夢惑う世界 草紙<蜃気楼> |
蜃気楼 その110 | 発行日 2010年4月25日 編集・著作者 森 みつぐ |
||
季節風
部屋に居ると、夕方、外でドサッという音がしたので、窓から外を見ると、隣家の庭の大木の太い枝がバッサリと折れていた。ちょうど、その前の日曜日に高い枝先に造っていたカラスの巣を落とそうとして、その家の人が、太い枝ごと切り落とそうとして、電動ノコギリで切っていたが、途中で動かなくなってしまい、そのままになっていたのが、その後の風や枝の重さで、今日、折れてしまったのである。
折れたとき、カラスの悲鳴?が聞こえてきた。抱卵の最中だったのだろうか。カラスお気に入りの大木も、今は無残な様相を呈している。そんな今年の春は、少し遅くなりそうである。 |
言いたい放題
NHKのニュースを聞いていたら、「生活保護を受けている世帯よりも低い所得の世帯が229万世帯もある」という報道があった。生活保護は、最低生活費を保障するもののはずなのに、それを下回る世帯が、何故、生活保護の受給を受けてないのだろうか。翌日の読売新聞には、「2007年の「国民生活基礎調査」から推計した場合、全国に低所得世帯(受給世帯を含む)は337万世帯あり、このうち68%にあたる229万世帯は生活保護を受給できる可能性があるにもかかわらず、していないとみられる。」とあった。
生活保護の対象となる生活水準より収入が少なく、貯蓄など一定の資産もないという条件が受給対象みたいなのだが、その実態をもう少し正確に把握する必要があるのではないだろうか。貯金があってはならないという条件は、問題が多い。少しでも将来に備えておくというのが、一般の家庭ではないだろうか。生活が苦しくても、子どもの将来のために貯金をするというのが普通で、そうすることと生活保護が受けられなくなるということは、まともなことではない。
これは、低所得世帯の実態把握を自治体が積極的に行う必要があろう。窓口で申請を待つのではなくて、積極的な調査をして、生活困窮世帯の支援を進めて欲しいものである。 |
||
つくしんぼの詩
新聞記事に、「日本自動車工業会が8日発表した2009年度の「乗用車市場動向調査」で、全国で乗用車を保有する世帯の比率は、75.8%となり、前回(07年度)調査比で3.4ポイント減少し、1995年度以来14年ぶりの低水準となった。」とあった。そして、「買い替えについても、環境に配慮したエコカーへの関心が年々高まっている」と。
不況の影響かどうかはともかく、車を持つ世帯が減っていることは、まことに良いことである。しかし環境に配慮したエコカーに買い替えとは言わないで、車が今まで、どれだけ多くの人々を殺傷し続けてことを直視し、マイカーに、もうそろそろ決別して、心穏やかな生き方を選んでみてはいかがだろうか。 |
|||
虫尽し
前回、台湾に来たとき、駅からそんなに遠くないところにある小高い丘に、整備された小径を見つけた。こんもり茂った林だったので、もう一度、いつか来ようと思っていた。
クマゼミとニイニイゼミの仲間が、まだ賑やかに啼いている小径を歩いていた。今回は、アブやハチもバッタも執拗に採集しようと思っていたが、どうもぱっとしない。林も抜けて、シロバナセンダングサが咲いている場所を歩いていた。秋だと言うのに、全くバッタが跳び出してこないと思っていたら、突然、馬鹿でかいバッタが跳び出してきた。"逃がしてたまるか!"と鷲掴みすると、踏ん張った後ろ脚の棘が指の皮膚に突き刺さるように痛かった。 |
|||
情報の小窓
『それまで何十年間にもわたって年率五%もしくは、一〇%の経済成長を経験したあとに、国民総生産が一年のあいだに一〇%落ち込んでも、多くの場合、さほど深刻な事態にはならないはずです。しかし、重荷を社会全体で広く分かち合うかわりに、無職の人やリストラで解雇された労働者たちなど、それを負担する力が最もない人々に、すべてがのしかかるのならば、そうした経済的衰退は、何百万もの人々の生活を破壊して悲惨な困窮状態をつくりだすことになります。』
集英社新書「貧困の克服−アジア発展の鍵は何か」アマルティア・セン著 |
|||
Copyright (C) 2010 森みつぐ /// 更新:2010年4月25日 /// |