夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その163 発行日   2015年4月26日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 街路樹の根元に、にょきにょきと土筆んぼが立ち並んでいる。日当りの良い所では、早咲きのタンポポも黄色い花を咲かせ始めている。春が、足早にやってきた。蕗の薹は、あちこちで顔を出し、そして伸び始めているのもある。
 民家の庭に咲いていた福寿草やクロッカスの花は、そろそろ終わりを迎え、鮮やかな紫色の小さな花をいっぱい咲かせるエゾムラサキツツジがほころび始めてきている。ホームセンターには、ビオラ、パンジーなどの花がいっぱい並ぶようになった。
  言いたい放題
 先日、山梨リニア実験線の有人走行試験で、時速603キロを記録したというテレビ・ニュースを見ていたら、車内に映し出されたモニタの画面には、リニアの軌道やトンネル内の側壁が勢いよく流れていた。12年後の2027年には、東京と名古屋間で営業運転が始まる。
 多分、私はこのリニア新幹線には乗車することはないだろうなと思っている。会社の出張で乗るならば、時間優先で利用するかも知れないが、今となっては、移動はやはりのんびりと車窓から見える景色を堪能しながらの電車がいい。どんなに急いでも、新幹線であろう。長距離移動ならば、遠景しか楽しめない飛行機になる。
 私が子どもの頃、このリニアモータカーの他にも、トンネル内をマッハ1ほどの高速で移動する弾丸列車の構想があった。その実験をテレビで見たことがあるが、早過ぎて列車というよりも槍が突き進んでゆくようだったことを覚えている。“有人走行は無理じゃない!”と思った。この構想は、どうなってしまったのだろうか。もしリニア新幹線が札幌と東京間を走るとなれば、多分、飛行機よりもリニア新幹線の方を選ぶだろうが、東海道以外には延伸することはないだろう。
  つくしんぼの詩
 だんだん便利になって来て、サービスの向上が図られてきている。多くの店でポイント・カードが発行され、お客の囲い込みに拍車が掛かっている。ただ問題は、ポイントの利用方法が徐々に複雑化していることである。
 あるスーパーで、今までは500ポイント貯まったらレジで500円券を配っていたのだが、あるときから専用端末を使って、自分でカードを挿し込んでいろんな画面をタッチしながら券を発行するようになった。先日、私が端末で操作をしていると隣にいたおばあさんがどうしたらいいか教えてと言ってきた。また、何千ポイントも貯まっているおじいさんも。高齢者には、優しくないシステムとなってきた。
  虫尽し
 私は札幌市の郊外に住んでいる。緑も多く、山や川も近いせいか、4階のベランダにも毎年いろんな虫さんが訪れる。去年は、ビロウドコガネの仲間が何種類か這い回っていた。小形のカミキリムシやゴミムシも見つかる。
 私の洗濯物を干すときの楽しみの一つになっている。以前、蜜柑の木があったときには、札幌に帰って来てから一度も見たことのなかったナミアゲハの幼虫を何匹も見つけたこともあった。私の小さな小さな採集場所である。
  情報の小窓
『問題は、そのように立派ないいことを前面におし出しつつ、まったくそのことと逆のことが人間にはできるということなのである。ある一人の人間を搾取するための美名が「われわれはみんな一緒なのだ」ということである。
 うつ病に苦しむ人間、偏頭痛に苦しむ人間は、「われわれはみんな一緒なのだ」といわれながら、実は一人ぼっちだったのである。卑怯者たちは「家族の固い団結」をとなえながら、彼を家族の枠の中に縛りつけた。家族の枠の中に縛りつけながら、利己主義者達は彼を仲間はずれにした。』
 PHP研究所「「自信が持てない人」の心理学」加藤諦三著

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