古事記のものがたり 第一話 創世の神々と高天原 |
これから見本として読んでいただくのは初版のものです。 (1999年) 現在は18刷(平成27年現在)でさらに内容をふくらませて加筆した改訂版となっています。 新しい時代に向けて、表紙のイラストも『アメノウズメ』からイザ『ナギとイザナミの国生み』へと変更しました。 ご購入の際はぜひ最新刊をどうぞ。(2015年7月22日記す) |
ん? わたくしですか? わたしは稗田の阿礼と申すものでございます。 一三〇〇年ほどまえに朝廷に召し出されて、わたしが聞き覚えておりました神話を、太安万侶に語ったことがありました。安万侶 は、わたしの話を『古事記』という書物に編み、後の世に伝えると申しておりました。 『古事記』には、この宇宙の始まりや日本の国の始まり、神々の歴史や日本人の自然観、風習など、わたしたちの祖先が語り伝えてきた大切な物語りが書かれております。ところが、その『古事記』が今の日本の人々にまったく伝わっていないうえに、忘れ去られようとしております。 ああ、わたしは悲しい。 それを、いま一度語りついでもらいたくこの世に現れてきたのでございます。わたくし阿礼が、全身全霊をもってこの「日本の神 話」を語らせていただきたいと思います。 まずは創世の神々のお話です。ではでは。 第一話 創世の神々と高天原 ふることに伝う。 この世界のはじまりは、天も無く、地も無く、時間も空間もな い。有るのか無いのかもわからない。混ざりあっているようで、混ざってもいない。ただただうす暗く、もやもやとした状態が果てしなくどこまでも広がっているのでした。呼び名もまだありません。 そのとき、天の中心から、 「た・か・あ・ま・は・ら(高天原)」 と呼ぶ声が聞こえたように思われました。すると、天と地が分かれだし、たくさんの小さな光の粒がこの世界に現れたのです。 あめのみなかぬし(天之御中主)の神でした。 宇宙の心そのものであるこの神様は、あらゆるところに満ちあふれておられたために、誰もその姿、形をとらえることができませ ん。 そのつぎに、天からくるくる回転しながら、たかみむすひ(高皇産巣日)の神が現れました。つぎに、地から同じように回りながら現れたのは、かむみむすひ(神皇産巣日)の神でした。 この二柱の神々もやはり姿、形が見 えないのでした。 宇宙の始まりでございます。 このあと、たくさんの神様たちがお生まれになりますが、そのお話はまたこの次に。 |
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