夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その92 発行日 2008年7月20日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 先週、買い物の途中に一匹のトンボが飛んでいるのを見つけた。北海道では、越冬できないウスバキトンボである。北海道で見かけるのは、久し振りだった。初夏、南の方から北海道へと北上してくるトンボなのだが、多分、子どものときは、"赤トンボだ!"と見上げていたかも知れない。
 今週、実家の近くの民家の塀でキアゲハの幼虫が蛹の準備をしていた。夏型のキアゲハである。来週行ったとき、どうなっているだろうか。人目につくところなので、跡形もなくなっているかも知れないが。夏到来!
  言いたい放題
 地球温暖化が叫ばれる中、ガソリンなどの燃料費の高騰が続いている。個人が排出する二酸化炭素の中で、特に多いのがマイカーによるものと考えられる。エネルギーを多く使う物、即ち、お金が多くかかる物(電気代、ガス代、燃料代など)が温暖化ガス発生の多い物である。
 私は、電気代、ガス代は、自分でできる範囲で抑制している。少ない消費電力でも、24時間稼動する物は、特に注意を要する。冷蔵庫は、その際たる物だが、これだけは止める訳には行かない。1日に4回位しか使わない電気ポットは、24時間通電は行わずに、必要なときに、必要量を沸かすことにしている。ただ、極端に神経質になるのは、生活まで暗くなるので禁物であろう。
 私は、もともとマイカーには疑問を持っているので、マイカーを使わずに、公共の乗り物を利用している。日常生活では、殆ど徒歩か自転車での移動である。社会性動物は、各個体が個別に欲望の最大化を追求すれば、社会が成り立たなくなることは、必然と思われる。一定のルールの下でも、自己実現は可能であろう。今、自分の生活を見直すチャンスが訪れている。これを機会に、周囲と調和したより良い生活を送りたいものである。
  つくしんぼの詩
 車社会が到来後、大規模なショッピングセンターが郊外に進出するようになってから、地域社会は、崩壊の危機を迎えるようになった。地域社会に根ざした小売店が消え、マイカーを持たない弱者や高齢者にとっては、日々の生活もおぼつかなくなってしまった。
 大量にエネルギーを使って移動し、温暖化ガスを撒き散らしてきた。そして、自分の住む地域社会を崩壊させ、安全な生活空間さえも手放してしまったのである。マイカー生活の見直しは、地球温暖化の抑制のみならず、地域社会の再生をももたらすと私は思っている。
  虫尽し
 定山渓の林道を歩いていたら、大きなトラックがそこのけそこのけと追い越していった。材木の切り出しを行っているようだった。所々の林道脇には、伐採した木が堆く重ねて置いてあった。"しめ!しめ!暫くは、カミキリが!"
 帰り道、止まっていたトラックの荷台に運ちゃんがいた。"兄ちゃん、最近、見かけない虫が増えてないかい?""???以前、見なかったが、最近見かけるようになった虫もいるよ!""そうだろう!暖かくなったから!そんな虫は、いっぱい採ってよ!"トラックの運ちゃんに温暖化について訊かれるとは思ってもいなかった。
  情報の小窓
『自由とは役割を知ることである。自己をつつむ共同体の力学全体への最大の想像力を働かせつつ、その枠の中で自己の役割に徹し、自己の利害と全体の利害との調和のなかに自由を見出していこうとする忍耐づよい意志であるといえよう。それがわれわれの時代にどのような迂遠に響こうとも、自由そのものが限界にぶつかり、解放はもはや不自由でしかない以上、われわれはやはり古典的な市民の自由を選ばざるをえない。それは共同体内部の自由である。そしてその自由を超えていくためには、もう一つ外側をとりまく共同体の別枠を必要とする。無制限の自由は不自由でしかない。』
 PHP新書「個人主義とは何か」西尾幹二

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