夢惑う世界 草紙<蜃気楼> |
蜃気楼 その121 | 発行日 2011年6月26日 編集・著作者 森 みつぐ |
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季節風
夏至を迎えるころになると、札幌も気温が上昇して30℃近くになる日もある。小さな葉っぱをいっぱいに纏ったニセアカシアの白い花々が咲き始めて、心地好い香りが漂い始めた。
路傍の雑草が勢いよく伸びてきたので、歩行の邪魔になるようなところでは刈り取りが始まった。その中でも一番、邪魔になるほど大きくなるのは、2mを超えるほどになるオオイタドリである。黄色いタンポポは終わりに近付いてきて、それに代わって細い茎の黄色いブタナが増えてきた。 |
言いたい放題
3月の読売新聞に載っていたトヨタマーケティングジャパンと三菱総合研究所が「バブル時代」を経験した現在の40〜50歳代男性の調査結果、「仕事に対する姿勢は、「自分のテーマ、目標に向かって精一杯努力している」がバブル期の46.9%から16.0%に減った。家族との関係については、「夕食はだいたい家族と食べる」がバブル期は23.8%にとどまっていたが、現在は51.2%に増えている」と。そして、最近の読売新聞には、産業能率大の意識調査で「今年の新入社員のうち、「終身雇用を望む」と答えた割合が74.5%と過去最高だった」と。
日本人の価値観が大きく変わったことは、確かなようである。死ぬまで働き続けてきた仕事人間たちは、バブルの崩壊を経験し長引く不況の煽りで人生設計の基盤となっていた終身雇用も失い、人生観は大きく変わったことだろう。会社より家庭への回帰は望まれることである。この次は、家庭から少しでもいいから地域社会へと一歩踏み出して欲しいものである。
長引く不況の中で若者たちも終身雇用を望むようになってきたことは、人間として当然のことのように思われる。安定した収入と将来に亘って生活設計できるという安心感は、何物にも変えられない重要なことである。 |
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つくしんぼの詩
高速道路料金、休日上限1000円と各地の無料化実験が大震災の復興財源確保のために廃止された。移動手段はマイカーだけではないはずなのに、何故こうも人はマイカーに執着するのだろうか。
長所、短所を冷静になって論理的に考えてゆくと、人道的にはマイカーは運転しない方がいいという結論に達すると私は思っている。公共の乗り物が不便なのは、マイカーが多いという要因が大きい。交通弱者は、マイカー利用者が生み出した産物の一つということもじっくり考えて欲しいものである。 |
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虫尽し
インドネシア・スラウェシ島の州都マカッサルで夜、舟形屋根で有名なトラジャ地方へ行くために、パン屋でバスが来るのを待っていた。バスが停車する度に、乗客が降りて来て夜食にするパンを買って行く。
そのパン屋の椅子に腰掛けて予約したバスを待っていると、床を黒い物体が駆け寄ってきた。“何かな?”と思ってよく見ると、大きなゴキブリだった。じろじろ見ていると近くにいた人が、私と目が合ってニコっと笑った。他の人がいなかったら掴まえるのだが。 |
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情報の小窓
『禅の言葉にも「黙」というのがありますが、ときには黙っていることは人を動かす大きな力になる、そこなんです。
自分の意見を押しつけることは、けっしてしちゃいけない。敵対関係を持たないこと。みんなと融和しながらやってゆく。お前の意見はだめだとか、否定する言葉は絶対に言っちゃいけない。これはリーダーの基本ですね。みんなの意見をまとめることが自分の役どころと心得ることです。』 集英社新書「無の道を生きる−禅の辻説法」有馬ョ底著 |
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Copyright (C) 2011 森みつぐ /// 更新:2011年6月26日 /// |