平成18年10月 選句結果
得点 | 兼題 「行く秋」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
5 | 床臥しの母のもの問ふ残る秋 | ゆき | 小自良 | ちあき | 緑茶 | 暖流 | 静歩 | |
4 | 流れ橋風のみ通し秋過ぐる | 春雪 | 晶子 | まさき | だいご | 夕花 | ||
3 | 秋吸うた布団に子等の深い息 | 緑茶 | ウクレレ | ゆき | 零風 | |||
2 | 行く秋や居住不明の友ふたり | もも | 門名無 | 244 | ||||
2 | 行く秋のぽとんと落つる夕陽かな | 桜貝 | 霜月 | 紫 | ||||
1 | 秋よ逝け流れに逆らうえにしたれ | しおみ | 朱夏 | |||||
1 | 笹舟の如き羽毛や湖渡る | 瓢六 | あつこ | |||||
1 | 新学期洋風となる秋の果て | 晶子 | しおみ | |||||
1 | なれ鮓の今年も不出来秋去りぬ | 紫 | 春雪 | |||||
1 | 山赤く水辺に映えて秋立ちぬ | 零風 | CGE | |||||
1 | 行く秋や未完の句帖ポケットに | 静歩 | あきこ | |||||
1 | 行く秋やお大師さんに香けぶる | 霜月 | もも | |||||
1 | 行く秋を水に映して日暮れ橋 | あきこ | 桜貝 | |||||
1 | 行く秋や遊子川面を見て居りぬ | 244 | 瓢六 | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | 寡婦と猫今夜の月は丸すぎる | 紫 | もも | 小自良 | ゆき | ちあき | 緑茶 | |
静歩 | ||||||||
3 | 裏窓のちつぽけな空鰯雲 | 暖流 | ウクレレ | だいご | 夕花 | |||
3 | 引き寄せてあやふくこぼる葛の花 | 春雪 | あつこ | 霜月 | 夕花 | |||
3 | 稗抜きのつま先がまず株をわけ | まさき | しおみ | 244 | 紫 | |||
3 | よく吼える犬のいる家金木犀 | 静歩 | 朱夏 | 霜月 | 244 | |||
2 | 秋めくや昨日と違う化粧して | ゆき | もも | あきこ | ||||
2 | 秋風に送られて行く医者の門 | 零風 | 桜貝 | まさき | ||||
2 | 秋風や我も乗りたき縄電車 | 暖流 | ゆき | 晶子 | ||||
2 | 秋夜長クルマ捨てたる千鳥足 | だいご | 静歩 | 門名無 | ||||
2 | 動く時計動かぬ時計きりぎりす | 夕花 | 暖流 | 門名無 | ||||
2 | 父の背な見え隠れして稲の秋 | まさき | CGE | 桜貝 | ||||
2 | ひと色の刻流れゆく花すすき | あきこ | 暖流 | 朱夏 | ||||
2 | 本閉じて平成の夜に戻りたる | 244 | 瓢六 | 霜月 | ||||
2 | 夕焼けが縺れた糸を揉み解す | 緑茶 | あきこ | だいご | ||||
1 | 秋雨をさけつつ供物がまた重し | もも | 瓢六 | |||||
1 | 秋の野を分けて訪ぬる水銀鉱 | 霜月 | 春雪 | |||||
1 | 秋桜大人も隠れる迷路かな | 門名無 | 零風 | |||||
1 | 美しく掃き残されし柿落葉 | 桜貝 | 緑茶 | |||||
1 | 丘一面毛布掛けたごと葡萄園 | 和泉 | 紫 | |||||
1 | 驚きぬ人いるごとく案山子たつ | ちあき | CGE | |||||
1 | 挿し木苗やっと定植秋の空 | ちあき | ウクレレ | |||||
1 | 信楽や狸のふぐりに秋の風 | 瓢六 | 晶子 | |||||
1 | 染められて田圃アートや稲の秋 | 静歩 | ちあき | |||||
1 | 爪磨き秋色に染め月曜日 | 緑茶 | しおみ | |||||
1 | 野分過ぎ新しく見ゆけさの山 | しおみ | まさき | |||||
1 | 能面の語りかけ来る秋の暮 | 春雪 | あつこ | |||||
1 | 人や待つうなじに細き秋の雨 | 瓢六 | 小自良 | |||||
1 | 不器用に歳重ねけりきぬかつぎ | ゆき | 零風 | |||||
1 | 名月を逃がしてもなを今日の月 | 和泉 | 春雪 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
床臥しの母のもの問ふ残る秋 | ゆき | 「秋だからよけいに、しんみりした空気を感じます。父を介護していたとき、ベットから外が見えるように、磨りガラスから透明のガラスに変えた時のことを思い出しました。」(ちあき) 「私に母は、もういませんが病弱だった母と過ごした季節を思い出しました。」(緑茶) |
||||||
流れ橋風のみ通し秋過ぐる | 春雪 | 「「流れ橋」に本当風がに通っているのか、それとも、もう橋は流れてしまって、そこには無いのか、その辺りの感覚的なものに惹かれてしまいました。秋は行ってしまう、その心はよく通じます。」(晶子) 「先日、京都で初めて「流れ橋」という形態の橋があることを知りました。太い丸太を組んだ丈夫そうな橋でしたが、増水で流れるように作ってあるそうです。先人の知恵でしょうが、素朴な趣の橋でした。ちょうど風が渡る、という風情がぴったりですね。」(夕花) |
||||||
秋吸うた布団に子等の深い息 | 緑茶 | 「秋の日差しにふっくら干された布団の気持ち良さ、お子さんが顔をうずめてる穏やかな日常が好ましくおもいますわ」(ゆき) | ||||||
新学期洋風となる秋の果て | 晶子 | 「小学校の秋休みを沖縄旅行の息子ファミリー。これも改革?」(しおみ) |
||||||
なれ鮓の今年も不出来秋去りぬ | 紫 | 「読み手に「自家製」だと解るだろうか?滋賀の人には、よく解るでしょうが・・・・」(春雪) |
||||||
行く秋や遊子川面を見て居りぬ | 244 | 「他人事か自嘲なのか 何れにしろ秋 吾思う」(瓢六) | ||||||
寡婦と猫今夜の月は丸すぎる | 紫 | 「何か思わせぶりな句ですね。でも綺麗!切り紙の影絵みたい。」(小自良) 「独りで見るのには欠けた月が似合うかもしれない、けど、今宵の月はまん丸なにか願望が感じられて、好きな句です」(ゆき) 「煌々と輝いく月は かえって寂寥感を感じるのですよ、ある種の感動にワタクシは涙します、そのような気分でしょうか」(ちあき) 「私もまん丸の月を見上げましたが、一句とはなりませんでした。とても、寂しいような、充実してるような、丸すぎるなんてお洒落です。」(緑茶) |
||||||
裏窓のちつぽけな空鰯雲 | 暖流 | 「「裏窓」、どこから見上げた空でしょうか。鰯雲も雄大な空を仰いだときだけ見えるものじゃないですね。」(夕花) |
||||||
引き寄せてあやふくこぼる葛の花 | 春雪 | 「「引き寄せた」のは本当は葛の花じゃないのでは?葛の花のような人なのでは? なんて想像してしまいました。」(夕花) | ||||||
稗抜きのつま先がまず株をわけ | まさき | 「手足をつかい分ける伝統の農事に敬意。 まさき さんご苦労様です。」(しおみ) | ||||||
秋風や我も乗りたき縄電車 | 暖流 | 「縄電車、私達もそうした遊びで大きく成りましたね、そう、もう一度あの頃のように無邪気に遊びたいものですね」(ゆき) 「子供と一緒に遊びたいですね。縄電車がいいです。」(晶子) |
||||||
ひと色の刻流れゆく花すすき | あきこ | 「花野のカラフルな極彩色の世界とは異なって、薄の野原は一面モノトーンの結界です。晴れた日の金色。月の夜の銀色。朝夕の茜色。そして黄昏はセピア色。作者が見つめている薄は何色なのでしょうか。いずれにしても単色の光景の中を時間が静かに移ろっているのでしょう。美し過ぎる一句です。」(暖流) 「セピア色の風情、きれいですね。」(朱夏) |
||||||
本閉じて平成の夜に戻りたる | 244 | 「ホッとして残念 分かちたくも有り分かちたくも無し・故に吾あり」(瓢六) | ||||||
夕焼けが縺れた糸を揉み解す | 緑茶 | 「壮麗で燃え尽きるように夕焼けるときこのような感慨をもつことに 共鳴しました。」(あきこ) | ||||||
秋雨をさけつつ供物がまた重し | もも | 「物と心の重さの対比 四季の秋 日本人だねー」(瓢六) | ||||||
美しく掃き残されし柿落葉 | 桜貝 | 「枯葉の色の赤や黄色の美しさに見とれますが、掃き清められた所にその落ち葉の鮮やかさが目に浮かびました。」(緑茶) | ||||||
信楽や狸のふぐりに秋の風 | 瓢六 | 「何方の句か想像が付きそうで面白い。秋風も洒落たもの。」(晶子) | ||||||
染められて田圃アートや稲の秋 | 静歩 | 「まったくこんな風景の中に過ごしているのですが、田圃では収穫や次の準備に忙しい様子ながら 高い土手から見下ろせば、アートですね!」(ちあき) | ||||||
爪磨き秋色に染め月曜日 | 緑茶 | 「なぜ Monday なのでしょう。内出血で真っ黒な爪も。」(しおみ) | ||||||
野分過ぎ新しく見ゆけさの山 | 244 | 「野分後の風景は空気も澄み、遠くの山々もくっきりと見える日々、見ている山が、ふと新鮮に目に映ったのでしょうか我が家のように、稲刈りの遅い地方にとって、野分過ぎの稲穂は良く乾燥し、農家にとって嬉しいことです。」(まさき) | ||||||
人や待つうなじに細き秋の雨 | 瓢六 | 「美人画を見てるようですね。」(小自良) | ||||||
名月を逃がしてもなを今日の月 | 和泉 | 「13日十三夜、14日宵待ち月、15日満月、16日いざよい、17日立待ち月、18日居待ち月、19日寝待ち月昔の人は、一週間も楽しんだのです。」(春雪) |