夢惑う世界 草紙<蜃気楼> |
蜃気楼 その141 | 発行日 2013年6月23日 編集・著作者 森 みつぐ |
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季節風
今年は、6月に入ってから一気に暖かいというよりは暑くなってしまった。遅れていた紫や白いライラックの花も、ライラック祭りが終わってから咲き始めた。今は、各種のツツジが色とりどりに咲き、賑わいを見せている。そして、ニセアカシアの仄かな薫りが漂っている。
緑多い市街地にも、やっとエゾハルゼミの透き通った啼き聲が響き渡るようになって来た。これから本州の梅雨の影響を受けながら、札幌も本格的な夏を迎えることになる。そして、夏至も間近である。 |
言いたい放題
「政府は18日午前の閣議で、2013年版の「こども・若者白書」を決定した。15〜24歳の若者を対象に2012年の雇用状況などを調べたところ、仕事を持たず、通学も家事もしていない若年無業者(ニート)は約63万人で、前年より約3万人増えた。ニートの若者が全体に占める割合は2.3%となり、統計を取り始めた1995年以降、最も多かった。(読売新聞より)」
人口減少社会を迎えている。労働人口も減少してゆく中で、次世代を担う若者がこのような状況では、日本の将来に、少し不安を感じてしまう。戦後、一世代ごとに、経済も社会状況も大きく様変わりして、急激に変わる社会システムに順応することが非常に難しくなっている。一昔前の親世代における経験は、こどもの世代には、もう通用しなくなっているのである。
中途半端に終わりにしてしまったゆとり教育から、また知識偏重の学力向上を目指す教育へと舵を切ろうとしているが、心の病を患う若者は、更に増えてゆくように思えてならない。雇用環境の悪化も、ニートの若者を創出していることだろう。ニートの問題は、こども・若者だけの問題ではなく、青年たちにも大きく影響を及ぼし、社会全体の問題でもある。やはり、幸せとは何かをもう一度、考え直すときが来ているように思う。 |
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つくしんぼの詩
先日、NHKのニュースを見ていたら、うろ覚えではあるが、“2100年には、日本人の平均寿命が94歳になる”といっていたように聞こえた。私は2100年まで生きられないが、寿命が94歳だなんてちょっと考えてしまう。
まずは、健康な状態でいられるかどうかである。あちこち傷んでくるのは承知の上だが、寝たきりは困ってしまう。また、私自身は心配していないのだが、高齢になっても生き甲斐を持って生きている人はどれだけいるのだろうか。長寿の質を高めるために、今をどう生きるかが問われている。 |
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虫尽し
6月も中旬、今年の遅かった春も、今やキアゲハ、ミヤマカラスアゲハやオナガアゲハも翔び始めて、タニウツギの花にも、マルハナバチが訪れるようになっている。
まだ開ききって間もないミズナラの柔らかく瑞々しい葉をじっと見ていた。“あれっ!なんだ!”葉の付け根に小さな幼虫を見つけた。シジミチョウの幼虫である。近くの葉を見ていると、葉の裏に一匹、そして別の葉の表に一匹、幼虫を見つけた。幼虫をじっくり見ていると、3匹とも違う種類のシジミチョウである。“ラッキー!!” |
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情報の小窓
『結局、こういう格差社会を支えているのは前者の考え方です。格差が是正されないのは、前者の行動原理が大きな動機づけになっているからです。「自分だけは」「自分の家族だけは」という行動に走れば走るほど格差はなくならないでしょう。だから今、それがみなさんに問われているのです。自己救済に走るのか、もっと連帯を考えるのか。
しかし今の日本の社会では人と人との結びつきが弱い。・・・(省略)・・・ 不幸になる人は、不幸になるだけの理由がある。自己責任というわけです。いちいちそれに構ってはいられない、こんなムードが支配的です。このムードを変えていくには、個人の幸せの中に逃げ込むのではなく、もっと広い世界を見据え、横のつながりを求めていくことが必要です。そして分断から連帯へと、絆を深めていくしかありません。』 集英社新書「ニッポン・サバイバル―不確かな時代を生き抜く」姜尚中著 |
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