「愛がないんです」
どこまでも続く石段の一番下に腰掛けながら、私は俯いていた。足下には、ハムスターの死骸が転がっている。
「ハムスターが死んだんです。母が大変、大事にしていた。でも私は可愛がっていなかった」
傍らに腰掛けている白髪の老人は、黙って話を聞いている。服が中国服・紺色・・・中国の仙人です。
「皆、死んだんです。私の目の前で。苦しんでいた。鳴いていた。でも私は黙って見ていただけ。涙一つ零さなかった」
仙人は懐から紙を取り出し、筆かペンで何かをゆっくりと書いた。
『藍千尋』
手渡した紙には、それだけ、書いてあった。
仙人が初めて口を開いた。
「青は藍より出でて、藍よりも青し。尋は元々、中国の海の深さを測る単位。千尋は大変、深いこと。
あらゆる物が深い。知識、造詣、知恵、・・・そして愛」
彼はその紙を大切そうに私の掌に握らせた。
「これを貴女に差し上げよう。いつか藍が深まり、青になる様に」
彼は噛んで含める様に、言葉を紡ぐ。
「それを何度も書きなさい。何度も、何度も。その名を呼ばれると、貴女の中に、愛が芽生える。
それを書く度、誰かがその名を呼ぶ度、芽は膨らみ、育ち、やがて・・・青い花を咲かせるだろう」
彼は立ち上がり、ゆっくりと石段を昇り始めた。
「それは、神が、昔、余りの魔性の美しさ故に、造るのを禁じた、禁断の青い薔薇」
どこまでも続く石段を、彼は高く、高く、昇って行き、その姿は段々小さくなる。
「何時か、その花が咲いたなら、静かに私に見せて欲しい。そう、静かに」
彼の姿は光の中に、今にも消えそうだ。
「ここだけの話」
不思議な事に、私には、彼が何とも云えない笑みを浮かべた様に思えた。
「神は後悔しているのです。自分で禁じて於きながら、少し、少しずつですが、実は、惜しい事をしたと」
彼の姿が完全に見え無くなると、耳元で声がした。
「私が最初のその名を呼ぼう。『藍千尋』起きなさい」
仙人の名は呂洞賓。八仙の一人。
大天使ルシファーが堕天使へ降格。魔界成立。エジプト神話ギリシャ神話の神々を悪魔として幽閉。
私は結界から逃げ、中国まで飛んだ。
中国の四川省。化け物と呼ばれ、私の大きい魂は道教の道士の壺に入れられ、道士達はアヘン戦争で集団自決。
壺を探したが、壺は不明に。途方にくれた私を助けた恩人の仙人が呂洞賓。
呂洞賓の云う通りに月の精気を吸い、私は植物に生まれ変わった。
四川大地震で、私の壺は少し割れ、欠けた穴から、現在の私の魂は繋がっている状態。
夢で天使がお説教「貴女の心の声は大きく、地球の正反対にも筒抜け。うるさい!」。
『藍千尋』何度も何度も、書こうと思うのです。何時か、誰かがこの名を呼んでくれたら、と思うのです。
楽しみなんです。青い薔薇が咲くのが。見たいのです。
私が差し出すそれを見て、彼が嬉しそうに、ゆっくりと微笑むその顔が。
昔のペンネームは、藍千尋だった。
2004年3月~4月の夢
この夢を誰か、英語やフランス語、外国語に翻訳し、外国に伝えてください。
2007年『青い薔薇』が完成する前の夢です。あしからず
私の名はcornelia。お願いします。
こうねりあの画廊・夢日記はパソコンに日本語入力必要。文字化けします。
CIAよりカトリック総本山バチカン情報の方が速い。
ヘルメスに捧げる。
