和歌と俳句

新涼

一 二 三

大富士のはるか下雲涼新た 蛇笏

新涼やとり散らしある二三冊 万太郎

新涼の淵は影あそぶ魚もなし 秋櫻子

新涼やさらりと乾く足の裏 草城

新涼の水の浮べしあひるかな 敦

新涼や芝這ふ如く雨到る 立子

新涼の雲堂塵を許さざり 秋櫻子

新涼や禅宗坊主美しく 青畝

遠眼にも園新涼の岩の縞 爽雨

新涼や死んだ女房の一周忌 万太郎

闇の米うりにくる涼あらたなり 万太郎

新涼や起きてすぐ書く文一つ 立子

新涼の咽喉透き通り水下る 三鬼

新涼の水に老けたり水馬 青畝

新涼や約束の不意の客 立子

新涼や山荘の餉の生野菜 立子

新涼や人老い湖に齢なし 風生

新涼や臥言につづく深睡り 波郷