和歌と俳句

小林一茶

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人寄せぬ咲けり城の山

春がすみ鍬とらぬ身のもつたいな

穀つぶしの下にくらしけり

なの花にうしろ下りの住居哉

春の風艸にも酒を呑すべし

陽炎や寝たい程寝し昼の鐘

行春の空はくらがり峠かな

陽炎にさらさら雨のかかりけり

うら門のひとりでに明く日永

古郷や餅につき込春の雪

夕東風に臼の濡色吹れけり

春風に箸を掴んで寝る子哉

鶏の人の皃見る日永かな

夕燕我には翌のあてはなき

艸の葉も風癖ついて暮の春

咲くやあはれことしももらひ餅

や懐の子も口を明く

初蝶の一夜寝にけり犬の椀

咲て一際人の古びけり

やぶ入のかくしかねたる白髪哉

梅が香をすすり込だる菜汁哉

が香に引くるまりて寝たりけり

陽炎のづんづと伸る葎哉

帋漉にうるさがらるる小てふ

箍かけよ臼の目切よ門のてふ

畠打やかざしにしたる梅の花