平成23年12月 選句結果
得点 | 兼題 「障子」 | 作者 | 戴いた人 | |||||
4 | 新月を洗い障子の桟にかけ | 狂平 | すすむ | 晶子 | 瓢七 | 優女 | ||
4 | 老妻のくり言ばかり障子貼る | 静歩 | しおみ | あきこ | 七海 | 和泉 | ||
3 | オホーツクのひろがる空や白障子 | 春雪 | 葱坊主 | まさき | 優美 | |||
3 | 草庵の障子明りや丸き窓 | あきこ | 春雪 | 零風 | いくこ | |||
3 | 空耳と知りつつ障子に母の声 | 七海 | 西寿 | 可不可 | ゆき | |||
3 | 伝い立ち最初の「おいた」障子穴 | 和泉 | おさむ | ちあき | 狂平 | |||
2 | 冬障子灯もともさずに喪の家は | ゆき | あつこ | 静歩 | ||||
1 | 市松に障子繕ふ媼かな | 葱坊主 | 弓子 | |||||
1 | 障子穴塞いで無垢の花が咲き | 優美 | だいご | |||||
得点 | 雑詠 | 作者 | 戴いた人 | |||||
6 | 五年てふ未来の重さ日記買ふ | あきこ | あつこ | 晶子 | 七海 | 可不可 | いくこ | |
ゆき | ||||||||
5 | 別珍の柿色足袋や神楽坂 | 晶子 | 狂平 | 葱坊主 | 弓子 | 静歩 | 優女 | |
4 | 崩れたる土塀の内に花八つ手 | 葱坊主 | すすむ | 西寿 | 優女 | まさき | ||
4 | 掃きおへて茶を飲む間なくまた落葉 | 西寿 | しおみ | ちあき | 零風 | 和泉 | ||
3 | ふたりして見てみぬふりの年用意 | だいご | 春雪 | 七海 | 優美 | |||
3 | 御仏も見返る紅葉永観堂 | 春雪 | 晶子 | だいご | 弓子 | |||
2 | 小春日の空へこころの窓ひらく | あきこ | 可不可 | いくこ | ||||
2 | 恋心ヒミツ漏れそな冬木立 | 優美 | 狂平 | だいご | ||||
2 | 初雪や往く手の信号みんな赤 | 和泉 | しおみ | 葱坊主 | ||||
2 | 雪いよよ野山も里も包みゆく | いくこ | 春雪 | 西寿 | ||||
1 | あたたかき賀状岩手の友に書く | 静歩 | おさむ | |||||
1 | 隠居にもなんだかんだと年用意 | ちあき | ゆき | |||||
1 | 黄もみじ尽きる果てには赤鳥居 | しおみ | すすむ | |||||
1 | 着物きて錦秋の古都見物す | 零風 | おさむ | |||||
1 | 木枯の掃いては散りまた掃いて | まさき | 和泉 | |||||
1 | 山茶花の散りて届きし喪のはがき | 西寿 | 零風 | |||||
1 | 煤はらふ孫の背丈を仰ぎおり | だいご | ちあき | |||||
1 | だんまりを決めて見上げし冬銀河 | 七海 | まさき | |||||
1 | 妻逝きて一人もの言う師走かな | 七海 | あきこ | |||||
1 | 登校を急きたてる如時雨けり | 葱坊主 | あつこ | |||||
1 | 見られゐて一人の暮らし庭もみじ | ゆき | あきこ | |||||
1 | 雪道によろっめく老いの影二つ | いくこ | 優美 | |||||
1 | ロム専科老いのものぐさ冬籠もり | 零風 | 静歩 | |||||
私の選んだ一句 | ||||||||
新月を洗い障子の桟にかけ | 狂平 | 「いいですね。新月まで洗ったようで、今までにない新鮮さを感じました。桟にかけておきたいですね。」(晶子) 「満月を洗い格子の額に張り’発想’語句選び’構築。皆さんの句から’発想を頂いて'語句’構築を自分流に変えて見て遊びます・これは良いです絵でもやります。」(瓢七) |
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老妻のくり言ばかり障子貼る | 静歩 | 「主人にか、お嫁さんにか、どちらでもよろしいです。」(しおみ) 「いい句ですね、ウンウン頷きながら黙って障子を貼る姿が浮かびます」(七海) 「くり言は 半分は独り言でしょう。 聴くも愛。聞き流すも愛。」(和泉) |
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オホーツクのひろがる空や白障子 | 春雪 | 「青でしょうか 鉛色でしょうか そして北の海は流氷は・・・白障子から身近な生活、暖かな団らんとの対比で空は限りなく広がり厳しくとも暖かい家庭・・・色んな事を想像できました。」(葱坊主) 「スケールの大きな句ですね。オホーツクの冬の空は何色かな。障子の白が何とも明るく感じます。」(優美) |
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草庵の障子明りや丸き窓 | あきこ | 「障子の兼題を上手に詠み込まれたこの句に感服しました。京都の小さき寺院を詠まれたのでしょうか?」(春雪) 「京都の冬のどこかのお寺か忘れましたが、可愛い丸窓の風景が思い出されました。」(いくこ) |
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空耳と知りつつ障子に母の声 | 七海 | 「孝行不足が悔やまれる、私」(可不可) 「障子のやわらかい光りの中に母は何時も座ってました、懐かしいですね」(ゆき) |
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伝い立ち最初の「おいた」障子穴 | 和泉 | 「これ ほって置くと際限なく続くのですな」(おさむ) 「立って歩こうとする力強い意志を感じて・・・赤ちゃんって凄いなーー それから 『おいた』から知恵が芽生え・・・楽しいのでしょうね」(ちあき) |
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五年てふ未来の重さ日記買ふ | あきこ | 「五年先を見ておいでに成る逞しさ、健康、若さ、いいですねえ・・・ 羨ましい。」(晶子) 「未来の重さが効いています。良き日々でありますように」(七海) 「それは希望を忘れない自分史」(可不可) 「後五年・・・まだ五年・・・私は日記買うのやめました。日記には私の本心が書かれます私亡きあと、見た者がどう思うか恐ろしくて・・・」(いくこ) 「あと五年、何が書き込まれるのでしょうね?良いこと尽くめをお祈りいたします」(ゆき) |
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掃きおへて茶を飲む間なくまた落葉 | 西寿 | 「放射能の落ち葉なのかと、気がまわり選びました。」(しおみ) 「お茶を飲む間がなくても、のどかな風景ですね」(ちあき) 「同感です。葉を掃ける幸せ。茶を飲む幸」(和泉) |
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ふたりして見てみぬふりの年用意 | だいご | 「見て見ぬふりの難しいこと。下手に口出ししようものなら倍に返ってきますね。」(春雪) 「これ実感です、年ごとに見て見ぬふりが増えますねぇ」(七海) 「大掃除も昔ほど大げさではなくなりましたね。見て見ぬ振りがとても微笑ましく感じられました。」(優美) |
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御仏も見返る紅葉永観堂 | 春雪 | 「上手いところに見返り仏が出て参りました。お見事です。今は東大寺に有るのですか。奈良博でしたっけ忘れました。」(晶子) | ||||||
小春日の空へこころの窓ひらく | あきこ | 「心こそ大切なれ、と学ぶ」(可不可) 「鬱陶しい日が続いた後小春日和の日光にホッと心休まりますね。」(いくこ) |
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初雪や往く手の信号みんな赤 | 和泉 | 「初雪の取り合わせとして信号は斬新です。行くて とどう違うのでしょうか。」(しおみ) 「初雪、信号の赤、厳しい冬への思い 赤信号ではなく赤の色 暖かさ 厳しさに立ち向かう闘志 決意を想像しました。」(葱坊主) |
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雪いよよ野山も里も包みゆく | いくこ | 「我が故郷も雪の多い処でした。実景そのものを上手く表現されておられます。」(春雪) | ||||||
あたたかき賀状岩手の友に書く | 静歩 | 「賀状が出せるのは被害が少なかったからよかった」(おさむ) | ||||||
隠居にもなんだかんだと年用意 | ちあき | 「何にも出来ませんのに、師走は何かと忙しいもの、だそうです」(ゆき) | ||||||
着物きて錦秋の古都見物す | 零風 | 「着物を着ていると色々な特典がありますな」(おさむ) | ||||||
木枯の掃いては散りまた掃いて | まさき | 「我が家でも同様です。葉は散ってもまた来年には若葉が。」(和泉) | ||||||
雪道によろっめく老いの影二つ | いくこ | 「『よろっめく』言葉が既によろめいて雪道の危なさを強調していますね。影二つは危険を察知して手を繋いで歩いておられるのかな。私も雪道を歩いた若い頃を想い出しました。」(優美) |