秋晴や或は先祖の墓を撫し 虚子
秋晴や黒斑浅間は指呼の間 虚子
秋晴や浅間は常に目にありて 虚子
秋晴や一点の蝶嶽を出づ 普羅
秋晴の白根にかかる葉巻雲 普羅
秋晴や草津に入れば日曜日 普羅
秋晴や寒風山の瘤一つ 虚子
秋晴や陸羽境の山低し虚子
秋晴やバスをまつ間の海の色 万太郎
きこゆるや秋晴妻のひとりごと 草城
秋日和近隣のこゑつつぬけに 草城
昼の夢をはりてもなほ秋日和 草城
秋晴や相許しゐる岩と波 たかし
秋晴の名残の小諸杖ついて 虚子
秋晴のかくも木立に遮られ 万太郎
秋晴やつひに微塵の雲も莫し青畝
雲を見て心ひらくる秋日和 草城
秋晴やなほもはびこる藪からし 虚子
生徒皆築地に凭れ秋の晴 虚子
膝冷えてねむれざりしが秋日和 秋櫻子
一歩出てわが影を得し秋日和 草城
頁繰る如く秋晴今日も又 立子
秋晴や繻子の襟かけ雄島海女 普羅
秋晴を歩みて屋根を繕へる 汀女
雲あれど無きが如くに秋日和 虚子
秋晴の命惜しくも覚えたり 虚子
秋晴や客の主も庭歩き 虚子
老眼をしばだたきけり秋の晴 虚子
草深に露命を維ぐ秋日和 草城
秋晴の運動会をしてゐるよ 風生
秋晴や故友の命の継穂われ 草田男
砂に寝て砂の軋むや秋日和 誓子
気の弱りひとには告げず秋日和 草城
ただ生きてゐるといふだけ秋日和 草城
大網を橋より打つや秋日和 たかし
秋晴の舟より投網橋よりも たかし
秋晴れの街行き木綿買ひ来たる 綾子
秋晴れも午後やバス行く道ぼこり 綾子