香格里拉、そこは全ての人が恋焦がれ止まない場所、であるらしい。いつも飛行機では申し訳ないので、今回は長距離バスで旅してみることにした。
午前中に昆明駅前バスターミナルへ切符を求めに行く。午後5時発、翌朝8時着とのこと。出発時間が少々早いなと躊躇していると、客引きのおばさんが脇から顔を出す。「最新型のバスだよ。間違いないから」だそうだ。おば様に言われるまま、実地検分。確かに最新型らしい。寝台も3列だし、快適そうではある。正面窓は、すでに「昆明〜香格里拉」の表示が…。運転手の「うちのバスは間違いなく時間通り出発するから、ちゃんと5時前にバスに乗ってね」の言葉につられ、切符購入。
4時45分、バスターミナルへ。例のバスはそこに。しかし、そこからが長かった。延々待たされること1時間、ようやくエンジンがかかったかと思ったら、ターミナル職員のお出まし。「同志の皆様、とってもごめんなさい。このバスに少々の故障が発見されたので、向かいのバスに乗り換えてください。」
オイオイ,仮にもプロなら、客が集まる前に車両検査をしなさい…と言っても無駄なので,言われたとおり車両交換に応じる。さっきのバスは定員の半分以下の乗車率。今度のバスは定員一杯。本当に車両故障だったのかどうかはあやしい。
ともかく1時間半遅れて6時半、ようやく出発。昆明市内を出る前の検査、ガソリンスタンドで給油、1時間に1回休憩タイムが入る。曇っていた昆明。でも走り始めたら雷雨になった。ようやく2時間に1回くらいの割合で休憩しながらも走り始める。香格里拉へ行く気はあるらしい。
こちらは眠ったり起きたりしながらだがバスは進んでいるようだ。最初の2時間くらいは日本人張りに時計を見たりしていたが、楚雄で高速道路に入ってからは流れに身を任せるようになる。気がついたら一般道を直走り、橋を渡って橋頭(香格里拉県開発区」)に到着。あとはうつろな目で車窓を眺めながら高度を稼ぐ。まだ緑になっていない草原を走り、次に我にかえった時には空港が見えた。荷物をまとめているうちにバスターミナル着。時の流れと言うのはこちらの考え方次第でどうにでもなるもの、ではある。時刻は丁度1時間半遅れの9時半。
ひんやりとした朝の空気を肺に送り込みつつ、長征路を歩く僕だった。
見た目はかっこよいがドタキャンしたバス。行き先は香格里拉になっている。
バスの窓から草原と雪山を見る朝。到着は近い。
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