平成14年1月 選句結果
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 帰郷して子は子の顔に三が日 | あきこ | 静歩 | 洋城 | 暖流 | 洋司 | ||
3 | 庭先に降りて膨らむ寒雀 | 手毬 | 夕花 | 静歩 | あきこ | |||
3 | 書きかけの日記を閉じて除夜の鐘 | あきこ | 手毬 | まさき | 244 | |||
2 | 冬晴れや大利根太く河口まで | 夕花 | 洋城 | 244 | ||||
2 | 冬銀河下駄の音高き伊香保の湯 | まさき | 久須夜 | 和泉 | ||||
2 | 物音の途絶えて雪と知りにけり | 暖流 | ゆきこ | 洋司 | ||||
2 | うす紅のあえかに笑むや寒牡丹 | ゆきこ | 久須夜 | 暖流 | ||||
2 | パンパンと冬日布団にたたき込む | 244 | 夕花 | おさむ | ||||
2 | 風邪心地して地を見つめ坂のぼる | 洋城 | ゆきこ | まさき | ||||
2 | 恩寵を分かつがごとく聖菓切る | 暖流 | 和泉 | あきこ | ||||
1 | 元日やスーパーに初荷届きおり | 京子 | おさむ | |||||
1 | 売り声と大師を背ナに達磨市 | まさき | ゆきこ | |||||
1 | 真新し軍手の白き農始め | 244 | 手毬 | |||||
得点 | 兼題 「お降り」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
2 | 御降りや鳥も翼を濡らしおり | 夕花 | おさむ | 暖流 | ||||
2 | 御降りや良きことと知る句会かな | 静歩 | 夕花 | まさき | ||||
2 | お降りや赤福餅もやはらかく | 暖流 | 静歩 | あきこ | ||||
1 | 御降りや結城紬の裾濡れて | 手毬 | 久須夜 | |||||
1 | お降りや百の灯ともすホテル群 | 洋城 | 洋司 | |||||
1 | お降りに汚れしクツで師を訪ぬ | 244 | 手毬 | |||||
1 | 真新し軍手の白き農始め | まさき | 244 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
パンパンと冬日布団にたたき込む | 244 | 主婦がなにげなく毎日やっている布団を取り込むときの作業ですが、それを「冬日を叩き込む」という元気な句に変えられた作者の力(夕花)。 | ||||||
元日やスーパーに初荷届きおり | 京子 | 初詣だ、 お年玉と 世間は騒いでいる 元日でも世の中は動いているし、 それを動かしている人がいる荷が無ければスーパーではない 。カゴに載る人担ぐ人 、またその草履を作る人、 世の中はそれで持っている(おさむ)。 | ||||||
庭先に降りて膨らむ寒雀 | 手毬 | どこから飛んできたか判らないが餌を探しに庭先に下りたすずめが寒そうに丸くなっているさまが目に浮かびます(静歩)。 | ||||||
冬銀河下駄の音高き伊香保の湯 | まさき | 冷えこんだ冬の一日、伊香保の宿の湯船から、大型の硝子戸越しに眺めた銀河。えもいえぬ眺望だったろうか。ふと、耳に聞こえ来る下駄の音。湯上りか、はたまた、露天風呂をめざすのか、酔狂なお方とも言い切れぬ、歳末の忙中閑ありのお方なのか(久須夜)。 伊香保は階段の両側に温泉宿が並んだ古いタイプのところですね。そして群馬の冬は空っ風。掃き清められたような空に銀河が。そういえば長らく銀河を見てないなぁ(和泉)。 |
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真新し軍手の白き農始め | 244 | 家の近所も農家が多いのです。新しい真白な軍手に新年の清清しさを感じました。農初めの季語と絶妙にマッチした真白な軍手だと思います(手毬)。 | ||||||
帰郷して子は子の顔に三が日 | あきこ | 親の立場からはいつまでも子は子であり、子は親が出迎えてくれればほっとする。いつまでもそういう関係でありたい(洋城)。 | ||||||
冬晴れや大利根太く河口まで | 夕花 | 枯れきった川原、豊に水を湛えた利根川が目に浮かぶようです。”河口まで”としたところに冬の板東太郎が良く表されていると思いました(244)。 | ||||||
恩寵を分かつがごとく聖菓切る | 暖流 | クリスマスケーキを分け切って 神の愛、御子(イエス)の恩寵にあずかる。清潔な家庭、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきます。「神は愛なり」(和泉)。 | ||||||
お降りや赤福餅もやはらかく | 暖流 | こころの華やぎがあるお降りに さらに赤福餅を添えて、良いお正月ですね(あきこ)。 | ||||||
うす紅のあえかに笑むや寒牡丹 | ゆきこ | 「寒牡丹」これは決して冬に咲く品種ではない。通常ならば初夏に咲く牡丹を厚い手当てによって、冬に咲かせたものである。風雅を愛する人の成せる技ではある。霜囲いの下に、ひっそりと、しかし凛として咲く寒牡丹。その薄紅色の花は、かよわく儚げに微笑んでいるようである。作者の情愛に満ちた感性が、馥郁と香るような一句である(暖流)。 |