平成18年8月 選句結果
得点 | 兼題 「帰省子」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
5 | 帰省子の目覚めを待ちし豆腐汁 | 桜貝 | 和泉 | あきこ | 零風 | 無垢 | 紫 | |
4 | 家中の明かり点して帰省の子 | あきこ | もも | まさき | 静歩 | 霜月 | ||
4 | 帰省せぬ子に文も入れ荷造りす | 春雪 | 夕花 | だいご | 244 | 朱夏 | ||
3 | 帰省子を待つこともなく歳重ぬ | 244 | 瓢六 | ちあき | 晶子 | |||
2 | 帰省子の深き眠りや水の音 | 暖流 | 門名無 | 桜貝 | ||||
2 | 帰省子の声も姿も瓜ふたつ | だいご | CGE | しおみ | ||||
2 | 嫁がぬ子娶らない子の里帰り | 緑茶 | 暖流 | 与作 | ||||
1 | 帰省子のあらいざらいを真つ直ぐに | 夕花 | 春雪 | |||||
1 | 帰省子や厨の母の安堵顔 | 静歩 | 緑茶 | |||||
1 | 帰省子迎ふ枯れ華も無き里の墓 | 紫 | あつこ | |||||
1 | 孫四人大騒動の盆帰省 | 門名無 | 唯人 | |||||
1 | ひまわりが待ちくたびれて帰省子に | しおみ | 福助 | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
5 | 海鳴りを遠くに置きて夏座敷 | 晶子 | まさき | 零風 | 244 | 暖流 | 霜月 | |
5 | 銀漢を容れて山の湯あふれけり | あきこ | もも | 晶子 | 朱夏 | 春雪 | 緑茶 | |
5 | 素手で撫ず久しき墓の熱きこと | 244 | CGE | 静歩 | 桜貝 | 福助 | 緑茶 | |
4 | 羅やわれ真砂女とはなれずとも | 夕花 | もも | あきこ | だいご | 暖流 | ||
4 | この墓の語るいくさや夾竹桃 | 春雪 | しおみ | 瓢六 | 244 | 静歩 | ||
4 | 読み徹す風が頼りの解夏の夜 | だいご | ちあき | 晶子 | 朱夏 | 桜貝 | ||
3 | 牛冷やす川の水かさ穏やかに | 晶子 | あつこ | 夕花 | いくこ | |||
3 | 縁濡らし通り過ぎたる夏の雨 | だいご | しおみ | 零風 | 無垢 | |||
3 | カジュアルが似合わぬ夏に術もなく | 緑茶 | ちあき | 和泉 | だいご | |||
3 | 待ち受ける眼に等分の大西瓜 | 霜月 | 門名無 | 春雪 | 与作 | |||
2 | じりじりとぽたぽたぽたり残暑かな | ちあき | 瓢六 | 門名無 | ||||
2 | 軒下をも一度掃きて霊迎ふ | 244 | CGE | 福助 | ||||
2 | 囃子の音ゆかたの裾も浮き立ちて | ちあき | あつこ | 紫 | ||||
2 | 夜の蝉長寿に惑う国やある | しおみ | あきこ | 夕花 | ||||
1 | 足元の揺れる炎や茄子の牛 | まさき | 唯人 | |||||
1 | 片恋は例へば耐えてゐる熱砂 | 暖流 | 霜月 | |||||
1 | 篝火に役者も燃える薪能 | 門名無 | いくこ | |||||
1 | 今日はここまで生きましょ蝉時雨 | 夕花 | まさき | |||||
1 | 持久戦になりそな気配蝉時雨 | もも | 与作 | |||||
1 | 溜息を交互につきし猛暑かな | 桜貝 | 唯人 | |||||
1 | 水棚のあまりに小さきにぎり飯 | 紫 | 和泉 | |||||
1 | 行く夏のひかりに透けてゆく心 | 暖流 | 無垢 | |||||
1 | 夕涼み次の一手は王手飛車 | 春雪 | 紫 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
帰省子の目覚めを待ちし豆腐汁 | 桜貝 | 「10年前 母が亡くなるまでよく帰省をしたものです。大好物はあんかけ豆腐。夏は冷やして、冬はあつあつを。同じように作るのに母の味が出ないのは不思議です。」(和泉) 「子供たちが帰省すると いっぺんに厨の明かりがこうこう 忙しくなって。久し振りに母の豆腐汁、何よりごちそうですね。」(あきこ) 「久しぶりに帰った我が子!疲れて熟睡をしているのだわ・・と親は起きてくるまでお食事を準備して待っている・・そんな風景が見えてきました。同じ思いの一句です。」(無垢) |
||||||
帰省せぬ子に文も入れ荷造りす | 春雪 | 「「帰省」「帰省子」の題なので帰省する人を迎える句がほとんどの中で、この句は視点が違っていました。さりげない愛情をうまく表現されています。」(夕花) 「田舎を持たないので帰省の実感がわきませんが親心は!」(朱夏) |
||||||
帰省子を待つこともなく歳重ぬ | 244 | 「子無き人が此処まで淡々と詠めたとしたら・・枯れ山水を見る境地 枯れた情がなお辛い。」(瓢六) 「一抹のさびしさを抱えながらも、達観した日々を送る人生の姿勢を感じました」(ちあき) 「帰るべき子供も既に所帯持ち、学問からは離れてしまった。近くに居るのがまだましなのだ。亡くなったと見るべきでしょうが、余りに哀しいです。」(晶子) |
||||||
帰省子の深き眠りや水の音 | 暖流 | 「久しぶりの帰省で、子供たちが元気にはしゃぎまわるにぎやかさが彷彿とされます。」(門名無) |
||||||
帰省子の声も姿も瓜ふたつ | だいご | 「少子時代にぴったしです。ちゃんと、いるところには居るのでした。」(しおみ) |
||||||
帰省子や厨の母の安堵顔 | 静歩 | 「久し振りの子等を迎えてじんわり嬉しく、ご馳走に腕を振るう気持ちが伝わります。」(緑茶) | ||||||
海鳴りを遠くに置きて夏座敷 | 晶子 | 「海無し県の妬みと憧れ。だだっぴろい座敷で昼寝をしてみたい。」(まさき) | ||||||
銀漢を容れて山の湯あふれけり | あきこ | 「山の野天風呂でしょう。都会では銀漢などみるべくもありません。季語の使い方が気が利いています。」(晶子) 「ゆったりと温泉に浸かって宇宙に想いを馳せる?でしょうか、いいですねぇ!」(朱夏) 「気宇壮大な入浴也」(春雪) 「星が散らばる湯に入るのは、浮世を忘れてどんなに気持ちがいいでしょうか?味わいたいです。」(緑茶) |
||||||
素手で撫ず久しき墓の熱きこと | 244 | 「日ごろのご無沙汰が、触れたと同時に熱い交流ができたようでとても心に沁みました。」(緑茶) | ||||||
羅やわれ真砂女とはなれずとも | 夕花 | 「鈴木真砂女。──26歳のときに極道者の夫が失踪。夭折した実姉の夫と再婚させられ家業の旅館を継いだのが28歳。そして30歳のときに7歳年下の海軍士官と出会い、運命的な恋に落ちます。お互いに配偶者のある身ですが、20年間にも及ぶ熱愛の末、51歳の真砂女は家を捨てます。20年後に恋人と死に別れるまで、真砂女はその恋を貫きました。『羅や人悲します恋をして』 この句は余りにも有名な真砂女の代表句です。彼女は他にこんな句を残しています 『夫運なき秋袷着たりけり』 『死なうかと囁かれしは蛍の夜』 『今生のいまが倖せ衣被』 『幸は逃げてゆくもの紺浴衣』 そして辞世の句は『来てみれば花野の果ては海なりし』 そんな鈴木真砂女の波瀾に満ちた情熱的な生き方はできないけれど、作者の心の中、身体の内には消しがたい焔がゆらめいているのでしょうか。切ない思いの伝わってくる一句です。」(暖流) | ||||||
この墓の語るいくさや夾竹桃 | 春雪 | 「軍人さんのそれは、先が尖って丸みがありません。お墓の形でわかるのです。ソフィア・ローレン の映画 ではシンボルはひまわり畑でした。」(しおみ) 「俳句は 閃き を読んだ人とどう繋げるか のような気がするんだけど・・爆心地での最初の’命の芽生えが夾竹桃であることは日本人である事ほど周知としたが・・。今一歩 この墓が広島であるならば'この墓をもっと大きく捉える術は無かったのだろうか? 贅沢(^○^)」(瓢六) |
||||||
読み徹す風が頼りの解夏の夜 | だいご | 「クーラーよりも、頼りなくとも自然の風が癒されます、一気に読みたくなる、何を読んでいるのでしょう」(ちあき) 「解夏とは申せ暑さは去らず、本は面白いがやはり涼風がその助けをしてくれているようだ。読書の秋には少々早いのか。」(晶子) 「残り少ない夏を惜しむ(私)のか、秋を待つ心でしょうか。」(朱夏) |
||||||
牛冷やす川の水かさ穏やかに | 晶子 | 「酪農をされている方の句ですね。暑いときには牛を川で冷やす、なるほど、ご苦労があるのですね。」(夕花 ) |
||||||
縁濡らし通り過ぎたる夏の雨 | だいご | 「もっと腰据えて降ってくれよの願いもむなしくでした。雷だけで今も終わりそうです。」(しおみ) 「なかなか雨が降らない暑い毎日!炎天下で樹木も一雨欲しそうです。そんな折、夕立が・・・・恵みの雨にホッと一息つきました。目に浮かぶような光景を選びました。」(無垢) |
||||||
カジュアルが似合わぬ夏に術もなく | 緑茶 | 「普段からびしっと決めていらっしゃるのでしょうネ、じとっとした汗を我慢している感じがします。でも思い切ってチョィ悪おばさん、おじさんやってみると、意外と似合ってるかも」(ちあき) 「3段に分かれたひらひらのスカートにエナメルの紐のようなサンダルで歩きたいんだけど・・投句子にも カジュアルが似合った夏もあったでしょうが。今は昔。」(和泉) |
||||||
待ち受ける眼に等分の大西瓜 | 霜月 | 「元気な子供の姿が目に見えるようです。大勢の子供がいることはいいことですね。」(門名無) 「「等分」は、言い得て妙。」(春雪) |
||||||
じりじりとぽたぽたぽたり残暑かな | ちあき | 「575になってる! じりじりぼたり情景擬音適切?妙。残暑かな と来られると・・’俳句だ〜と俺は泣く」(瓢六) 「やりきれない蒸し暑さが伝わってきます。今年の夏の実感が的確に・・・。」(門名無) |
||||||
夜の蝉長寿に惑う国やある | しおみ | 「私も夜鳴く蝉を聞いて「生き急ぐ」と感じました。お年寄りが幸せでない国、若者だけをチヤホヤする国の未来は憂うべきものがあります。夜の蝉の季語が秀逸です。」(夕花) | ||||||
水棚のあまりに小さきにぎり飯 | 紫 | 「供養する対象は幼くして逝ったのでしょうか。お盆のことでしょうか。地方によって宗派によって供養する形があるようですがいかに小さなにぎりめしでも心が無ければあげないでしょう。キリスト教徒でも日本人ですからお盆は先に逝った人を想うときです。」(和泉) | ||||||
行く夏のひかりに透けてゆく心 | 暖流 | 「暑い太陽のまばゆいばかりの光の中に私の心も透けていきます。悩みもすべて光の中へ!」(無垢) | ||||||
夕涼み次の一手は王手飛車 | 春雪 | 「今の時代見なくなりましが、子供の頃打ち水をして、うちわを持って、床几台(涼み台)で男の人二人将棋をしていたのを思い出させてもらいました。」(紫) |