夢惑う世界 草紙<蜃気楼> |
蜃気楼 その5 | 発行日 1999年8月10日 編集・著作者 森 みつぐ |
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季節風
朝、目覚めると外では、騒々しくクマゼミが啼いている。アブラゼミもニイニイゼミも、しきりに啼いている。セミの仲間は、昆虫の中でも多くが大型の種類で、オスが大きな聲で啼く、とても目立つ昆虫である。都会では、木々は余り高くなく、従って見たり採ったりするには丁度いい。夏休み中の子供たちには、家の近くで採れる身近な昆虫なのである。先日、アメリカ南部のジョージア州へ行って来た。片田舎の町は、炎天下の中、セミの聲で溢れていた。ただ町中の木々も大木なのでセミの姿は、道端で拾ったもの以外には、見ることはできなかった。 |
言いたい放題
日債銀の粉飾決済事件は、3年続けて赤字になると経営が危うくなるからと云う理由の組織ぐるみの犯罪であった。組織ぐるみに関しては、今更驚くべきことではないが、何故労働者までが、そうならざるを得ないのか考える必要があろう。あなたの勤める会社は、どうであろうか。そこでは、当然、”会社が倒産したら、あなたはどうするの”という論理の殺し文句で、小さな犯罪を繰り返している。その殆どが、弱者である労働者への執拗なる攻撃である。私たちが、毅然たる態度で企業に立ち向かうには、どうしたらいいのだろうか。それとも、のらりくらりと攻撃をかわすのか。ただ、じっと耐え続けるのか。もしくは、あなたも経営側になり、労働者に攻撃を加えるのか。あなたの考え次第である。 労働者の自立が強く求められている社会であるが、今の企業の中で自立することは、非常に難しい。リストラを進める中で、国も経済界も労働者に自立を促すのだが、自立そのものを阻害しているのは、旧態依然とした企業そのものだからである。今のこの状態に満足している人は、非常に少ないだろう。だとしたら、どうしたらいいのだろうか。やはり一人ひとりが考え続けなければ、自立に向けて。 |
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つくしんぼの詩
まもなく超高齢化社会に突入する。2025年には、日本の65歳以上の総人口比は、25%を超えるという。斯くいう私も、その中の一人である。今、あなたは65歳の自分を描き出せるであろうか。大多数の方は、賃金労働から解放され、毎日を自己決定の中で生きていかなければならなくなっているだろう。今で精一杯かも知れないが、もっと先を描きながら、今をどう生きるかを考えていかなくてはならない。私は、もうスケッチはできている。あとは、楽しい彩色だけである。 |
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虫尽し
アメリカ南部の緑豊かな片田舎ダルトンは、舗装道路が縦横無尽に走っているため、網を持って歩くところが少ない。山に向かって1時間半ほど歩くと、やっと森林内へのハイキングコースがあった。そこまでの道すがら、車に撥ねられたり、車道を乗り越えられないで死んだ虫たちを拾う。セセリチョウ、クワガタ、ハナムグリなどなど。昆虫収集ではなく、昆虫収拾である。 |
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情報の小窓
『ほとんどの「国民」が戦争と国家(総力戦)の論理の中で思考し、競い合い、生活を営んでいたはずである。・・・一部の指導者だけではなく、「国民」もまたそれなりの罪悪感をもたざるをえないはずであろう。・・・果たして、自分が自らの意志で行ったことを、お前は国家に操られた被害者だったと宣告されたものが、自分という存在のアイデンティティーなど信じることができるのだろうか。』
読売新聞「戦後のはじまり「国民」を「被害者」と正当か(自信喪失の現代の原点)」佐伯啓思著(京大社会経済学) |
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Copyright (C) 2001 森みつぐ /// 更新:2001年5月14日 /// |