杣道を檜はかくす夏祭
夕焼を西に作りぬ杣仕事
山水をかけし漆の祭笛
雪渓は立ちて汚れて人間味
わが胸に来て雪渓の雲岐れ
草国や目のくぼみたる昼寝覚
長雨や篠にかこまれ早苗挿す
草山に降り麦刈に太き雨
炎天に古鏡かくれて光りけり
赤飯は見るだけの宴合歓の花
雨神輿われは濡れたる百合起す
足袋脱ぎて鮎とつきあふ祭かな
戸障子を外す祭の在所にて
藍畑に抜く青草は藍もどき
古風なる虫干羅紗の帽子まで
虫干や青空かけて梅小紋
麦秋や火のあそび出る瓦窯
荒行は山百合白くゆめうつつ
雨安居著莪は崩れて赤根出す
毛蟲焼く火を青天にささげゆく
蠅とんで野佛の顔動きしか
もどり来し風青芦をひとたばね
山里やいちどに泥をこね田植