「第24回手で触れて見る彫刻展」に出品

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 桑山先生の勧めもあり、今年初めから木彫を始めています。そして、今回で第24回目となる、桑山賀行先生と土曜会の皆様の「手で触れて見る彫刻展」に、これまでに作った私の作品8点も出品させてもらいました。
 展覧会は11月20日から23日まで藤沢市民会館で行われ、私は22日に藤沢に行きました。桑山先生の作品4点のほか、私もふくめて20人近くの計80点ほどの作品が展示されていました。
 展覧会では、各作者ごとに作品のタイトルとその解説文を書いて出し、それをまとめて普通の文字と点字で来場者に配布しています。まずはじめに、私の作品のタイトルと解説を以下に記しておきます。
 
●コスモスT
 花は触ってもきれいです。もしかして、花には宇宙の美しさが現われているのかもと思うことがあります。そんなことを思いながら作ってはみました。どうでしょうか?とんでもない試みでしょうか?
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●あさげ
 朝のお汁の大きなあさりをイメージして彫ってみました。
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●コスモスU
 花だけでなく、いろいろな動物にも植物にも宇宙の美が現われているように思います。
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●花ドーム
 木の中をどのくらい深くくりぬけるか試してみました。宙に浮いている花のように見えるでしょうか?
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●一輪
 開きかけの花(桜?)を一輪だけ作ってみました。とても持ちやすくて、気に入っています。
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●花風車
 強い風でくるくると舞いながら飛んで行くような花を作りたかったです。でもこれでは、なかなか飛びそうもありません。
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●願う
 なにかただ祈っているような像が作りたかったです。石でも木でも、彫り込んであるような像が好きです。それにしても、願わずにはいられないようなことが本当に多いです。
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●飛ぶ
 10年くらい前、国立民族学博物館で、南アメリカのアンデスの部族の神様?をちょっと触りました。それは、山の上に立っている鳥のようでした。そのイメージがずうっとあって、作ってみました。(小さなワシの模型も参考にしました。)
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 藤沢まで行った主目的は、先生の作品をはじめ土曜会の皆様の作品を触って鑑賞することでしたので、それらについて書きます。
 桑山先生の作品は4点ありました。
 まず、10年近く前から制作を続けておられる「演者」シリーズの2013年作です。人形が背のほうを上にして、今にも落ちてしまいそうに下向きになっています。顔も下を向き(その顔はとてもきれいでかわいらしいです)、着物の袖からちょっと出た両手も下向きです。それを、上から伸びて来た人形遣いの大きな両手が人形の後ろの襟元辺をぎゅっと掴んでいます。役目を終えてすっかり疲れ切ってしまっている人形を、人形遣いがしっかりと上から支えているようです。作品解説には「人より人らしく演じられる文楽人形。人形に命を吹き込み、人の世界に導くのは神の手であろう。」とあります。
 この他に、「日本の歌」シリーズより「背比べ」「とんがり帽子」「青い目の人形」が展示されていました(これらは、桑山賀行「心で観る 彫刻展」で鑑賞したものです)。
 
 土曜会の皆さんの作品は、本当に多種多様でした。木彫だけに限らず、石膏やテラコッタの作品、篆刻やレリーフのような作品などもありました。作品のテーマとしては、お孫さんのその時々の成長の様子を表した作品が多かったですし、また中には亡き人をしのんで作った作品もありました。例年通り、各種の仏像も展示されていました。以下に、とくに私の印象に残っている作品について、少し書いてみます。
 Tさんの「今はなき愛犬をしのんで」のシリーズ3点には心動かされました。シュナウザー犬で、今年春ころに14歳で亡くなったそうです。「孫と仲よく散歩」は、前にお孫さんがリードと袋(排泄物を入れるための)を持って立ち、後ろに愛犬が従っています(老犬のようです)。「お手をするからなにかちょうだい」は、右前足でお手をし、舌をぺろっと出しています。「遊び疲れたポーズ」は、2本の前足の間に後ろ足を長く伸ばして座っていて、なんかだらあっとした感じです(3歳くらいの若い時の様子だそうです)。この方はもう1点「大人になった子供」という作品も出していて、これは、子供がスーツを来て、右手に大きなかばんを持って、会社に行こうとしているところです。
 Kさんの、流木や木の枝や丸太の中に見て取れる特徴を生かしたいろいろな作品(コアラ鼻の島次郎さん、熊と老師など)もよかったです。とくに、「角柱の中にいた美女」は、木片に小さな顔がとても丁寧に彫り込まれ、顔の面が磨きこまれたようにすべすべした触り心地でよかったです。また、Yさんの「かぼちゃとばった」は、かぼちゃもばったも、とてもリアルでした(とくにばったは、触角や足まで精巧に作られていました)。
 多数展示されていた仏像類の中では、とくに阿修羅像(三面と六臂)や十一面観音などが印象に残っています。恵比寿(右手にゆるやかに撓っている釣竿を持ち、左腕に魚を抱えている)や大黒天(大きな耳=福耳?をし、右手に小槌を持ち、左手で左肩に背負った大きな袋を抱え、細長い2つの米俵の上に乗っている。米俵が縦の多数の線と横の太い浮き出した線でよく表現されていた)などにも久しぶりに触ることができました。また、マリア像もあって、両手から垂れている着物の裾のようなのが好ましく感じました。
 
 こうして先生の作品や土曜会の皆さんの作品に触れることで、私の自己流の木彫制作の技術的な参考になりますし、また新たな作品制作のためのイメージもひろがります。
 
(2014年11月30日)