夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その26 発行日  2001年9月2日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 夕方、コウモリが飛んでいるのを見て、アマゾン河の畔にある町の夕暮れ時を思い出した。街中を歩いていると高い街灯に白っぽい物が見えた。大きなコウモリである。日本の街中で見かけるイエコウモリの3倍位ありそうである。果物を食べるオオコウモリは、更に大きいが、街中でこんなのが飛んでいる。私も、コガネムシやガが欲しいのだけど・・・。
 朝、会社へ行く途中、秋の申し子であるイチモンジセセリが翅を半開きにして止まっているのを、よく見かけるようになった。
  言いたい放題
 前回の参院選は、自民党の大勝で幕を下ろした。政治は、選挙が目的ではない。選挙は、過去の成果に対する評価6割と将来の目標に対する評価4割とで決まる。当然、過去の成果が悪ければ、いくら将来の目標が良くても選挙結果は悪くなる。そう言う意味で、将来の目標よりも過去の成果が大きく左右するのが選挙だろう。従って、小さな政党がいくら良いことを政策発表してもなかなか議席を増やせない。
 ここ数年に及ぶ不況やそれに加えて自民党の戦前戦中のような古い体質も負の要因として自民党を弱体化に貶めてきた。そんな理由から、前回の選挙は、自民党の大敗になるべきだった。しかし日本人の体質とも云える盲目的なフィーバーによって小泉首相は勝った。勝った以上は、もう小泉首相に頑張って貰うほかないと云う神頼みの心境である。
 現在の日本の不況は、本当に不況なのかどうか私には分からない。経済は、デフレスパイラルと云うが、今までがインフレ状態で、今やっとまともになって来ているだけではないのか。失業率が5%近くを推移していると云うのも、バブルの後に不埒な大企業が世界のグローバル化を好い口実に便乗リストラしている結果ではないのか。それによって、中小企業や弱者が切り捨てられている。
  つくしんぼの詩
 ひと月前、千葉県で横断歩道を渡っていた人たちが車に撥ねられ死亡したという記事が新聞に載っていた。ドライバーの運転マナーは、信号機のない横断歩道を渡ろうとしたら命懸けであると言うほど、最悪である。
 私の家の近くにも、信号機のない横断歩道がある。横断歩道の前に立っても、車は止まらない。もう、その時点で失格である。手を挙げて前に進むと、なんと車は、私を避けて”邪魔だ!”とばかり通り過ぎてゆく。たまにではなく、いつもこの調子なのである。このような運転手は、即刻、免許剥奪すべきである。事故を起こしてからでは遅すぎる。それでも私は、正義のために前に進む。
  虫尽し
 タクシーの運転手に勧められて、彼の前住んでいたドリアンの農園に行くことにした。マレーシア半島南部の森林は、低湿地帯なので、歩きたくても歩けないのである。
 彼は、ハリマオ(トラ)が出るから森林には入るなと言う。私は、昆虫採集に来たのである。大きな実を付けたドリアンの木を横目で見ながら、数少ないチョウを採る。そして、帰り際、落下したばかりのドリアンをほぼ丸々1個平らげてしまった。今日は、何しに来たのやら。
  情報の小窓
 『道徳的自己があるということは、自己の不完全として何処までも理想をもとめることであり、良心が鋭くなればなるほど、自己を悪と感ずるのである。かかる矛盾を越えて真に自己の根底を見るには宗教的解脱に入らなければならない、徹底的に自己を否定することによって自己の根底を知るのである。(「叡知的世界」)』
 NHKこころを読む「西田幾多郎の思想(上)」小坂国継著(日本大学教授)

Copyright (C) 2001 森みつぐ    /// 更新:2001年9月2日 ///