桜井記念視覚障害者のための手でみる博物館再訪

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 7月30日午前、森岡市にある桜井記念視覚障害者のための手でみる博物館を、1時間余でしたが見学しました。私は2011年8月に初めてこの博物館を訪れ、その時は今は亡き桜井政太郎先生に主に説明していただきました(桜井記念視覚障がい者のための手でみる博物館)。今回は見学時間も短く、またなによりも見学してからまとめを書き始めるまでに1ヶ月くらいも空いたため、拙いまとめになってしまいました。
 
 まず、貝の仲間たちに触りました。シレナシジミは、大きさ6~7cmくらいもある超大きなシジミで日本最大とか。ちょうどハマグリくらいの大きさでしょうか、ただ殻はハマグリほどには厚くなくなにか弱そうな感じ。沖縄県西表島などのマングローブ林の下の泥の中に生息しているとか。
 続いて、ずっしりとしたシャコガイ。2枚の殻を閉じている状態で触りました。殻の横幅25cmくらい、縦の長さ20cm弱、そして両殻が合わさった膨らみが20cm弱もあります。こんなに膨らんだ状態の二枚貝を触ったのは初めてかも知れません。持ち上げてみるととても重く、5キロ近くもあるかと思うほど。殻の表面には、幅2cm余、高さ1cm余の太い肋が6、7本並んでいます。この閉じた状態のシャコガイを、殻頂近くの蝶番の部分を下にしてゆっくりと開いてみました。殻は2cmくらいはあるでしょうかとても分厚く、殻縁は太い肋が噛み合うように波打っています。(シャコガイには、1mくらいもある最大のオオジャコガイから10cm余くらいの小形のヒメジャコガイまで5種類ほどあるようだが、このシャコガイは大きさからしておそらくシラナミガイと呼ばれるものだと思う。シャコガイは、ふつう殻頂を下にして両殻を開いた状態で外套膜を出し、そこに褐虫藻が共生して、その褐色藻の光合成でできる酸素やブドウ糖などを利用しているらしい。)
 次に、とても変わった形のシュモクガイ。T字型の2枚貝で、上の横棒は直径2cm弱の円柱をやや平たくしたような形、その中央付近から下に伸びる縦棒は幅2cmくらいの平たいうねうねと波打ったような板のようなものでした。(私が触ったのは2つあって、1つは横棒が25cmくらい、縦棒が15cm余、もう1つは横棒が20cmくらい、縦棒が15cmくらい。)このシュモクガイも、横棒の円柱を下にして開いてみました。なお、名前のシュモクガイは、寺などで鐘を叩く撞木に形が似ているところからだとのことです。
 その他貝(いずれも巻貝)では、ラクダガイ(背にぼこん、ぼこんと大きな膨らみがある)、クモガイ(うねった足が左右に6本くらい伸びている)、トウカムリ(高さ20cm余、直径15cmくらいもある、どっしりと安定した形で、名前は中国の冠に似ているところから)、ホネガイ(魚の細い骨が並んでいるよう)、ヤコウガイ、テングガイなどを触りました。貝ではなくアンモナイトに近いオウムガイもありました。変わったものでは、カイロウドウケツに触りました。長さ20cmくらい、直径3cm弱ほどで、表面には細かいレース編みを巻きつけたようになっており、根元のほうは毛のようなふさふさになっていました。
 
 サメの仲間たち、シュモクザメ、ヨシキリザメ、コバンザメ、イタチザメ、アオザメの標本(剥製)にも触りました。シュモクザメは、全長3m余くらいだったでしょうか、頭部が左右に突き出し、さらにその両側に目がありました。
 ヨシキリザメは、全長4m弱ほどあったでしょうか。胸鰭が体のかなり前のほう(頭から50~60cmくらいの所)にあり、左右に60~70cmくらいでしょうか、細長く伸びています。胸鰭からかなり離れて斜め上に大きな第1背鰭があり、第1背鰭の斜め下に20cmほどの腹鰭があります。この1対の腹鰭の先から、長さ15cm余、直径2cm余ほどの円柱状の1対の交尾器が伸びています(ということは、この標本は雄)。腹鰭の斜め上に小さな第2背鰭があり、その下に臀鰭があります。尾鰭は上下に長く伸びていますが、上のほうがとくに長いです。
シュモクザメは、その「撞木」という名の通り、頭が左右に突き出していて、さらにその両側に目がありました。体長は3.5mくらいだったでしょうか、尾鰭は上下に分かれていますが、上のほうはほぼ水平に少しうねりながら1m余も伸びまるで梶棒のような感じがしました(尾鰭のもう一方のほうは60cmくらいで下に垂れ下がるような感じでした)。
 アオザメ(体長6mくらい?)とイタチザメ(体長3m余。タイガーシャークとも)は恐ろしいサメのようで、頭部、とくに歯に触りました。アオザメの歯は先が鋭くとがり、1cm余ほどの長さのものが前から後ろに向かって3、4列くらいは並んでいました。イタチザメの歯はもっと小さくて、6列くらいは並んでいて、まるで鋭い歯のおろし金のようでした。
 コバンザメは、サメという名前ですが、サメの仲間ではなく、硬骨魚で、サバやカジキなどと同じスズキ目の仲間だとのこと(サメは軟骨魚)。私が触ったのは、体長80cmくらいのものと30cm余ほどのもので、それぞれ頭の上面に、確かに小判型の吸盤があります。体長80cmくらいのほうには20cm弱の、体長30cm余のほうには10cm余の小判型の吸盤がついていて、体長の割に吸盤が大きいと思いました(体長数cmの小さいころでも、この小判型の吸盤でサメなどの大型の魚類やウミガメ、クジラ類などにしっかり着いていることも多く、そのまま宿主の餌のおこぼれに預かって成長するようです)。小判型の吸盤はまるでゴム草履の裏側のような感じで、がたがたと出っ張りとへこみが繰り返しています。これは隔壁が並んでいる状態で、ふつうは隔壁は後ろに倒れていますが、水中で大型の魚などに触れると隔壁が垂直に立ち上がって宿主との間の体積が増して水圧が下がって(一部は真空に近い状態になる)回りとの水圧差が生じ、簡単には剥がされない状態になるようです。なお、宿主から離れるには、宿主よりも速く泳げばいいとのこと(そうすると、コバンザメの隔壁が後ろに倒れて元の状態に戻る)。
 
 動物の剥製では、最近しばしば耳にするハクビシンに触りました。まず印象的だったのは、体長が60cmくらいなのにたいし、尾は50cmくらいもあって長く、胴はずんぐりした感じで四肢は短かったです。ネコとイタチの中間のように見えるが、ジャコウネコ科だとのこと。歯は、とくに犬歯が鋭く、奥に向かって10本くらい並んでいました。額から鼻にかけて白い帯のようなのがあり、それで「白鼻心」と呼ばれるそうです。日本ではとくに最近殖えているので外来のものなのかもと思っていましたが、調べてみると在来種の可能性も高いようです。タイリクオオカミ(ハイイロオオカミ、シンリンオオカミとも)にも触りました。体長は130cmくらい、尾は30cm余と短く、胴はずんぐりして堂々とした感じ、頭の上から肩くらいまで長いふさふさの毛がありました。歯はとくに犬歯が太く鋭く、その他の歯も鋭かったです。
 廊下の突き当りに羽を広げた姿のクジャクが展示されていました。高さ2m以上、幅も1m以上はあり、手触りもとてもきれいな小さな羽が多数ふわふわしていてすごかったです。このように羽を広げるのは雄の求愛行動の時だとのこと(この羽を広げる時には、さわさわというような音がするとか)。
 
 建築模型にもいくつか触りました。ピサの斜塔は、円柱が8段重なったような形で、片側は垂直を越えるほどになっていて、かなり傾いているように感じました(実際は5度くらい傾いている。高さは 56m)。東京スカイツリーは、一番下が正三角形で、次第に角がとれて円くなり、高さ300mくらいからはほぼ円形になっていました。350mの所に第1展望台、450mの所に第2展望台があります。この第2展望台の外周にゆるやかな坂になったちょうど1周する通路があり、到着地は出発地よりフロア1階分高くなっているそうです(全体の高さは634m)。東京タワーは、一番下は正方形で、そのまま次第に細くなっています(高さは333m。三角形を組み合わせたトラス構造で、エッフェル塔を模したものだとか)。
 美術関連のものにも触りました。ダヴィンチの「最後の晩餐」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(ターバンや真珠がよく分かった)、ドガの「踊り子」、「嘆きのピエタ」(ミケランジェロの「ピエタ」関連だと思う。マリアがキリストを抱きかかえていますが、キリストの左腕は力なく垂れ下がり、右腕も手首から垂れていた)などです。
 
(2025年9月14日)