神山天文台の隕石の展示

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 7月11日、京都産業大学神山(こうやま)天文台で8月6日まで開催されている企画展「隕石×小惑星〜太陽系の起源を探る〜」を、学芸員のMさんの案内で見学しました。
 8時過ぎに家を出発、Jr京都線で京都駅へ、そこで地下鉄に乗り換えて烏丸線で終点の国際会館へ、そこから京都産業大学前行のバスに乗り、大学前からは同じバスに乗り合わせていた学生に案内してもらって、予定よりも早く10時過ぎに天文台に到着しました。(京都産業大学はかなり急な斜面上にあるようで、急な坂道を歩くのかと思っていたら、長ーいエスカレーターに2回乗って、歩いたのは平坦な所ばかり、最近の大学はこうなんだと驚きました。)
 私は以前から隕石に興味を持っていて、博物館などで何度も隕石に触り、いろいろ調べたことがあります(隕石:宇宙からの手紙 )。今回の企画展では、実際に触れられる隕石はあまりなさそうでしたが、今注目されている炭素質コンドライトについて詳しい展示があるようですし、また最近の研究にもふれたいと思って、見学を申し込みました。今回は専門の方に、触れられる物を中心に、またとくにこの展示での注目点について詳しく説明していただきましたし、さらに帰りには無料で図録をいただきまたそのデータも送っていただいたので、しっかりとこの展示の全体を把握することができました。以下、各隕石の詳細については、いただいた図録のデータから引用しています。
 
 まずプロローグとして、「太陽系の過去への窓」というテーマで音声付きの映像が流れています。星間ガス運の中で生まれた原始星の周辺にはガスやダストからなる円盤が広がり、原始星=太陽から遠い円盤中では氷を含む微惑星が、近い円盤中では氷が太陽の熱で蒸発して岩石質の微惑星が生まれます。さらに岩石質の微惑星が集まって地球などの岩石惑星が、氷を含む微惑星が集まって木星などの巨大ガス惑星と天王星などの巨大氷惑星ができたと考えられます。しかし微惑星のままのものや惑星まで成長し切れなかったものも多数残存していて、それが多くの小惑星や彗星です。岩石質の惑星などではいったん溶けたりして別の物質に変化してしまい、もともとの微惑星が持っていた情報はほとんど失われてしまいますが、小惑星の一部や彗星核には太陽系形成時の情報が残っていると考えられます。地球に降ってくる隕石には、そのような太陽系の始原的な情報が含まれている可能性があるということで注目されているわけです。
 隕石(宇宙の石)と地球の石を比較してみるコーナーがあり、ここではそれぞれの石に触ったりなどしていろいろ確かめることができました。隕石として展示されていたのは、鉄隕石のゲベルカミルと、石質隕石のサハラ砂漠で見つかった隕石(略称の NWA(North West Africa)とはなっていましたが、番号は付いていない?とか)です。ゲベルカミルは、やや細長い小片で、長い所で4?cm×3cm×2cm弱くらいの大きさで、重さは卵1個分もないかと思いましたが、秤に乗せてみると71gもあるとのこと、密度はかなり高そうです。表面はごく微細な凹凸のあるツルーっとした感じ(たぶん溶融皮殻になっている)、所々にいくつか窪みがあります(これはレグマグリプト、通称サムプリント:親指で押したような跡、と呼ばれるもの)。そして、小さな磁石を近付けるとパッチンと強くくっつきます。ゲベルカミルは、調べてみると、2009年2月にエジプトの砂漠(East Uweinat Desert)で発見された、鉄隕石の中では珍しいアタキサイトに分類されるもので、ニッケルが20%も含まれ、ウィドマンシュテッテン・パターンなど規則的な構造のない塊状のものらしいです。
 石質隕石のNWAのほうは、長い所で7×4×4cmくらい、握り拳よりやや小さめの大きさで、せいぜい卵2個分くらいの重さかと思ったら、測ってみると168Gもありました(密度は3くらいでしょうか?)。表面は全体にツルーっとした感じですが、あちこちに窪みがあり、さらに一部の窪みの中には細い凹線が斜めに走っているものもありました(この凹線、大気中を高速で回転しながら落下していく時の方向と関係しているのかもと思ったり)。そして磁石で確かめてみると、弱いですが表面のどの部分でもくっつきます。石質隕石と言っても、金属鉄がかなり(30%近く?)含まれているのでしょう。
 地球の石としては、花崗岩(深成岩の1種で、等粒状組織が特徴)、磁鉄鉱(磁石にくっつくはず)、コランダム(ルビーの原石で、小さな結晶がいくつかあった)、橄欖石(マントル上部由来の岩石、直径5mmほどの結晶がいくつも並んでいた)、礫がん(礫や砂などが集まった堆積岩)がありました。磁石で試してみなかったのですが、磁鉄鉱はくっついたはずですし、花崗岩も(黒っぽくて磁鉄鉱を多く含むものは)もしかすると弱くくっついたかも知れません。いずれも表面の手触りはざらざらっぽくて、先の隕石のツルーっとした感じとは大きく違います。隕石を簡単に見分ける特徴としては、表面の溶融皮殻や独特の窪み、磁石にくっつくことなどが挙げられますが、磁石にくっつかない隕石もあるし、落下して時間が経つと風化などで地球の石と見分けがつきにくくなるので、しっかり識別するには中の構造や成分などを調べることが必要になります。
 
 第1章「さまざまな隕石」では、隕石の分類と、各分類に属する隕石が紹介されているようです(この章は、案内の時は触れられるものはないし飛ばしてしまったので、詳しくは分かりません)。
 隕石は、主にどんな物からできているかによって、石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石に別れます。さらに石質隕石は、コンドリュール(数mm以下の球粒)が認められるかどうかで、コンドライトとエコンドライトに別れます。コンドリュールは、原始太陽系円盤中にあった微粒子に由来すると考えられており、コンドリュールを含むコンドライトは太陽系の初期の状態を示す情報を伝えているとされます。そしてさらにコンドライトは、普通コンドライト、炭素質コンドライト、エンスタタイト・コンドライトに分けられ、中でも炭素質コンドライトは原始太陽系の最初期・始原的な情報を伝えるものとして注目されており、今回の企画展でも焦点が当てられています。なお、多くのエコンドライトや、石鉄隕石、鉄隕石は、太陽系形成時に成長した比較的大きな天体の破片だと考えられています(直径が100kmを越えるような天体では、内部が圧力や放射性物質の改変のために高温になって溶けてしまい、鉄などの重い物質は中心部に、岩石質の軽い物質は表層部に集まるようになって、非均質な構造になる。このような天体が他の天体と衝突してできた破片のうち、中心部のものは鉄隕石、中心部と表層部の境付近のものは石鉄隕石、表層部のものはエコンドライトに対応すると考えられる。)
 これらの隕石種について、神山天文台所蔵の隕石が展示されていました。チェラビンスク隕石(普通コンドライト)、ジビルウィンズワン隕石(炭素質コンドライト)、ミルビリリ隕石(エコンドライト)、セリコ隕石(石鉄隕石)、キャニオン・ディアブロ隕石(鉄隕石)などです。
 
 第2章「隕石のふるさと 小惑星」では、隕石と小惑星との関係が説明されています。
 隕石がどこからやって来たのかについては、地球大気に突入する前の隕石の軌道を計算したり、隕石の反射分光特性や化学組成などの分析から、多くの隕石は小惑星が起源だとされています(火星や月起源の隕石もある)。多くの小惑星の軌道は、火星と木星の間の小惑星帯にあり、その中の一部の小惑星の軌道は木星の大きな引力や長年の太陽熱などの影響で軌道が変化して地球に接近する軌道になり、その一部が地球大気に突入し、その中の燃え尽きることなく地球表面に落下したのが隕石です。
 現在、隕石と小惑星との関係を知る手掛かりとしてよく使われているのが、小惑星の反射分光特性だそうです。望遠鏡は、基本的に小惑星が太陽の光を吸収・反射した結果放射される光を観測しているわけですが、その際太陽光がもっとも多くエネルギーを放出している可視・近赤外線波長域(波長400〜2500nm)の光が主に観測され、観測された小惑星の反射スペクトルと太陽光スペクトルの比から、小惑星の反射分光特性が得られるとのことです(反射分光特性から小惑星表面の物質をある程度推定することもできるとか)。そして反射分光特性から、S型、C型、M型、P型、D型、V型など小惑星のスペクトル分類が行われています。さらに実験室での隕石の反射分光特性と、小惑星の反射分光特性から得られたこれらのスペクトル分類とを比較し、小惑星の型と隕石種との対応がある程度可能になってきました(例えば、S型は普通コンドライト、c型は炭素質コンドライト、m型は鉄隕石、V型はベスタ由来のエコンドライトのように)。そして近年では、はやぶさなどによる小惑星からのサンプルリターンミッションによって、各小惑星の物質と隕石を直接比較することができるようになり、小惑星と隕石の関係についてより確実な情報が得られるようになりました。
 この企画展では、神山天文台が詳しく研究しているタルダ(Tarda)隕石と、その反射分光特性が主に紹介されていました。
 頂いた図録データによれば、タルダ隕石は、「2020年8月25日にモロッコで落下が目撃され、タルダ村近郊で回収された炭素質コンドライトである。化学組成の面では既存の炭素質コンドライトの8つの化学グループにあてはまらない(分類不能)、C2-ungと表記される大変珍しい隕石である。総回収量は4kgであるが、ほとんどが溶融皮殻に覆われた小さな隕石や破片ばかりであった。回収された最大の破片は99g。類似の隕石には、2000年にカナダに落下したタギシュレイク隕石(C2-ung)がある。両隕石とも太陽から比較的遠い場所でできた、氷に富んだ小天体に由来するのではないかと考えられている。反射分光特性の測定からは、タギシュレイク隕石はD型小惑星に類似していると考えられているが、タルダ隕石はD型小惑星よりもP型小惑星に近いと指摘されている。」となっています。
 上の引用文中の C2 について念のため説明します。 C は carbonaceous chondrite(炭素質コンドライト)の略です。炭素質コンドライトは、初めに確認され代表とされる隕石の頭文字を取って、CI, CV, CM, CO, CK, CR, CB, CH の8種に分けられています。 2 は、コンドライトに付けられる岩石学的分類と呼ばれる数字で、コンドリュールが熱あるいは水でどの程度変成しているかを示しています。 3が最も変成されておらず、2、1となるにつれて水質変成を受けた程度が大きく、4、5、6、7となるにつれて熱変成を受けた程度が大きいことを示しています。
 神山天文台では、同台の口径1.3m荒木望遠鏡に可視光低分散分光器LOSA/F2を取りつけて、P型小惑星に分類されるヘスティアの反射分光特性を調べました(ヘスティア:Hestia.小惑星番号46。1857年発見。直径124kmのかなり大きい小惑星)。その結果、「タルダ隕石と小惑星ヘスティアの反射分光特性は、可視光線波長域ではおおむね一致している。タルダ隕石において波長700nm付近に幅広い吸収帯が見られるが、これはタルダ隕石に含まれる含水ケイ酸塩鉱物に起因するものと考えられる。小惑星ヘスティアの表面が、宇宙風化作用を受けた影響で同波長の吸収が浅くなっている可能性がある。」(図録データより)とのことです。p型小惑星は、C型やD型小惑星と同様、反射能(アルベド)がとても低くく非常に暗い(真っ黒?に見える)天体で、炭素質コンドライトに対応したものと考えられ、有機物も多く含むと考えられています。C型とP型の違いについてたずねたところ、見た目ではどちらも真っ黒と言っていいが、P型では赤のほうの色の成分をより多く反射しているとか。指先くらいの大きさのタルダ隕石が2個(3.1gと10g)展示されていましたが、見た目は消しゴムの削りかすを集めたような感じかなあ、と言っていました。
 炭素質コンドライトとして有名なアエンデ隕石とマーチソン隕石も展示されていましたので、それらについて図録データより引用しておきます。
 アエンデ(Allende)隕石:「1969年2月8日にメキシコのチワワ州にシャワーのように降り注いだ隕石であり、炭素質コンドライト(CV3)に分類される。総回収量は2t以上。密度は約2.9g/cm3で、空隙率は約20%と推定されている。外見は暗色であるが内部は白色から灰色をしており、コンドリュールを容易に識別できる。水質変成や熱変成をほとんど受けておらず、球形のコンドリュールが他の炭素質コンドライトより大きめで、大小さまざまなものが含まれる。CAIのような含有物のサイズも大きめであり、センチメートルサイズになることもある。アエンデ隕石のCAIは太陽系最古の固体粒子として着目され、太陽系の形成年代についての研究が発展した。」(CAI: Calcium-Aluminium-rich Inclusion.アエンデ隕石中のCAIから得られた年代は45億6720万年前(誤差は±60万年)で、これは太陽系最古の年代とされていて、このころ原始太陽系星雲が形成され始めたと思われる。)
 マーチソン(Murchison)隕石:「1969年9月28日にオーストラリアのビクトリア州マーチソン近郊にシャワーのように降り注いだ隕石であり、炭素質コンドライト(CM2)に分類される。総回収量は100kg以上。全炭素量は重量にして約2%、水は約10%である。密度は約2.4g/cm3で、空隙率は約20%と推定されている。内部のコンドリュールは水質変成を受けており、球形を保っていないものが多い。また、カンラン石などの無水ケイ酸塩鉱物は、水と反応して含水ケイ酸塩鉱物(粘土鉱物)となり、黒色のマトリックスを構成している。このマトリックスには、さまざまなアミノ酸や核酸塩基も検出され、数十万種類の有機化合物が確認されている。マーチソン隕石の特筆すべき点として、非生物的に地球外でアミノ酸が合成されうることが初めて明らかになったことが挙げられる。さらに、マーチソン隕石の中に、太陽系の形成以前から存在した微粒子「プレソーラー粒子」が初めて発見され、太陽系の起源となる物質を供給した天体について、理解を大きく進めるきっかけとなったという意味でも重要な隕石である。」
 ちなみに、1969年は、上のように炭素質隕石のアエンデ隕石とマーチソン隕石が落下し、さらにアポロ11号による月着陸と月の石の回収、日本の南極観測隊による南極での9個の隕石発見が相次いだ年で、惑星物質研究にとって奇跡の年であったと言われているとか。
 
 第3章「隕石から探る太陽系の起源」では、主に炭素質コンドライトに注目し、最近行われるようになった小惑星探査と隕石のつながりについて紹介されています。ここには、リュウグウ、イトカワ、ベンヌの5000分の1の3Dで製作した模型が展示されていて、実際に触りながら考えることができてよかったです。
 リュウグウの模型は、直径20cm弱(実際の直径は900mくらい)で、おおまかな形は、底面の直径20cm弱、高さ10cmほどの2つの円錐を底面でぴったり合せたような形(しばしばソロバンの玉に例えられる)で、横から見た断面はおおよそ菱形になります。赤道に向って膨らみ、両極に向ってとがっていて、球形の物が高速で自転を続けると遠心力のために変化してできそうな形です。表面のあちこちにかなり凹凸があり、それぞれの場所には浦島などの物語からとられた名前が付けられています。はやぶさ2はこのリュウグウに、2019年2月と7月に2回タッチダウンし、2020年12月に計5g以上のサンプルを持ち帰りましたが、その2度のタッチダウンの箇所も示されていました。2つの地点は10cm近く(たぶん400mくらい)離れていて、1回めの地点よりも2回めの地点のほうが回りがすぐ凹凸が激しく難しそうに思いました(2度めのタッチダウンの箇所では、金属弾を打ち込んで小さなクレーターをつくり、内部の試料をたくさん採取した)。
 さらに、はやぶさ2が持ち帰ったサンプルの中の1つの模型もありました。長さ1cmほどの細長い三角柱のような形です(重さは0.1gほど)。こんな小石のようなものまで持ち帰ったんだと感心しました。そしてこれを10倍に拡大した模型もあって、こちらを触ると表面が小さな粒のようなのが集まっているらしいことが分かります。(リュウグウの平均密度は約1.2g/cm3、空隙率は約46%だとのこと、宇宙空間で小さな塵がふわあーっと集まったような感じでしょうか?)
 リュウグウのサンプルの分析は各国で現在も進行中ですが、これまでの分析ではCI1コンドライトと酷似していることが分かり、とくにオルゲイユ隕石との関係が注目されているようです。そのオルゲイユ隕石も数ミリほどのごく小さなものが10個余(計1.2g)展示されており、図録データによればオルゲイユ(Orgueil)隕石は、「1864年5月14日、フランスのモントーバン市近郊オルゲイユ付近に落下した隕石であり、炭素質コンドライト(CI1)に分類される。CI1に分類される隕石は、落下隕石としてはオルゲイユ隕石を含め、世界でも5例しか確認されていない。なお、オルゲイユ隕石は複数の破片が回収されており、総回収量は約14kgである。強い水質変成を受けているため、内部は黒色で、コンドリュールやCAIなどの含有物はほとんど識別できない。本資料のように、白色の小さなスポットは地球大気にさらされたことによって生じた硫酸塩の結晶である。元素組成は揮発性の高い軽元素などを除いて太陽と極めて酷似しており、もっとも始原的な隕石のひとつである。密度は約1.6g/cm3で、空隙率は約35%と推定されている。隕石のもとになった小天体の軌道が推定されており、その形が彗星の軌道に似ていることから、水が枯渇した彗星が起源とする説もある。」(南極隕石の中にCI1コンドライトが4個見つかっており、計9個。いずれにしても、極めて珍しい隕石。)
 次はイトカワの模型。長さ10cmほど、幅5cm、厚さ4cmほど(実際のイトカワの長径は約540m)の、まるで太った人形が首を傾げているような形に私は思いました(イトカワの形はふつうラッコに例えられるが、私はラッコの形はよく知らない)。球体に近いものではなく、こんな変な形のものが、宇宙空間で自転しているのを想像するのはなんとも不思議な感じです(イトカワの自転周期は12時間余。なお、人形に例えたイトカワの胴部と頭部とは密度にかなり違いがあり、2つの大きな破片が合わさってこのような形になったらしい)。2010年にはやぶさ(初号機)が微少量ですがイトカワのサンプルを持ち帰り、分析されました。その結果、イトカワの物質は、普通コンドライトのLL5を中心にLL4からLL6とほぼ同じであることが分かりました(普通コンドライトは、H(High total iron: 鉄が多い)、L(Low total iron: 鉄が少ない)、LL(Low total iron, Low metal: 鉄も金属も少ない)に分類され、それに岩石学的分類の数字が付される)。これにより、石質隕石の多くを占める普通コンドライトは、イトカワのようなS型小惑星に由来することが確実になりました。
 最後に、ベンヌの模型。直径が10cmほど(実直径は約500m)で、全体の形は、なんと上のリュウグウの模型とそっくりでした!(表面の凹凸はリュウグウより少なく、赤道方向に比べて極方向がわずかに短いように感じた)。ベンヌもC型小惑星で軌道が地球に近く、アメリカの探査機オサイリス・レックスが2018年にベンヌに到達、2020年10月にサンプルの採取に成功し、今年の秋には地球に帰還することになっています。サンプルの詳細な分析で、どんなことが明らかになるのか、とくにリュウグウの分析結果との違いなども楽しみです。
 
 隕石の展示の見学後には、同台の口径1.3mの望遠鏡についても案内してもらいました。この望遠鏡は反射望遠鏡で、口径1.3mは、国内の私立大学所有のものでは最大、国内でも7番目の大きさだということです。ドーム内を1周しましたが、床には円い穴があります(蓋がされている)。望遠鏡の上の鏡の汚れを取るために、この穴を通して下の階にあるメンテナン室できれいにするとか。この天文台の特徴は、研究者と学生たちが一緒になって、望遠鏡に取りつけるいろいろな観測装置を開発していることで、例えば赤外部の光を細かく分光する機器とか、補償光学(大気のゆらぎで生じる星像の乱れを補正する)用の装置などを製作し、一部は海外の望遠鏡でも使われているとか。
 今回の見学では、実際に触れられた隕石は少なかったですが、リュウグウなどの模型に触れられてよかったです。また、専門のスタッフの方に案内していただき、最近の研究成果・研究現場にも少しふれられたような気がして、うれしかったです。
 
(2023年7月27日)