夢惑う世界 草紙<蜃気楼> |
蜃気楼 その183 | 発行日 2017年1月22日 編集・著作者 森 みつぐ |
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季節風
国道の車道と歩道の間には、うず高く積み上げられた雪が両者を分断している。中には、2mを超える雪の壁となっているところもある。どか雪が降るのは2月が多いのだが、この冬は12月にどっと降った。さて今年の2月はどうなるであろうか。
先週、かなり寒い日々が続いたが、最近の気象は、極端から極端へと移行することが多いので、寒さ、雪の量もこの先どうなるかさっぱり予想が付かない。氷点下10数度の雪道を歩くとキュッキュッという音が鳴る。北国の冬の音である。 |
言いたい放題
「政府が進める働き方改革に合わせ、長時間労働を改善する動きが企業で広がる。今春闘では賃上げとともに働き方改革が柱となるうえ、電通の女性新入社員の過労自殺問題で、違法な残業の実態が明らかになったことが背景にある。効率的に働き、残業を減らすことは、企業の国際競争力を高めるとともに優秀な人材確保につながるとの期待もある。ただ、長年続く労働慣行だけに、政労使の取り組みが問われる。(読売新聞より)」
長時間労働が今、話題になっているというより、問題となっている。電通の女性新入社員が違法な長時間労働により過労自殺をしたのである。でも、今に始まった問題ではない。「過労死」「過労自殺」という言葉が定着しているように、戦後の高度経済成長時代には、当たり前に長時間労働が労働者に求められていたのである。私が働き出した1970年代後半には、当然のごとく長時間労働が求められた。仕事を覚えるために続けてきた長時間労働を、ある程度習得した時点で残業を減らすと、管理職の態度は一変して厳しく当たるようになっていった。こんなものである。管理職にとっては、“みんなと一緒に行う長時間労働が、部下を管理するための一手法”なのである。月100時間の残業は当たり前、業績が悪い時は、サービス残業が強要されたのである。中小企業だけの話ではなく、大企業でも、ごく当たり前に行われていることである。
安倍政権は今、長時間労働などを是正する働き方改革を進めるというが、何をどう行うのか全く見えて来ない。1980年代にも労働組合が、総労働時間年1800時間や年休取得の推進を叫んでいたが、結局、何も実現できていない。今回は政府が主体で行うというが、強力な反対勢力である企業は、別の抜け道を必ず用意することだろう。そして政府は、それを黙認する。日本の労使の力関係は、全く変わらないだろう。 |
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つくしんぼの詩
交通事故で股関節に入ったひびのせいで親のところへ行くのにバスを利用していたが、かなり良くなってきたので、先週から往きは歩くことにした。昨年の大晦日、親の近くのお店をぐるぐる回りながら1万4千歩と、交通事故後、初めて1万歩以上を歩いた。痛みは然程なく、久し振りなので少し足に疲労を感じた程度だった。往きはデイパックも空なのだが、帰りは食料品を買ってデイパックや手提げバックに入れて持ち帰るのでその重みがむち打ちや頭の激突でダメージを受けた首にのしかかってくるから、まだ帰りはバスなのである。
歩いていて一番注意する所は、車道を渡るときと駐車場の出入り口である。路面は硬くなって滑るし、雪が邪魔をして見えにくくなっているので車が危険なのである。 |
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虫尽し
春から秋にかけてベランダに出していた鉢植えの植物を部屋に取り込むと、部屋の中には、それから冬になっても黒っぽい翅の虫が飛び交うことになる。部屋の中は常春なので、餌となる腐葉などが土に交じっていれば、いつまでも世代を繰り返しているのである。
クロバネキノコバエの仲間である。パソコンに向かいながらコーヒーを飲もうとすると、コーヒーの中に小さな黒い物が浮かんでいる。“ああ、またやられた!”クロバネキノコバエの溺死である。冬なのに。 |
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情報の小窓
『すべての党派がこれこそが「国民のため」と称するために、反対派もまた「われこそが国民のため」という。互いに相手の政策を「自分の利益しか考えていない」といって難じるのです。確かに、むきだしの「クラティア」つまり「力による支配」では身も蓋もないので、あたかも「国民の意思」あるいは「民意」があるかのような擬制が行われる。そして、多数を取るという権力抗争の結果を「国民の意思」と偽装しなければ民主主義などというものは成り立たないのです。さもなければ、「主権者」は無限に分裂してしまうでしょう。』
新潮新書「正義の偽装」佐伯啓思著 |
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