としよりの追従わらひや花の陰
明ぼのの春早々に借着哉
京見えて脛をもむ也春がすみ
不相応の娘もちけり桃の花
身じろぎのならぬ家さへ花の春
看板の団子淋しき柳哉
行灯で飯くふ人やかへる雁
ぱちぱちと椿咲けり炭けぶり
膳先に雀なく也春の雨
一舎おくれし笠よ啼雲雀
客の沓かくるる程の花も哉
見かぎりし古郷の山の櫻哉
万歳のまかり出たよ親子連
田の人の笠に糞してかへる鴈
春雨やはや灯のとぼる亦打山
春雨や火もおもしろきなべの尻
艸山のくりくりはれし春の雨
懐へ入らんとしたる小てふ哉
春のてふ山田へ水の行とどく
ほうろくをかぶつて行や春の雨
通り抜けゆるす寺也春のてふ
うそうそと雨降中を春のてふ
川縁や蝶を寝さする鍋の尻
初蝶のいきおひ猛に見ゆる哉