ひる寝ふかく蝿の翼をゆめみたり
蝉の脊の紺青にして樫の風
恐ろしき爪外に出て籠の蝉
蝉雲にとぶや羽見えし西瓜畑
人間に日はゆふべなる裸かな
空渡る雷二道や夏の海
蝉握る一と群の子に泳ぎ川
楼の蚊帳の灯影たよりの夜泳かな
泳ぎ子の脱ぎ衣に土手の薊かな
健かに細き腕や水泳着
岩へ上る手足細さや水泳着
蓮咲くや今朝の大鐘まだ鳴らず
僧二人ともに酔ひ居る 蓮かな
洗ふ茄子と洗ひし茄子と籠二つ
茄子の艶紫水をはじきけり