夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その174 発行日    2016年3月20日
編集・著作者    森 みつぐ
  季節風
 土の香りも、もう少しで漂ってきそうである。街路樹の除雪され土が現れた根元では、チューリップと思われる芽が顔を出していた。あともう少しで歩道からも雪は消えてゆくことだろう。
 昨春、母が孫からプレゼントされたラン科のデンドロビウムは花が終わった後、株分けして新しい茎も大きくなったのだが、残念ながら今春は、未だに蕾は付けていない。1月から咲いているオレンジ色のカランコエは、まだ咲き続けている。そしてハイビスカスは、新しい葉が少しずつ伸びてきた。もう少しである。
  言いたい放題
 「環境省は27日、沖縄県の沖縄本島北部のやんばる地域に新しい国立公園「やんばる国立公園(仮称)」を作る方針を決めた。やんばるを含む「奄美・琉球」地域の世界自然遺産の登録に向け、開発や農林業を制限する国立公園化への地元同意が進んだ。今後、環境保全と地域振興の両立に向けた取り組みを加速する。意見募集を経て今年6月にも正式決定する予定で、指定されれば、国内33番目の国立公園となる。(読売新聞より)」
 先般、「西表島全域国立公園」から矢継ぎ早に、沖縄本島北部も国立公園に指定しようとしている。とうとう奄美・琉球地域の世界自然遺産に向けて突き進んでいるようだ。昆虫採集を趣味とする私にとっては、大きな脅威である。日本の世界自然遺産は、知床、白神山地、小笠原諸島、屋久島の4ヶ所である。何処も魅力たっぷりな地域である。その魅力ある地域が、どんどん世界自然遺産に登録されると、私もお手上げである。
 世界でもあちこちで自然保護のみならず資源保護で採集禁止、持ち出し禁止の地域や国が多くなって、私にはさっぱり分からない。現在、明らかに手付かずの自然が残っているところなんてありはしない。少なくなったがあまり人が入り込んでいない自然が世界自然遺産に登録されると、もはや私の行くところはなくなってしまう。人の目に触れる前に絶滅してしまう生き物がないことを願うだけである。
  つくしんぼの詩
 3月26日函館に新幹線がやって来る。経済面や観光面からは、非常に喜ばしいことであろう。ただ、この日から新幹線との並行在来線はJRから分離され、新規鉄道会社として経営されてゆくことになる。
 新幹線の開通に乗じて赤字路線を分離することで、それを引き継ぐ鉄道会社は、人口減少の中、乗客の減少を受け、倒産に追い込まれることは必至であろう。公共の乗り物を奪われることで一番の痛手を被るのは交通弱者である高齢者なのである。何とも納得のいかない並行在来線の経営分離である。
  虫尽し
 ここ数年、定山渓の林道でムカシトンボを見ていない。ムカシトンボは、林道上を低空で飛ぶので、視力の悪い私は、擦れ違うまで気が付かないことがある。でも驚かさなければ、またUターンして戻って来るので、タイミングが合うまで待てば意外と取りやすいトンボである。
 ただ最近は、見かけてもすぐ網を振らずに、下草に止まるのを願うのだが、残念ながらそのような状況にならない。採るのではなく、撮りたいのだが、その機会に巡り合えないどころか、ここ数年は、ムカシトンボも見ていない。カメラを持ち歩いていなかった頃、室蘭と岩手で止まっているところを見たことはあったのだが。
  情報の小窓
『白己中心の入は、たとえば“食事とはこうするものだ”とか“文章とはこういうものだ”とか、固定した観念にとらわれている。文章にも難しい文もあれば、易しくて楽しい文章もある。学術論文の文も文だが、娯楽読み物の文も文である。しかしそのものに応じて意味を認められず、“文章とはこういうものだ” という固定観念から、ほとんどあらゆる種類の文に否定的判断を下す。さらには“人間とはこういうものだ” という固定観念を持ち、自分とは違う他人の生き方を認めることができない。』
 PHP研究所「行動できない人の心理学」加藤諦三著

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