夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その126 発行日   2012年2月19日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 2月に入って、この冬最大の寒波が到来し、地球温暖化の中での、寒い冬を過ごしている。それでも、同じ2月に入って最高気温がプラスになる日も出てきた。寒い日が続いても、週に2日3日とプラスの気温になる日があると、硬く凍りついた雪道も緩んできて、融けた水がちょろちょろと流れ始める。
 九州南部を前線を伴った低気圧が通過し、太平洋側を北上してゆく。春の訪れを呼び込む気圧配置である。三寒四温がまもなく始まり札幌も、雪融けのシーズンを迎えることだろう。
  言いたい放題
 「東日本大震災の被災地で処理しきれないがれきを巡り、全国の自治体で、いったん受け入れを表明しながら、住民の反対で交渉が難航するケースが相次いでいる。」(読売新聞より)
 がれきの処理は、被災地の復興にとって、まず最初に取り組まなくてはならない作業である。がれきを処理しないかぎり、次のステップへの移行が難しい。
 受け入れ自治体の住民は、がれきに付着した放射能を懸念しての反対運動を展開する。がれきの処理は、被災地だけでは無理であることは分かっているはずである。放射能のリスクも、問題ないレベルのがれきであることが処理条件になっていることを知っているはずである。このような非常事態時において、何故、国民は一致団結できないのだろうか。リスクを、全国で分かち合おうとしないのだろうか。沖縄に集中する米軍基地問題も然りである。リスクを分散して、他県で米軍基地を受け入れようという自治体は現れない。総論は賛成しても、各論は反対する。自分のところに関係するとなったら、お断りだとなる。日本人の国民性である。
 被災地の復興を、早く進捗させなくてはならない。静岡県島田市で、がれきの放射能レベルの安全性を確認する試験焼却処理が行われている。分からず屋の住民たちには、客観的データを示すという地道な作業を繰り返して、信頼を得るしかないみたいである。
  つくしんぼの詩
 「国土交通省は、都市をコンパクト化して環境に配慮した街づくりを自治体に促す新法を通常国会に提出する。病院や学校、商業施設などの都市機能を中心部に集約し、車に頼らない都市にすることで温室効果ガスの排出を抑える狙いだ。
 新法は「低炭素まちづくり促進法案」で、2012年度中の施工を目指す。」(読売新聞より)
 車に頼らない街づくり。大歓迎である。温室効果ガス問題のみならず、人命尊重に繋がるからである。そして交通弱者や高齢者にとっても、優しい街づくりにもなる。優遇措置を大いに活用して、早くモデル地域を立ち上げて欲しいものだ。
  虫尽し
 インドネシア・スラウェシ島中部のトラジャ地方から車で1時間ほどの山岳地帯で昆虫採集をしていた。
 以前来たときよりは、少し山径は開けて乾燥しているようにも感じた。そんな小径を汗を掻きながら歩いていると、手や腕に止まる虫がいた。鬱陶しいハエではなく、小さなハチのようであった。ときどきハチであったことを忘れてしまい、無意識のうちに手で払い除けたりすることがある。そして、手痛い仕打ちを被ったりするのだが、今回のは、よく見るとハリナシバチの仲間だったので、心配することはなかった。
  情報の小窓
『とりわけ「こころを育む」というような場合、長期の将来展望に立つ教育軸の開発が欠かせないだろうと思います。ところが現実には、それがそうなってはいないのではないでしょうか。世をあげて経済のグローバル・スタンダードを口にする人は多いのにたいして、教育のグローバル・スタンダードに言及する声があまりきこえてこないからであります。いくら「こころの教育」を叫んでみても、そのじつ現実にやっていることは右を見ても左を見ても対症療法的な「丁稚教育」ばかりが目につくのではないんでしょうか。』
 小学館101新書「いま、こころを育むとは 本当の豊かさを求めて」山折哲雄著

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