平成22年03月 選句結果
得点 | 兼題 「春」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | 色褪せし雛に恥じらひ残りおり | 初凪 | あきこ | すすむ | もも | 可不可人 | まさき | |
優美 | ||||||||
5 | 我が道を行く娘なり緋もうせん | 七海 | ちあき | しおみ | 小自良 | 和泉 | 暖流 | |
4 | 塗り椀のよそへぬほどや雛の膳 | 晶子 | むらさき | あつこ | だいご | 摩耶 | ||
3 | 枕辺にナースの折りし紙雛 | 暖流 | 狂平 | 静歩 | 櫻貝 | |||
2 | しばらくは乙女となりて雛まつる | ゆき | ししうど | いくこ | ||||
2 | 独り者下駄箱の上雛飾る | 零風 | おさむ | 七海 | ||||
2 | 古新聞包みし雛も三十路越え | 優美 | 零風 | 春雪 | ||||
1 | 淡雪は遠き昔のひな祭り | 狂平 | 霧子 | |||||
1 | 内裏雛右よ左と悩む妻 | 春雪 | 西寿 | |||||
1 | たゆたふは祈りの数や流し雛 | ししうど | 晶子 | |||||
1 | 雛飾る家巡りきて華やげる | もも | 弓子 | |||||
1 | ひな祭り楽しき愚痴や孫のこと | 静歩 | ゆき | |||||
1 | 雛あられ老いの口にも優しけり | だいご | 初凪 | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
8 | 浦々に小舟のありて島の春 | 七海 | 霧子 | すすむ | 西寿 | 狂平 | いくこ | |
まさき | 初凪 | 弓子 | ||||||
4 | つま先をとんと履きけり春ぞうり | ゆき | しおみ | 小自良 | 零風 | まさき | ||
3 | 老いらくの今ひとたびの春衣 | だいご | ししうど | 狂平 | 七海 | |||
3 | 草餅を作れど母の味遠く | 優美 | すすむ | あきこ | 和泉 | |||
3 | 啓蟄や出処探す飛行基地 | 静歩 | 小自良 | 初凪 | 摩耶 | |||
3 | 古希なりとしたためてある春便り | もも | ちあき | ゆき | 暖流 | |||
3 | 小走りに夫追いかけて花遍路 | まさき | すすむ | 晶子 | 暖流 | |||
3 | 旅便り文字の滲みや菜種梅雨 | 初凪 | もも | 静歩 | あつこ | |||
3 | 春浅し跳び箱どんと鳴らし跳ぶ | 暖流 | あきこ | むらさき | 優美 | |||
3 | 春風にいのち委ねし綿毛かな | 櫻貝 | 西寿 | 可不可人 | あつこ | |||
2 | 逢へぬひと殖えて春星うるみけり | あきこ | 晶子 | しおみ | ||||
2 | いささかの布団の重さや春の闇 | もも | 櫻貝 | 優美 | ||||
2 | 着うたに断ちきられたる春愁 | 暖流 | ししうど | 櫻貝 | ||||
2 | てなもんやわいは浪速や細雪 | しおみ | おさむ | 七海 | ||||
2 | 土佐にきて椿トンネル抜けて海 | ちあき | 零風 | 春雪 | ||||
2 | 闇照らす炎の舞のお水取り | 零風 | 可不可人 | いくこ | ||||
1 | をさな子の頬ふつくらと桃の花 | あきこ | ゆき | |||||
1 | 嫁す日まで三月残りて朧月 | ししうど | もも | |||||
1 | 厳寒に藁が花守ぽたん咲く | 零風 | 霧子 | |||||
1 | 三月や始業のチャイム間延びして | 和泉 | 弓子 | |||||
1 | 春分の夕日は波を押し返し | 狂平 | 春雪 | |||||
1 | 春菊の香に包まれし膳の上 | 西寿 | だいご | |||||
1 | 終い雛じっと見つめる生命線 | 優美 | 和泉 | |||||
1 | 土筆つみ童にかえり友笑顔 | ちあき | j摩耶 | |||||
1 | 津波寄せ稲むらの火や春灯る | 初凪 | むらさき | |||||
1 | 雛飾る桜橘右左 | 静歩 | だいご | |||||
1 | 干鰈つんと澄まして固まって | 晶子 | 静歩 | |||||
1 | 万本の菜花に応ふ蒼き空 | 櫻貝 | ちあき | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
色褪せし雛に恥じらひ残りおり | 初凪 | 「長年飾ってきた雛にいつまでも初々しさが残っているのですね。人もかくありたいと思いました。」(あきこ) 「時代の移り変わりで雛人形、五月人形、お仏壇など、モダンなデザインのものがいろいろ出現してきて奥ゆかしさが失われてきて・・・・・・」(すすむ) 「作家の心が美しいです。」(可不可人) 「雛は幾つになってもあの時の初いまま。お嬢様にもお年頃の恥じらいが。何時までも恥じらいを持ち続けたいと思うこの頃です。」(優美) |
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我が道を行く娘なり緋もうせん | 七海 | 「自立した娘さんなのですね。。そのようにイメージしました。ちょっと心配と、行く道を信頼なさっての親心が感じられました。」(ちあき) 「ご自分はどうでしたか?」(しおみ) 「親の手を離れた娘の雛を見ながらの感慨。緋毛氈の行く先は?」(小自良) 「母親と言うものは 一途に娘の幸せ願うもの。ただし 幸せの尺度はそれぞれ。こういう娘さん好きです。」(和泉) 「実は、この句を選句するにあたって随分と悩みました。何故なら、この句は無季だからです。無季であっても、雑詠の部であれば迷いはありませんが、掲句は兼題の部。う〜ん。挙句、この句の『緋もうせん』は『雛段』の季語に準ずると一人合点しました。この句に、僕はついつい自分の一人娘の姿を思い重ねてしまって。妥協をせずに親離れしてゆく我が子を、ただ見守るしかない親。本当はやさしい女の子に育てとの願いを籠めた雛飾りなのでしょうが。『緋もうせん』はバージンロードのレッド・カーペットにも通じる気がします。親の淋しさと深い愛情をしみじみ感じさせられました。」(暖流) |
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塗り椀のよそへぬほどや雛の膳 | 晶子 | 「段飾りのお雛様。小さな可愛い塗り椀はじめおままごとをした懐かしい思い出が蘇ります。」(摩耶) | ||||||
しばらくは乙女となりて雛まつる | ゆき | 「雛祭りには、女性の若返りの魔法も潜むか。」(ししうど) 「良く分かります。古希を過ぎてもおひな様を見る瞳は乙女その物です。」(いくこ) |
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独り者下駄箱の上雛飾る | 零風 | 「×いちになった夫が、嫁に着いて行った娘を思ってか、今月の養育費 忘れないで」(おさむ) |
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淡雪は遠き昔のひな祭り | 狂平 | 「幼い日のひな壇思い出します。引越しばかりで、関西の淡島神社に奉納。流し雛にしてしまいました。こんな日もあったな〜と。」(霧子) | ||||||
たゆたふは祈りの数や流し雛 | ししうど | 「今は少なくなった流し雛、去ってゆく雛に愛惜の想いが見えるようです。」(晶子) | ||||||
ひな祭り楽しき愚痴や孫のこと | 静歩 | 「雛の間に集まるシニアの女姓たちの姿が浮かび、楽しくなりますね。私達姉妹もそうですわ。」(ゆき) | ||||||
雛あられ老いの口にも優しけり | だいご | 「気負いの無い安らぎを感じます」(初凪) | ||||||
浦々に小舟のありて島の春 | 七海 | 「ほんのりと、暖かさ感じます。」(霧子) 「のたりのたり ピッタン ピッタンと小舟に春の波が打ち寄せている風景が目に浮かびます。」(すすむ) 「のどかで鄙びた港の風景が見える様です。」(いくこ) 「すべて世は事も無し、そんな詩を思い出しました」(初凪) |
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つま先をとんと履きけり春ぞうり | ゆき | 「パーキンソンになると履くのもままならない。」(しおみ) 「粋な姿と心意気が伝わります。」(小自良) 「花の便りがあちらこちらから・・・。『さあ 出かけましょうか!』といった気持ちが伝わってきます。」(まさき) |
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老いらくの今ひとたびの春衣 | だいご | 「春を迎えられた喜び。また来春も・・衣に託す希望。」(ししうど) | ||||||
草餅を作れど母の味遠く | ゆき | 「そんなに簡単には、おふくろの味は無理です。経験が物を言います、後10年」(おさむ) 「母を敬い懐かしんでいます、この優しさに共鳴しました。」(あきこ) 「実家の草餅は薄く延ばして味噌を塗り香ばしく焼いて作りました。ちょっとピザ風です。毎年思いだして作りますが ちょっと何か物足りない。」(和泉) |
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啓蟄や出処探す飛行基地 | 静歩 | 「時事問題ですが何となく啓蟄が似合います。」(小自良) 「啓蟄の表現が斬新で朧げな頭が刺激されました」(初凪) 「沖縄か県外か・・・大詰めに来た基地問題。妙案もないまま期日が迫っています。自然界でさえチャンと道理が通っているというのに虫にも劣るお粗末さ?」(摩耶) |
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古希なりとしたためてある春便り | もも | 「”古希”はやはり感慨深いものがあり 季節のたよりに、書きたくなりますよね。」(ちあき) 「元気な古希の方の楽しそうなお便り。こう有りたいものです。」(ゆき) 「古希を誇らしげに報せてきた友人。『古希なり』と少し威張ってみえるのが痛快です。作為のないシャープな句で、『春便り』の季語がしっかりと働いていますね。」(暖流) |
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小走りに夫追いかけて花遍路 | まさき | 「5人兄弟の第1子で育った吾が妻は小走りに駆け寄るような可愛げはありませんねえ(笑)」(すすむ) 「以前、『花遍路』と言うNHKのドラマがありました。女三人、弱い子供を連れていましたが、花遍路と言う言葉が好きです。」(晶子) 「夫婦二人の行脚の様子がありありと想像されます。『花遍路』という季語が、句を明るく美しく仕立て上げています。」(暖流) |
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春浅し跳び箱どんと鳴らし跳ぶ | 暖流 | 「春浅しという語感のやわらかさと跳び箱をとぶ躍動感に、まもなくの春を待つ期待をかんじました。」(あきこ) 「跳び箱を元気に飛ぶ姿が目に見えます。どんと鳴らして着地した未だ慣れない飛び方。暖かさが増して飛び方も音も変わって来るのでしょうね。」(優美) |
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梅の雪ゆるびて落つる土黒く | 櫻貝 | 「この綿毛のように生きたい。」(可不可人) | ||||||
逢へぬひと殖えて春星うるみけり | あきこ | 「本当にこの気持が私も一杯です。星は霞をうけているだけなのかも知れませんが。」(晶子) 「星空の実感が故人の思い出に。」(しおみ) |
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いささかの布団の重さや春の闇 | もも | 「春を感じてほんの少し布団が重く感じられたのでしょうか。いささかの・・・凄く新鮮に感じました。」(優美) | ||||||
着うたに断ちきられたる春愁 | 暖流 | 「人の心情など、無頓着な電話。可笑しくもあり。」(ししうど) | ||||||
てなもんやわいは浪速や細雪 | しおみ | 「婿殿も、安浦刑事も見られないのか。ご冥福を。」(おさむ) | ||||||
闇照らす炎の舞のお水取り | 零風 | 「『炎の舞』と見える、思える。」(可不可人) 「一度は拝観したかった、行事でした。」(いくこ) |
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をさな子の頬ふつくらと桃の花 | あきこ | 「撫ぜたくなる幼子のほっぺですね〜」(ゆき) | ||||||
厳寒に藁が花守ぽたん咲く | 零風 | 「大根島、牡丹で日本一。真冬でも藁囲いの牡丹が公開されています。風情があり綺麗でした。」(霧子) | ||||||
終い雛じっと見つめる生命線 | 優美 | 「占いや八卦は信じませんが ふと自分の手を見て『これが生命線』と一人納得することがあります。」(和泉) | ||||||
土筆つみ童にかえり友笑顔 | ちあき | 「待ちかねた春になって土手の土筆を見つけた嬉しさ!幼い頃のように思わず笑顔がこぼれます。」(摩耶) | ||||||
万本の菜花に応ふ蒼き空 | 櫻貝 | 「目に浮かびます。日本に四季のある幸せをこんな時によりいっそう感じますね。」 |