平成17年9月 選句結果
得点 | 兼題 「虫」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 虫時雨一時止めて猫の道 | 汀 | まさき | 夕花 | 桜桃 | 弾正 | ||
3 | こんな夜は海に出てみむ虫の闇 | 夕花 | ちあき | 244 | 春雪 | |||
3 | ひとり居のすべてを消して虫時雨 | ちあき | 静歩 | コスモス | 紫 | |||
3 | 病床の夫の菜園虫時雨 | まさき | しおみ | 与作 | 門名無 | |||
3 | 虫の秋机の位置を移しけり | 春雪 | もも | 晶子 | 汀 | |||
2 | あぜ道に悲しく残る虫の足 | 福助 | オーク | 軽率 | ||||
2 | 虫愛でし姫の夏野や高架みち | しおみ | アコ | 福助 | ||||
1 | 一叢に万も棲むのか虫の声 | 和泉 | ダイゴ | |||||
1 | ちちろ虫土間のすみこに夜を決め | 霜月 | 唯人 | |||||
1 | 賑わしい何を語るか虫の闇 | 桜桃 | おさむ | |||||
1 | 鉢のけて小さき虫の音おびやかす | 晶子 | あきこ | |||||
1 | 虫の声かぼそきなりし熊野道 | 紫 | みずき | |||||
1 | 老妻の寝息重なる虫時雨 | 唯人 | 小自良 | |||||
1 | 湯に入りて刻を忘るる虫の夜 | ダイゴ | しま | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 不知火や湾口遠く原発炉 | 春雪 | あきこ | 汀 | 弾正 | 紫 | ||
4 | 吊り橋に都の香り白日傘 | みずき | 与作 | 小自良 | 弾正 | 244 | ||
4 | 冷麦や病の話題そらしつつ | 与作 | 夕花 | 小自良 | 244 | 紫 | ||
3 | 思い出はバックミラーに残し夏 | 夕花 | あきこ | まさき | 晶子 | |||
3 | 風待ちの昔話や浦の涼 | 244 | みずき | アコ | しおみ | |||
3 | 隅までも空掃き清め野分去る | 和泉 | まさき | ダイゴ | 静歩 | |||
3 | 竹竿の届かぬところ木守柿 | 福助 | オーク | 門名無 | 唯人 | |||
3 | 廃屋をそっと包むや蔦かづら | オーク | アコ | ダイゴ | コスモス | |||
2 | 秋空に一筆残す音速機 | オーク | 唯人 | 汀 | ||||
2 | 裏切りも許す気になり生御魂 | 汀 | しおみ | 晶子 | ||||
2 | 帰省子のただただ笑みの止まらざる | 与作 | ちあき | もも | ||||
2 | 手水鉢柄杓振り上げ水遊び | 紫 | オーク | 春雪 | ||||
2 | 忘れものベンチにカメラせみ時雨 | 門名無 | 与作 | ちあき | ||||
1 | 暑くても二百十日風の盆 | 軽率 | 桜桃 | |||||
1 | 朝のナス駕篭に摘まれてきゅきゅと鳴く | 244 | しま | |||||
1 | 足遅き台風情報よもすがら | 和泉 | 軽率 | |||||
1 | 姨捨という駅の名や草紅葉 | 静歩 | もも | |||||
1 | 炎天と区切りをつける打水せり | 門名無 | コスモス | |||||
1 | 大風に黄金の稲がおおさわぎ | 唯人 | おさむ | |||||
1 | 尾瀬沼の夜空仰ぎし天の川 | 勢子 | 春雪 | |||||
1 | かなかなや熱き支柱にしがみつき | まさき | みずき | |||||
1 | 衣被(きぬかつぎ)トンボ群れ飛ぶ村は過疎 | 汀 | 福助 | |||||
1 | 坂向う優しく染みる胡弓の音 | しま | 軽率 | |||||
1 | 形(なり)のまま色うつしてや名残茄子 | 霜月 | 福助 | |||||
1 | 友召され我また残る秋二つ | ダイゴ | おさむ | |||||
1 | 那須岳の山頂にゐて雷を呼ぶ | 春雪 | 夕花 | |||||
1 | の草つみとんぼ道づれ園児ゆく | もも | 門名無 | |||||
1 | 紫に変わりつつある式部の実 | 紫 | 桜桃 | |||||
1 | 夕暮れの優しき刻を水引草 | あきこ | しま | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
虫時雨一時止めて猫の道 | 汀 | 「うまいですねぇ。経験があります。あんなに賑やかな虫もほんのわずかな異変にピタッと押し黙ってしまいます。そこを悠然と知らぬ顔で過ぎる猫。猫が安全圏に去ったらまた大騒動で鳴き出す虫。秋の夜って実はとても騒々しいのです。」(夕花) |
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こんな夜は海に出てみむ虫の闇 | 夕花 | 「なんだか ぞくっとしました 清張の小説のようです。磯に出るのか岸壁にでるのか、、小船を漕ぎ出すのか、、はっと印象にのこりました」(ちあき) |
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病床の夫の菜園虫時雨 | まさき | 「菜園はちょっと世話の手を抜くと雑草が生い茂る。恨めしいことであるが、(夫が好きな)虫たちの棲家となり、なんと元気にすだいていることか。」(門名無) |
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虫の秋机の位置を移しけり | 春雪 | 「数多いむしの声を聞き逃したくない、そんな気持ちでしょうか。もしかして煩いのがお嫌なのかしら?風情っを感じましたが・・・・ 」(晶子) |
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鉢のけて小さき虫の音おびやかす | 晶子 | 「草原や虫かごの虫ばかりでなくさりげない処に目を向けられ大変上手いと思いました、おびやかしたのが 虫の音 という措辞が工夫されています。小さな人間よりもさらに小さい虫のいのちをおもいました。」(あきこ) |
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老妻の寝息重なる虫時雨 | 唯人 | 「わが老妻、最近小言幸兵衛ならぬ小言婆になり五月蠅いこと。」(小自良) | ||||||
湯に入りて刻を忘るる虫の夜 | ダイゴ | 「出来れば、露天風呂がいいな〜〜」(しま) |
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吊り橋に都の香り白日傘 | みずき | 「絵になりますね!」(小自良) |
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冷麦や病の話題そらしつつ | 与作 | 「静かな光景に引き込まれる句です。ご夫婦の思いやりがあふれていますね。年月を経た夫婦でなければ詠めない句。深刻な句かもしれませんが温かいものを感じました。」(夕花) 「水に浮かぶ白い麺に思いを流して頂きました。」(小自良) |
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思い出はバックミラーに残し夏 | 夕花 | 「バックミラーの表現が実にうまい。夏とは人生の一番輝いていた時期のことでしょうか? 時々、ふと過去を振り返ことがあります鏡という虚像?の世界を通してのみ過ぎ去った時間と空間を覗くことが出来る。決して、手の届く距離ではないのです。素敵な句です。」(まさき) 「激しい、楽しい夏も過ぎてあの思い出も、もし残っていればバックミラーの影ばかり、いえ虚しくは決してありません。生きる上での財産になることでしょう。」(晶子) |
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風待ちの昔話や浦の涼 | 244 | 「懐かしい情景が手に取るように伝わってきます」(みずき) |
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竹竿の届かぬところ木守柿 | 福助 | 「こんな柿に限って一番おいしそうである。取れなかった悔しさと、柿の美しさを愛でる心が交錯する。」(門名無) |
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裏切りも許す気になり生御魂 | 汀 | 「裏切りや不信は忘れた筈でも、蒸し返すことが多々あります。許しがたいものが、この句で本当にそれっきりになることを祈りつつ。」(しおみ) 「生きることは、激しい人間の争そいも生まれます。信じていた人も一皮剥けば裏切ることもありましょう。それがやむを得なかったとしても辛いです。しかし時間が問題を解決してくれたり、自分も穏やかに受け入れられるようになれることもあります。人生は一筋縄では参りません。」(晶子) |
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帰省子のただただ笑みの止まらざる | 与作 | 「まことに!そうですねーーワタクシも次男がたまに帰ると、コンナ状態です、親の心情が良く表れていて いいなーーと思いました」(ちあき) |
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忘れものベンチにカメラせみ時雨 | 門名無 | 「夏休暇も終わり、なにに気をとられたのでしょう 大事な!いっぱい思い出の詰まったカメラを忘れ、、ぽつんとした空間にせみ時雨が いっそう効果を発揮しているようにおもいました」(ちあき) |
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朝のナス駕篭に摘まれてきゅきゅと鳴く | 244 | 「ピチピチのはちきれそうなナス、この感覚分かるな〜〜」(しま) |
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大風に黄金の稲がおおさわぎ | 唯人 | 「大風の時の海面も顔負けの如くに稲穂が波打っている様子がよく判る」(おさむ) | ||||||
那須岳の山頂にゐて雷を呼ぶ | 春雪 | 「雄大な風景に作者も雄大に存在感を示している大きな句です。あの茶色い那須岳の頂上に立って呼んだ雷、ガラガラと音がしても爽快だったでしょうね。豪快さのある佳句です。」(夕花) |
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の草つみとんぼ道づれ園児ゆく | もも | 「園児が素直な心で、かつ安心して野草を摘んだり、トンボと戯れることができる環境が懐かしい。」(門名無) | ||||||
夕暮れの優しき刻を水引草 | あきこ | 「ちっちゃな ちっちゃな ピンクの花・・・ 夕暮れ時、微笑んでくれたのですね(^_-)-☆」(しま) |