ごすには勿体ないという気持ちとこんな発想する人誰〜〜!と確認したくなって・・・色々想像させる春と20と40です。トイレがちと〜??かな(みずき)。 | ||||||
げんげ編む土の匂ひを少し混ぜ | 手毬 | 今回は、晩秋から初夏にかけての美しい季節にふさわしく、光がこぼれるような俳句ばかりで、選句に悩みました。けれども、掲句の斬新な発想と溢れんばかりの感性は、秀句の花盛りの中にあって、ひときわ眩しく輝いて見えました。僕が作句において心掛けていることは、情景もしくは心情がありありと見えること。詩情が篭められていること。この2点です。僕のこの基準から言えば、掲句は百点満点を差し上げても良い句だと思いました(暖流)。 | ||||||
春めきて何するでなし大欠伸 | ポテト | たんたんとした句のようだが、私にはスケールの大きな句に思える。私もこんな生き方をしたいものだ(まさき)。 いつもしていることを俳句にするのは難しいのですが、素直に読み取れています。 私は初心者ですが、そこはかとなく雰囲気が伝わってきますね〜(紫)。 | ||||||
こっぽりの通う茶屋街夕桜 | 洋司 | こっぽりの可愛い音が聞こえてきそうなはんなりとした情緒のある句ですね〜夕桜の季語とよくマッチしています(手毬)。 在洛の私には、文句無しに、祇園の町並みも風情も、即座に浮かびます。都踊りがあろうと無かろうと、何時もこの通りには、「京」が あるのです(久須夜)。 | ||||||
雀の子羅漢の藪に迷い込み | 久須夜 | 雀の子と羅漢がつき過ぎのような感じもしますが、その愛らしいしぐさと、それを見守る羅漢様たちの古拙な笑いが、藪の中に温かい光を充たしてくれました(弓子)。 | ||||||
路地朧口紅赤き女来る | 紫 | 不思議な感覚の句ですね。ちょっと寺山修司の世界のような。朧に対して口紅の赤が鮮やか、少しどぎついくらいの赤がきっと似合う・・・色々想像がふくらむ句でした(果林)。 | ||||||
朧へと向ける船首の漁場遠し | 洋司 | 船影に続いて、エンジン音も朧に消え行く。そのような夜明け前の春の海の様子が映像として浮かんできます(陽炎)。 | ||||||
睡き午後あさりしづかに砂を吐く | 陽炎 | なにげない句ですが、「静かに」がいかにもふさわしく使われて効果をあげていると感じました。浅利のたまに吐く息がみごとに表されています(パンの耳)。 | ||||||
初夏の光ごと飲む朝の水 | 暖流 | 朝一番にコップになみなみと水を入れて飲むとすっきり目が覚めますが、その快感をうまく表現されていると思います(夕花)。 | ||||||
満開の桜の下にゐてひとり | 果林 | 桜は人の心を浮き立たせるようで「陽」と思われ勝ちですが、実は「陰」と聞いた事があります。大勢でいても「個」を感じることもありますね。満開の桜を独り占め・・・と言うよりは 「個」で今にも散る花を愛でておられるのでしょう。また来年も,10年後も30年後もその花の下で・・・(和泉)。 |