平成20年2月 選句結果
得点 | 兼題 「立春」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | 立春の光は羽根を持つらしき | 夕花 | あきこ | ちあき | 弓子 | だいご | 雪音 | |
緑茶 | ||||||||
3 | 爪切りの白き足だす春障子 | 桜桃 | 零風 | まさき | むらさき | |||
3 | 畑人の春を起してゐたりけり | ゆき | 小自良 | ウクレレ | 夕花 | |||
3 | 不器用な父の口笛春来る | 暖流 | おさむ | 桜桃 | 和泉 | |||
3 | 立春や卵立てたる孫が居て | 和泉 | 瓢六 | 唯人 | 春雪 | |||
1 | あなどりし雪の深さや春立つ日 | 静歩 | いくこ | |||||
1 | 俄か主婦ざんげも秘めて春を待つ | だいご | 静歩 | |||||
1 | 祓はれて立春の空どこまでも | あきこ | CGE | |||||
1 | 春来るなれども少し夢の中 | 瓢六 | ゆき | |||||
1 | 立春や土手を斜めにかけあがり | 櫻貝 | 暖流 | |||||
1 | 立春や白きシーツに陽を入れる | むらさき | しおみ | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 今一度命の弾む春を待ち | 瓢六 | CGE | 零風 | 雪音 | 和泉 | ||
4 | おとないは猫であるらし雪の朝 | 和泉 | 小自良 | 桜桃 | いくこ | 弓子 | ||
3 | 凍て道をペンギン歩きの子等行きぬ | いくこ | ウクレレ | 唯人 | 春雪 | |||
3 | 梅一輪挿してしじまの広さかな | ゆき | 小自良 | 夕花 | 雪音 | |||
3 | 霜の夜時計の針はつんと刺す | 春雪 | 夕花 | 緑茶 | むらさき | |||
3 | 凍滝の生命ひとつも許さざる | 夕花 | 和泉 | 暖流 | まさき | |||
3 | ぶらんこのつま先天まで届きをり | まさき | ウクレレ | しおみ | むらさき | |||
3 | 目礼し想ひ出せずに春おそし | だいご | ゆき | いくこ | CGE | |||
3 | 両の手で朝茶を啜る寒さかな | だいご | 零風 | 暖流 | 唯人 | |||
2 | 大寒に井戸のぬくもり米を研ぐ | しおみ | おさむ | 瓢六 | ||||
2 | 月を斬る雲の切れ味寒土用 | しおみ | 桜桃 | だいご | ||||
2 | 紐解かれおらが天下の夫婦雛 | 桜桃 | しおみ | 緑茶 | ||||
2 | 縺れたる心詫びたき春寒しし | いくこ | だいご | 瓢六 | ||||
2 | 蝋梅や過ぎ去りしこと皆優し | ゆき | あきこ | ちあき | ||||
1 | 観音の頬に冷たき春の雨 | 櫻貝 | まさき | |||||
1 | 春寒や投薬袋嵩を増し | 零風 | 弓子 | |||||
1 | 大東京覆ってなお雪降りやまず | 和泉 | ちあき | |||||
1 | 爺作るどんぐり独楽のよく回る | むらさき | あきこ | |||||
1 | 晴着より二の腕伸ばし針供養 | 零風 | 静歩 | |||||
1 | 仏前に姿ただしき受験の子 | 櫻貝 | おさむ | |||||
1 | 豆まきを忘るる妻の照笑ひ | 春雪 | 静歩 | |||||
1 | 喪ごころにとりとめもなき春の雪 | あきこ | ゆき | |||||
1 | 凛として母のおもざし古雛 | あきこ | 緑茶 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
立春の光は羽根を持つらしき | 夕花 | 「春の光は、立春のすがすがしさと共に軽やかに感じました」(ちあき) 「柔らかな羽根でふんわりと広がるのでしょうね。」(雪音) 「眩い春の光がもう窓の外まできて、おいでおいでと招いているようです。」(緑茶) |
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畑人の春を起してゐたりけり | ゆき | 「とにかく寒い!でもそろそろだね!」(小自良) 「農業に従事する方にとって待ちに待った春ですね。『春を起す』の措辞にこれから収穫までの長い農事の初めの一歩をうまく表現されていると思います。」(夕花) |
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不器用な父の口笛春来る | 暖流 | 「父も暖かくなると心は華やぐ」(おさむ) 「春の訪れに身が軽くなりつい口笛が出たのでしょうか。余り上手とは言えない音色につい聞き惚れてしまいそう。」(桜桃) 「不器用な父上は照れ屋でもあるのでは?待っていた 待っていた春ですね。特に今年は。」(和泉) |
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あなどりし雪の深さや春立つ日 | 静歩 | 「今年は東京も10センチとか今までに無い雪だったようです。」(いくこ) |
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春来るなれども少し夢の中 | 瓢六 | 「暖かな春が待ちどうしいですね。外はまだ寒い、夢の中。布団の中から抜け出せない心地よさが伺はれます。」(ゆき) |
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立春や白きシーツに陽を入れる | むらさき | 「白は、反射して、陽のぬくもり 取り込みの効率はよくない。何を、ごちゃごちゃ 光の春って、いうじゃない。」(しおみ) | ||||||
今一度命の弾む春を待ち | 瓢六 | 「詠み人、あるいはその縁者でしょうか。病を得ていらして 人一倍春を待っておられるのでしょう。」(和泉) | ||||||
おとないは猫であるらし雪の朝 | 和泉 | 「夕べは凄い声で叫んでいたのかも!」(小自良) 「足跡を見て雪の夜の訪問者は犬ではなくてネコのよう。足跡に早朝、又うっすらと雪が被って紛らわしかったのかしら。」(桜桃) 「恋猫が居る家なのでしょうか、お〜い居る?出てきてよ」(いくこ) |
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梅一輪挿してしじまの広さかな | ゆき | 「清々とした寒の気を感じます」(小自良) 「一輪の梅を挿したことによって見えてくる景を『しじまの広さ』俳人の目の確かさに感心しました。」(夕花) 「凛とした静寂を感じました。」(雪音) |
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霜の夜時計の針はつんと刺す | 春雪 | 「この句も俳人ならではの感覚の鋭さに感心しました。」(夕花) 「眠れない寒い夜、尖がった針が几帳面に時を刻んでいるのをみます。夜が明けるのを心待ちにして。」(緑茶) |
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凍滝の生命ひとつも許さざる | 夕花 | 「この季節は滝の凍結が 話題になりますね。でも春が来ればこの滝が多くの 生命をつないでくれるでしょう。」(和泉) 「滝の凍ったところは見たことがありませんが空気まで凍りついたような感覚が句から伝わってきます。」(まさき) |
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ぶらんこのつま先天まで届きをり | まさき | 「公園から鞦韆は追放、季語にも盛衰があるのです。こんな景色は、消えゆくのみ。」(しおみ) | ||||||
目礼し想ひ出せずに春おそし | だいご | 「有ります、有ります。加齢の所為にしてますが・・・・。」(ゆき) 「此の年に為ると良く有ります。私などしょっちゅう・・・アレ?今の方誰だったっけ???」(いくこ) |
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両の手で朝茶を啜る寒さかな | だいご | 「朝の氷のように澄明な光が見えるようです。修飾も技巧も使わない平明さゆえに映像がくっきりと浮かびます。静かで穏やかな情景が。」(暖流) |
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大寒に井戸のぬくもり米を研ぐ | しおみ | 「井戸水は夏冷たく、冬暖かい」(おさむ) | ||||||
紐解かれおらが天下の夫婦雛 | 桜桃 | 「少子化で、マイチョコなみに、マイ雛、慌てて片付けることもない、親王雛のインテリア人気。この句は、伝統固守らしい」(しおみ) 「1年ぶりの春の空気に、夫婦雛の深呼吸と開放感がたくさん伝わります。」(緑茶) |
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縺れたる心詫びたき春寒し | いくこ | 「兄と共同で仕事をしだしたが私が気侭でね破綻・それでも兄弟 ’三顧の礼だと勝手に押しかけて 始めは戸惑ってたが、三度目には大笑いで迎えてくれた」(瓢六) | ||||||
蝋梅や過ぎ去りしこと皆優し | ゆき | 「過ぎ去ったことは思い出となり、どんなことも、怒りをも懐かしく、淡い感情に変化している自分に気がつきました」(ちあき) | ||||||
春寒や投薬袋嵩を増し | 零風 | 「さりげなく老いが投影され、好感が持てます」 (弓子) | ||||||
大東京覆ってなお雪降りやまず | 和泉 | 「雪といえば、山河の自然をつい想像しがちだったのですが 雪はビル群をも覆うのですね。怖いような、見てみたい気分です」(ちあき) | ||||||
爺作るどんぐり独楽のよく回る | むらさき | 「お爺ちゃんの作る独楽は 流石です、ベテランの味年輪の深さを感じさせます、お孫さんも喜んでいるでしょう。」(あきこ) | ||||||
仏前に姿ただしき受験の子 | 櫻貝 | 「何かに縋りたいのは若者でも同じ」(おさむ) | ||||||
喪ごころにとりとめもなき春の雪 | あきこ | 「私の場合 この所訃報が多くて・・・・心がかじかみます」(ゆき) |