■コラム3:料理の工夫
遊んでくださった皆さんのおかげで「盗人講座」には多くの感想をいただくことが出来ました。
感想を貰えるのは何よりの励みであり、怖いものだったりします。
そんな感想の中、『サンプル素材を中心に使っているのに面白い。』
・・という声を何度か頂く事がありました。
これは私にとって嬉しく、そして意義深い感想です。
「盗人講座」はほぼ全てサンプル素材を組み合わせて作った地味なゲームです。
一本のゲームとして見た時、「地味」という第一印象は大きなマイナス要素で、
視的にも力を入れるべきなのは明白です。総じて高度な技術もありません。
でもこれは制作当初から決めていたことでした。
「技術」より「工夫」で勝負をしたかったというのがその理由です。
少し昔話になりますが、ゲームデザイナーに漠然と憧れていたのが中学2年の頃。
本気でゲーム作りを仕事としてやっていきたいと思ったのが高校2年の頃。
大学か、ゲームの専門学校かで自分なりに悩んでみましたが結局大学を選びました。
当時からゲームを創る仕事の中でも企画職、プランナーがやりたいと思っていたので
ゲームのことしか勉強できないであろうイメージの強かった専門学校が、
本当に企画職に向いているのかと不安に思ったから大学に進みました。
かなり田舎者の自分にはゲーム作り以前に一般常識&経験が
足りなさ過ぎたというのも大きな理由の一つです。
仕事としてのゲーム創りが共同作業であることは、その手の本で散々見ることができました。
プログラマーやデザイナーなど仕事はそれぞれのプロフェッショナルと分業になるのだから、
あくまで企画がやりたい自分は企画としての力を身につけようと考えました。
大学生活はそんな思考が基本となって過ごしてきました。
そして今でもその考え方は根本的には変わってなかったりします。
企画屋にあれば良いなと思うのは、独創性や集団作業での協調性、その他諸々ありますが
同じ創作チームのプロフェッショナルが仕上げてくる素材を最高の形で使いこなしたり、
ニーズや状況に合わせて行動できる「応用力」も外せないなと思います。
「盗人講座」は学生生活の集大成と思い、ちょうど四年次に一年かけて完成させました。
オリジナルプログラムやグラフィックはないものの、
サンプルとして既にそこにあるものを最大限、魅力的に使おうと勝負した次第です。
幸いにも制作中にSFC版「RPGツクール」にはまっていたという絵描鬼と知り合ったり、
素敵過ぎるBGMの数々を借りることが出来ました。
惚れ込んだ曲をなんとか「魅せる」場面で使いたいばかりに増えたイベントも数知れず。
絵は絵描き、音は作曲家、設計は企画屋。
自分の力を試したい場所に全力を注がせてもらいました。
会社もやはりそんなところで、窮屈なところもあるもののやりがい感じながら修行中です。
私は一人でマイペースにゲーム屋を目指してきた人間なので
コンテストや公募などのチャンスを目処に活動やってきてました。
残念な結果に終わることは多々あっても
自分の作品がぶつけられる場所があるっていうのは幸せなことだなぁと思います。
どっちに転がっても学ぶことはホントたくさんありすぎる。
盗人講座を完成させ、多くの人の声を頂いて再確認した自分の持ち味とやりたいこと。
このHPを開いたのも今、この時で良かったとつくづく思うこの頃です。
( 完 )
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