盲人文化史年表

上に戻る


◆2010年以降

 2010年1月、毎日新聞大阪本社学芸部の遠藤哲也記者による「点字の父・ブライユ生誕200年を記念した視覚障害者の権利擁護に関する報道」が、第14回新聞労連ジャーナリスト大賞の優秀賞を受賞
 2010年1月、東京に「だれでも読書館」オープン(大活字本のほか、拡大読書器、ルーペ、視覚障害者用便利グッズなど)
 2010年1月、高橋りくが、見えない人が絵画を楽しめるよう、色の違いを砂の粒の大きさと香りの違いで表わした「スナエ」を製作、「スナエ」の普及活動を始める
 2010年2月、国土交通省が、「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」を日本自動車工業会などに通達 (新たに発売される車について、時速20キロまでの速度域では自動車の走行音を想起させる連続音を原則として常時発音させる) (このガイドラインに即して、同年8月、トヨタ自動車が3代目プリウス用の「車両接近通報装置」を発売)
 2010年2月、日本テレソフトが、点字カラオケシステムを開発 (通信向け10万曲を自動点訳してピンディスプレイに表示)
 2010年3月、2005年9月にトラックにはねられて即死した盲導犬サフィーの使用者と犬を無償貸与していた中部盲導犬協会が起した訴訟で、名古屋地裁が、盲導犬の社会的価値を認めて、トラック運転手と勤務先の運送会社に損害賠償金の支払いを命じた。
 2010年、国土交通省によると、3月末現在、1日5000人以上利用者のある全国約2800の駅のうち、可動式ホーム柵・ホームドアが設置されているのは449駅(約16%。全国の全駅数約9500にたいする割合は約4.7%) (2006年施行の高齢者障害者移動円滑化促進法では、新設の駅にはホーム柵などの転落防止設備の設置を義務付けている)
 2010年3月、シーナ・アイエンガー(Sheena IYENGAR)の著書“The Art of Choosing”(日本語版は『選択の科学』)が刊行され、話題になる (シーナ・アイエンガー:1969年、カナダのトロント生まれ。両親はインドのデリーからの移民で、シーク教徒。72年にアメリカに移住。3歳の時、網膜色素変性症と診断され、次第に視力が落ち、10代中半で失明。一般の公立学校に通い、ペンシルバニア大学ウォートンスクールに進学、92年卒業(経済学学士)、さらにスタンフォード大学に進み、97年博士号(社会心理学)取得。98年からコロンビア大学ビジネススクールに奉職、現在同大学教授。)
 2010年4月、視覚障害者情報総合システム「サピエ」運用開始 (ないーぶネットとびぶりおネットを統合して、点字データとデイジーデータを検索・ダウンロードできる。また、地域・生活情報の提供や図書製作支援サービスも行う。書誌データベース:約47万件。会員数:施設・団体 約200、個人 約7000)
 2010年4月、視覚障害・知的障害両教育部門の初の併置校として、東京都立久我山青光学園開校 (前身は、東京都立久我山盲学校と東京都立青鳥特別支援学校久我山分校)
 2010年4月、弱視者(低視力者・高齢者)のための読書環境整備や大活字文化の普及を目的に「特定非営利活動法人 大活字文化普及協会」発足(同年12月、同協会内の専門委員会として「読書権保障協議会」発足)
 2010年5月30日、東京で、杉山検校生誕400年記念行事として、記念式典・講演会・祝賀会が行われる
 2010年6月、JR東日本が、山手線恵比寿駅で可動式ホーム柵の使用開始(管内の在来線では初)
 2010年7月、生態学者・民族学者で国立民族学博物館顧問の梅棹忠夫(1920〜2010年)没 (1986年に失明するが、その後も口述筆記で著述活動を続ける。日本語のローマ字化推進論者であり、エスペランティストでもある。)
 2010年8月、明間印刷所が『起き上がる形本 1 基本立体編』を発売(本をめくるごとに様々な立体が起き上がる)
 2010年8月、JIS X8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス−第3部:ウェブコンテンツ)」の改訂版(2010年版)が公示される
 2010年8月、金融庁が、金融機関団体に「視覚障害者に配慮した取組みの積極的な推進について」要請(視覚障害者対応ATMの増設と機能の充実、複数の行員の立会いによる代筆及び代読など)
 2010年10月、アメリカ、オバマ大統領が、「21世紀における通信と映像アクセシビリティに関する2010年法(S.3304)(Twenty-First Century Communications and Video Accessibility Act of 2010)」に署名 (IP電話やスマートフォン、テレビやWEBやDVDなどについて、補聴器、字幕、音声解説などにより視覚障害者や盲ろうの人たちもアクセスできるようにし、また盲ろうの人たちに必要な機器の購入費を援助することなどを規定)
 2010年11月1日、東京都中央区築地の楽善会訓盲院跡に「東京盲唖学校発祥の地、日本点字制定の地」記念碑が建立される
 2010年11月、日本電子出版協会(JEPA)内に、だれでも読書できる環境整備の手段の一つとして電子データの音声読上げを推進することを目的に、「TTS推進協議会」発足 (TTS: Text To Speech)
 2010年11月、大阪府が、豊中市の阪急宝塚線・服部踏切内に点字の誘導標示(長さ約8メートル、幅約45センチ)を試験的に設置(遮断機付きの踏切内での点字ブロックの設置は全国初)
 2010年11月、大阪で、「触れる仏像展」開催(主催:触る文化・触文化研究会)
 2010年12月3日、障がい者自立支援法改正案が、新たな障害者福祉法が施行されるまでのつなぎ法案として、可決・成立 (主な改正点:原則1割負担から負担能力に応じた負担へ、発達障害者が障害者の範囲に含まれることお明示、視覚障害者の移動支援「同行援護(代筆・代読もふくむ)」も自立支援給付の対象とする。施行は2011年10月予定)
 2010年12月、地域における高齢者・障害者等を対象とする生活サポートとして「読み書きサービス」の実現を目指して、「読書権保障協議会」発足
 2010年12月、千葉県習志野市で、第1回視覚障害者クライミング世界選手権大会開催
 2010年、国立国会図書館が、「公共図書館における障害者サービスの実施状況の調査」を実施 (回等館は2272館で、その中で障害者サービスを行っているのは1503館。その中で、対面朗読は591館で利用可能だったが、実際に利用があった館は287館、録音・点字資料の郵送貸出は479館で可能だったが、実際に利用があった館は216館。)
 2011年1〜2月、和歌山県立博物館で、「仮面の世界へご招待―さわって学ぶ和歌祭―」開催 (仮面のレプリカのほか、触図、点字・音声による解説、ボランティアによる案内と解説もあり) (以後同館は触れるレプリカや触図録などを継続的に製作、2014年、視覚障害者向けの「さわって読む図録」と「さわれるレプリカ」で、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰(内閣総理大臣表彰)を受賞)
 2011年1月、JR東日本が、1月16日JR山手線目白駅で全盲男性が転落死した事故を受け、管内330駅の点字ブロックの実態調査を開始、摩耗や埋まるなどして分かりにくい点字ブロックを内方線の付いた新型のブロックに順次交換
 2011年2月、総務省が、各都道府県選管にたいして、点字及び音声による選挙情報の提供について要請 (国政選挙や都道府県知事選挙では、選挙公報の全文を、点字版だけではなく、カセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コード付き拡大文字版で提供する。また(4月の統一地方選挙を念頭に)その他の地方自治体の選挙についても上に準じた措置を講ずるよう努める)
 2011年2月、イギリス生れのアメリカのジャズ・ピアニスト シアリング(George Shearing. 1919〜2011年)没 (先天盲で、盲学校でクラシック・ピアノを学び、ジャズに転向。1946年にはイギリスでナンバー・ワンのジャズ・ピアニストとして高く評価される。47年渡米。49年、ヴィブラフォンやエレクトリックギターを加えて編成したクインテットを結成(〜67年)、「九月の雨」が大ヒット。さらに52年、ジャズ・クラブ「バードランド」にちなんで作曲した「バードランドの子守唄」は、ジャズのスタンダードとなっている。1983年「アン・イヴニング・ウィズ・ジョージ・シアリング&メル・トーメ」がグラミー賞のジャズ部門を受賞。生涯に300曲以上作曲。)
 2011年3月、静岡大学が、携帯電話のカメラで食品や飲料のバーコードを読み取ると音声で商品情報を案内するソフト「バーコード・トーカー」を開発、このソフトを使って音声案内をするサービスを情報処理学会が開始
 2011年3月、演歌歌手で盲導犬普及活動を続けた井上わこ没 (1944〜2011年。本名蜂谷わこ。1982年交通事故に遭いその後遺症のため失明。1987年「人生演歌灯り」で歌手デビュー。翌年から盲導犬普及活動を始め、毎年1頭ずつ、計23頭の盲導犬を視覚障害者に贈呈。2002年広島市より 広島市民賞、国際ソロプチミストより社会ボランティア賞。2008年毎日社会福祉顕彰)
 2011年3月末、「東北関東大震災(東北地方太平洋沖地震)障害者救援本部」発足。また、日本盲人福祉委員会に「東日本大震災視覚障害者支援対策本部」が設けられる
  [「日本障害フォーラム宮城」の資料によれば、宮城県内の沿岸13自治体(仙台市と渡町は含まれていない)の住民62万6926人のうち震災犠牲者数は8499人で、死亡率は1.4%だったのにたいし、障害者手帳所持者2万9185人(複数の手帳を持つ重複所有者含む)のうち犠牲者数は1027人で、死亡率は3.5%。(手帳の障害別では、身体障害者3.9%、精神障害者3.1%、知的障害者1.5%)最も死亡率が高かった自治体は女川町で、手帳所持者520人のうち81人が死亡し15.6%。南三陸町は13.3%。]
 2011年4月、森敦史(19歳。生れつきの盲ろうで、声もうまく出せない。触手話と指点字を使用)が、ルーテル学院大学社会福祉学科に入学
 2011年5月、国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum: IDPF)から、電子書籍用の共通企画で日本語にも対応した"EPUB 3.0 Proposed Specification"が公開される (同年10月には"EPUB 3.0 Final Specification"が公開される)
 2011年6月、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」成立 (施行は2012年10月1日)
 2011年7月〜9月、しょうけい館(戦傷病者史料館)が、企画展「戦盲〜失明戦傷病者がたどった戦中・戦後〜」を開催 (主に、日中戦争で負傷し失明した原田末一(1896〜1999年)の歩みを中心に紹介)
 2011年7月、韓国、KBSが「障がい者を対象にしたキャスターの採用試験」を行い、全盲の李昌勲(イチャンフン。25歳)を採用。11月よりニュースキャスターとしてデビュー。
 2011年8月、障害者基本法の一部を改正する法律が公布・施行(障害者政策委員会等については、2012年5月施行)
 2011年8月、埼玉県の「ひとみ園演劇ホール」を会場に、NPO法人日本盲人演劇協会の主催で、第1回全国盲人演劇祭が開催される(第8回全国ひとり演劇コンクール、および第1回全国盲人集団演劇コンクール)
 2011年8月、財団法人共用品推進機構が『2010 年度(平成 22 年度)視覚障害者不便さ調査成果報告書』を公表
 2011年9月27〜30日、ドイツのライプツィヒで、「世界会議点字21(World Congress Braille21)」開催
 2011年9月末、エジプトの全盲のウードゥ奏者で作曲家・アラブ音楽研究者のムスタファ・サイッド(MUSTAFA Said: 1983〜)が自費で来日し、福島県福島市と南相馬市で「福島に奏でる ムスタファ・サイッド氏による連帯ボランティアコンサート」、および東京で「フクシマ原発災害とエジプト革命をつなぐ音」開催 (両親が、1973年の第四次中東戦争のさい、滞在中のシナイ半島でイスラエルが投下した劣化ウラン弾により被爆、兄と彼は共に全盲として生まれる。カイロのターハー・フセイン盲学校卒業後、アラブウード学院を2004年に修了、カイロ・オペラハウス、アゼルバイジャンでのスーフィーフェスティバル、中近東諸国、スイス、フランス、イギリスへも招聘される。この間、オマル・ハイヤームの詩「ルバイヤート」を歌ったことから、政府から危険人物とみなされ、レバノンに居住、アントニン大学で講師をつとめる。2010年秋に、日本の常味祐司、フランスのヤン・ピタールとともにインターナショナル・ウード・トリオを結成し、広島・神戸・京都・長野・名古屋・静岡・東京のライブハウス等でコンサートツアーを行う。2011年1月、ムバラク独裁政権を倒すことになるエジプト革命では、レバノンから単身で革命に参加、反政府デモの中心地・カイロのタハリール広場で革命歌となる曲を演奏して民衆を鼓舞。この時の歌は、エジプト取材のBBCアラビア語放送を通じて全世界へ放映された。)
 2011年、視覚障害者の芸術文化・スポーツの振興を図ることを目的に「日本視覚障害者芸術文化協会」発足 (会長:山口和彦)
 2012年1月、東京都墨田区の江島杉山神社に「杉山検校遺徳顕彰会鍼按治療所」が開設される
 2012年2月、スイスのベルンで開かれた万国郵便連合の郵便事業委員会で万国郵便条約の改定案が採択され、無料扱いの対象が「点字郵便物」から「盲人のための物品」(点字のほか、録音図書や録音器、点字板・点字タイプライター、盲人用時計、白杖など)に拡大される。 (日本での実施は2014年1月から)
 2012年2月、イタリア、ウフィツィ美術館が、所蔵の古代の彫刻作品などを視覚障害者が触れて鑑賞するプログラムを開始
 2012年3月、山口県立図書館が、マルチメディアデイジー室を開設 (普通の活字での読書が困難な、高齢者・視覚障害者、手が不自由な人・子供などが対象)
 2012年3月、指点字を体系的に学ぶことのできる『指点字ガイドブック 〜盲ろう者と心をつなぐ〜』(東京盲ろう者友の会編著)が発行される
 2012年3月、DPI女性障害者ネットワークが、『障害のある女性の生活の困難―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは―複合差別実態調査報告書』を発行
 2012年4月、東京で、国連専門家会議「ICTと障害-アクセスと共生社会、すべての人のための開発へ」が開かれる。
 2012年4月、「ロービジョン訓練」(保有する視機能に応じた補助具を選定し、視能訓練士らが訓練を行う)が保険適用となる。
 2012年4月、大活字文化普及協会が、区立日比谷図書文化館で、読み書き支援事業を開始(障害者や高齢者など読み書きが困難な人対象で、障害種別や障害者手帳の有無、利用者の居住地は問わない)
 2012年4月、大手の出版社等が中心になって、電子出版ビジネスの公共的なインフラの整備、研究・教育・教養分野における電子出版物利用環境の整備等を目的に、「株式会社出版デジタル機構」設立 (約300社が参加予定。官民出資の投資ファンド「産業革新機構」が最大150億円出資)
 2012年5月、日本点字図書館より『ふれる世界の名画集』発行 (ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、ミレーの「落ち穂拾い」、ムンクの「叫び」など、西洋の代表的な絵画12種を半立体化してエンボス印刷し、絵の理解を促す点字と墨字の解説を付す。エンボスの原版は彫刻家の柳澤飛鳥(1948年〜)が製作)
 2012年5月、日本デジタル教科書学会発足
 2012年5月、中国の陳光誠がアメリカに出国(1971〜。山東省出身。幼児期に失明した人権保護活動家・在野の法律家)。
 2012年5月、厚生労働省の労働政策審議会が、障害者雇用率の引き揚げ等について答申。障害者雇用促進法の施行令を6月に改正し、2013年4月施行 (民間企業は1.8%から2.0%へ、国及び地方公共団体並びに特殊法人は2.1%から2.3%へ、都道府県等の教育委員会は2.0%から2.2%へ)
 2012年6月20日、障害者自立支援法の一部を改正し名称を変更した「障害者総合支援法」が成立 (2011年8月に内閣府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が出した「骨格提言」はほとんど盛り込まれず、利用量の原則1割負担(応益負担)や事業所への報酬支払い方式等は現行法と変わらない。主な改正点は、難病患者を障害福祉サービスの対象に加える、障害程度区分を障害支援区分に改める、ケアホームのグループホームへの一元化等。施行は2013年4月。「意思疎通支援事業」が市町村の必須事業となり、実施要綱では点訳・音声訳とともに代読・代筆も例示される。)
 2012年6月、「障害者優先調達推進法案」(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律案)が成立 (国の機関や自治体に対して、障害者が働く福祉施設から事務用品などの製品を優先的に購入することや、障害者就労施設に清掃や印刷などの業務の委託を増やすよう求める。施行は2013年4月1日)
 2012年6月、点字毎日が、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)と共同で、1922年5月の創刊号以来の「点字毎日」のバックナンバーのデータ化を開始する (全視情協の島根あさひ事業所が官民共同で運営する刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」の受刑者に点字を教え、その受刑者たちがデータ化作業を行う。点字データは、全視情協が運営する視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」に順次アップされる予定)
 2012年6月、林健太を中心に「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」発足 (各地の美術館で、ほぼ月1回鑑賞ワークショップをしている)
 2012年7月、ギャラリーTOMとNPO法人視覚障害者芸術活動推進委員会が、『手で見る北斎― 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』発行 (1枚の絵を、波、富士山、船などのパーツごとに触図化し詳しく解説)
 2012年8月、テレビのワンセグ放送の音声を聞くことができる受信機3機種が発売される
 2012年10月、日本盲教育史研究会発足
 2012年10月、バンコクで開催されたWBU総会で、田畑美智子が、WBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)の会長に選ばれる (田畑美智子:1964〜。先天性の弱視。筑波大学附属盲学校高等部普通科卒業。在学中にテキサス州立盲学校に1年留学。明治学院大学文学部英文学科卒業後、1987年民間金融機関に就職。語学を生かして海外の視覚障害者との交流などに関わる傍ら、環境・貧困・人権等のNGOに参加。 2003年より日盲連国際委員としてWBUの活動に参加)
 2012年11月、NHKが、「聞いて 聞かせて 〜ブラインド・ロービジョン・ネット〜」で放送された塩谷治さんのインタビューのノーカットの音声版とともに、それを文字起こししたテキスト版を公開(盲ろう者は、テキスト版を点字ディスプレイなどで読んで放送内容をまるごと知ることができる)
  [塩谷治:1943〜2014年。早稲田大学入学後間もなく点訳活動を始め、1966年に東京の点訳者を中心に「点字あゆみの会」を組織。卒業後は東京教育大学付属盲学校(現・筑波大学附属特別視覚支援学校)の国語の教師として、長年盲教育に携わる。また、盲聾になった福島智の校高3年の担任となり、その大学進学を支え、さらに盲聾者の全国的な支援組織作りでも中心となって活動。2012年に盲ろう者支援で第49回点字毎日文化賞受賞。なお、早稲田大学文学部の同級生でその点訳も引き受けていた全盲の真喜屋実蔵(1938〜1968年。沖縄県具志頭村生まれ。1944年6月台湾に疎開、47年豊見城村の収容所に引き上げる。そこで不発弾で遊んでいて暴発、失明。51年、同年開校した沖縄盲聾学園1年に入学。60年京都府立盲学校高等部普通科に入学。64年早稲田大学第二文学部日本文学科入学。68年8月15日自殺)から託されていた詩や短歌を、2013年『春想」として桜雲会より墨字と点字で出版している。]
 2012年12月、通信カラオケ大手「第一興商」の社員だった山成遊が、視覚障害を理由にして退職させられたのは無効だとして訴えていた裁判で、東京地裁が訴えを認め未払い賃金の支払いを命じる。(同社は即日控訴。山成氏も、職場で受けたパワーハラスメントなどが視覚障害発祥の原因だとする主張が認められなかったため、控訴)
 2012年12月、日本点字普及協会(理事長:高橋實)発足 (2013年4月、NPO法人)
 2012年、フランスのl'Association BrailleNetと、le Groupement des Intellectuels Aveugles ou Amblyopes (GIAA)、l'Association pour le Bien des Aveugles et malvoyants (ABA)の3団体が共同開発した“Bibliotheque Numerique Francophone Accessible”が運用開始(DAISYフォーマットのフランス語図書12,000タイトル以上をダウンロード提供する)
 2013年1月、筑波大学附属視覚特別支援学校が、JICA草の根技術協力事業として、3年計画で、インドの視覚障害者の職業教育支援事業を開始 (日本の医療マッサージを中心にした総合的マッサージ技術の普及をめざして、教員養成技術研修、総合マッサージコース、医療マッサージ師養成課程を開設する予定)
 2013年3月、日本学生支援機構が、「平成24年度(2012年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」を公表。障害学生在籍学校数は793校(全学校数の66.2%)、障害学生数は11,768人(全学生数の0.37%)、障害別では、肢体不自由2,450人、発達障害1,878人、聴覚・言語障害1488人、視覚障害694人など (2013年度の障害学生数は13,449人、2014年度の障害学生数は14,127人)
 2013年3月、愛知県美術館が、文化庁の補助金を得て、視覚障害者対象の鑑賞学習補助ツール『びじゅつかんからやってきたさわるアートブック』を製作(2014年3月にも、同Aを製作。愛知県内の各地の美術館所蔵の絵画・彫刻・陶などの作品を触図と解説文で紹介している。)
 2013年4月、長尾博(1957〜)が、宮城教育大学特別支援教育講座の教授に就任 (生まれつき右目が見えない弱視で、30歳ころ左目も失明。小学5年まで地域校に通うが、その後滋賀県立盲学校に移り専攻科を卒業。さらに立命館大学に進んで西洋史を学び、社会科教員として母校に就職。2009年、広島大学大学院教育学研究科修了)
 2013年4月、京都産業大学に、全盲の学生が物理専攻で入学。
 2013年4月、日本ライトハウス情報文化センターが、プライベートサービスの一貫として、墨字書籍をテキストデータ化するサービスを開始。
 2013年4月、大阪府吹田市に、視覚障害者に特化した就労移行支援事業所「ジョブトレーニングセンターOSAKA」が開所(運営は株式会社ティダ・グリーン。マッサージやパソコン操作のスキルアップをはかる実践的な講座や現場実習、面接のフォロー、就職後のサポートも行う)
 2013年、就学奨励費の補助対象が、通常の学級で学ぶ児童生徒(学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度に該当)まで拡充される
 2013年5月、障害者・高齢者・闘病者など身体の不自由な人たちの旅を支援する活動をしているNPO法人ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク(JTVN)が、第1回「旅行介助ガイド検定」を実施(検定合格者は「準・旅行介助ガイド」として、報酬を得て昼間の旅行をサポートできる技量を有していると認定される)。
 2013年5月、点友会が、京都ライトハウス内に、拡大文字の図書文庫を解説(弱視児に児童書や辞典類などを郵送で貸し出す)
 2013年5月、日本盲人会連合が、東日本大震災で被災した視覚障害者が体験を伝える「語り部プロジェクト」を開始 (岩手・宮城・福島3県の視覚障害者約20人を語り部として登録、被災地を訪れた人たちに話すほか、希望があれば派遣も行う)
 2013年6月、日本ライトハウス情報文化センターが、「シネマ・デイジー」(映画の主音声に場面説明や登場人物の動きなどの音声解説を付けてデイジー編集したもの)の貸出開始 (8月から日本点字図書館も貸出開始)
 2013年6月13日、改正障害者雇用促進法成立 (雇用分野での障害を理由とした差別的取扱を禁止し、事業主に合理的配慮の提供を義務付ける。施行は2016年4月。法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える部分は2018年4月から施行)
 2013年6月19日、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(通称、障害者差別解消法)」が成立 (公共機関や民間企業に対し、障害を理由とした不当な差別的取り扱いを禁じ、過重負担にならない範囲で合理的配慮を求める。合理的配慮については、行政機関(国と自治体や公立学校、福祉施設など)に対し法的に義務化、民間事業者に対しては努力義務。2016年4月施行)
 2013年6月、モロッコ・マラケシュで開かれたWIPO(世界知的所有権機関)の会議で、WBU などが提案していた著作権条約の改正案が可決される (視覚障害者等受益者のために、国内の著作権法で著作権(複製権・譲渡権等)の権利制限や例外を設けること、また、各国の国内法(著作権法)の下で作製された点字・拡大文字・録音図書を、他の国の視覚障害者やディスレクシア等活字を読むのが難しい人たちも利用できるようにするなど) (カナダが2016年6月に条約を批准、批准国が発効条件の20カ国に達し、2016年9月30日にマラケシュ条約発効)
 2013年7月、厚生労働省より、2011年12月1日現在で実施された「平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」の概要が公表される。対象者は、手帳所持者、手帳は持たないが同等の障害のある者および「長引く病気やけがにより生活のしづらさがある者」(以下の数値はいずれも推計値)。障害者手帳所持者は4,791,600人(内訳は身体障害者手帳3,863,800人、療育手帳621,700人、精神障害者保健福祉手帳567,600人)。手帳を持たずに自立支援給付等を受けている人が320,000人、手帳を持たず福祉サービスの給付も受けていない人が1,890,000人。身体障害者手帳所持者のうち視覚障害者は316,000人。その年齢別の内訳は、0〜9歳1,500人(0.5%)、10〜17歳3,400人(1.1%)、18〜19歳1,000人(0.3%)、20〜29歳3,900人(1.2%)、30〜39歳9,800人(3.1%)、40〜49歳18,200人(5.8%)、50〜59歳28,000人(8.9%)、60〜64歳30,500人(9.7%)、65〜69歳33,900人(10.7%)、70歳以上183,800人(58.3%)で、65歳以上が7割近くに増化。障害程度別では、1級が36.2%、2級が28.5%。
 2013年8月、文部科学省の「2013年度学校基本調査(速報)」によれば、全国の特別支援学校1080校の在学者は132,568人。その内、「視覚障害」対象が65校で在学者は2468人(全国盲学校長会が6月に公表した資料では、視覚障害者にたいする教育を行う特別支援学校は69校で、在籍する幼児・児童・生徒は3354人)。2012年度の視覚障害の高等部の卒業生は389人で、その内、専攻科進学が72人、大学進学39人、就職54人。
 2013年8月、「学校教育法施行令の一部を改正する政令」が公布され、9月1日施行。これにより、障害のある児童生徒の就学先を原則特別支援学校としてきた規定がなくなる。
 2013年9月、Yahoo! JAPANが、「さわれる検索」プロジェクトを発表 (協力企業などから提供された3Dデータに基づいて、音声入力によって認識されたキーワードに対応する物を3Dプリンタで出力し、実際に触れる立体物として示す。筑波大学附属視覚特別支援学校などで導入)
 2013年9月、「NPO 片目失明者友の会」発足(代表・久山公明)。片目失明者(1眼の視力が0.6以上あればもう1眼の視力が0でも視覚障害とは認定されない)も視覚障害者認定されるよう法改正を目指して運動。
 2013年10月、鳥取県議会で、「鳥取県手話言語条例」が可決・成立。
 2013年10月、尼崎市で、障害を持つ音楽家約10人が「日本障害者芸術団」を設立 (関西障害者国際交流協会が支援)
 2013年、大阪大学歯学部と神戸大学医学部が、歯の病状や治療内容を点字や触図(立体コピー)で患者に伝える情報提供システム「DENTACT(デンタクト)」を開発、大阪大学歯学部附属病院で実用化、全国的な普及を目指す。
 2013年10月25日、大学関係者等が集まって、「高等教育機関における障害学生支援に関する全国協議会」の準備会を開く。(2016年の障害者差別解消法施行で、障害学生への合理的配慮の提供が国公立は義務、私立は努力義務となるのを受けて、支援の有り方について理解・啓発や提言などを行う計画) (2014年11月、一般社団法人「全国高等教育障害学生支援協議会」として発足、東京大学・京都大学・北海道大学・立命館大学・関西学院大学など63校が参加。2015年6月、東京大学先端科学技術研究センターで第1回大会を開催)
 2013年10月30日、米連邦通信委員会は、CVAA(The 21st Century Communications and Video Accessibility Act. 2010年10月策定)の施行に関する規則を近く公表すると発表 (この新たな規則によれば、米国内で製造・販売されるテレビやテレビ類似の装置(タブレット端末やスマートホンを含む)には操作時の音声ガイドやメニューの音声化などが義務付けられる。米国ではリハビリテーション法508条が連邦政府などが購入する機器について障害者のアクセシビリティを保障することを義務付けているが、今回のCVAAは一般市場で販売される製品を対象とする。)
 2013年11月、大阪の梅田画廊で「第5回 末冨綾子展」開催 (末冨綾子:1963〜。高校生のころに網膜色素変性症と診断されるが、武蔵野美術大学進学。1988年同大大学院修了後、89年に渡仏。90〜94年、フランス政府給費留学生として、パリ国立高等美術学校・パリ国立高等装飾美術学校で絵画・壁画を研究。95年までパリの画廊・フランス国内の美術館に多数出品し、また各種の賞も受賞。このころから視力低下と視野狭窄が進行する(2005年ころ完全失明)が、以後も、年の半分はパリで絵画制作に専念し、日本で個展を開催している。)
 2013年11月、常磐大学の中村正之研究室が、富嶽三十六景の全46作品の立体コピー図版(1枚の浮世絵を4枚セットの図版で表している)を製作、山梨県立博物館等に寄贈
 2013年11月、「六甲山の上美術館 さわるミュージアム」開館 (彫刻、絵画、瑪瑙のカメオなど、すべての作品を触って鑑賞できる)
 2013年12月、カナダの視覚障害者団体CNIB(Canadian National Institute for the Blind)が、DAISY形式のオーディオブックを配信するサービス(“Direct to Player”)を開始。
 2014年1月、国立国会図書館が、「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」を開始(同館が製作した学術文献の録音デイジー図書および公共図書館が製作した録音デイジー図書と点字図書のデータについて、会員登録した個人や施設が無料でアクセスしストリーミングやダウンロードできる。2014年6月より、サピエから国会図書館のデータにアクセスして利用できるようにもなる。)
 2014年3月、森田昭二(1935〜)が、『近代日本に於ける「盲人福祉」の源流についての研究 −好本督・中村京太郎・熊谷鉄太郎の系譜を中心に−』で関西学院大学より博士号(人間福祉)を受ける (京都大学文学部を卒業後、高校の国語教師。38歳で白内障の手術をし、それ以降視力が次第に低下、55歳で退職。64歳で失明、翌年日本ライトハウス・リハビリテーションセンターに入所し、点字や歩行を習得。2003年、67歳で、関西学院大学社会学部の聴講生になり、05年(69歳)に修士課程に進み、07年修士号取得。08年に博士課程に合格)
 2014年4月、筑波技術大学大学院修士課程技術科学研究科に「情報アクセシビリティ専攻」が開設される(情報保障学の専門家を育成。視覚・聴覚障害のない方も入学資格がある)
 2014年4月、東京・高田馬場に「手と目でみる教材ライブラリー」が開館 (「モナリザ」「最後の晩餐」「神奈川沖波裏」等の絵を半立体的に翻案したレプリカ、視覚障害者用教材・教具、点字指導教材、手でみる絵本などを展示)
 2014年4月、東京都人権プラザで、企画展「『読む人権 じんけんのほん』 読む権利」が開催される(〜6月)
 2014年4月、日本テレビ小鳩文化事業団が系列のラジオ日本で、視覚障害関連番組「小鳩の愛〜eye〜」を開始(毎週日曜日7時5分から15分間)
 2014年5月、駅などの公共空間で鳴る音の大きさ、長さ、音と音の間隔、設置方向などについて規定した「JIS T0902:高齢者・障害者配慮設計指針―公共空間に設置する移動支援用音案内」が制定される
 2014年5月、難病医療法成立 (施行は2015年1月。助成対象の指定難病が従来の56疾病から360疾患に拡大。視覚系疾患では、網膜色素変性症、アッシャー症候群、黄斑ジストロフィー、眼皮膚白皮症、中隔視神経形成異常症(ドモルシア症候群)、レーベル遺伝性視神経症)
 2014年8月、全国盲ろう者協会が、自治体を通じ、身体障害者手帳所持者のうち視覚と聴覚の重複障害者数を調査(群馬県と山形県を除く都道府県・政令市・中核市107自治体が回答)。男5826、女7953、不明・無回答173の計13952人。65歳以上の老年人口は10798人(約77%)、14歳以下の年少人口は109人(約0.8%)。
 2014年9月、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代を中心とするグループが、加齢黄斑変性症の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った細胞の移植を行う(世界初)。
 2014年12月、厚生労働省より「平成25年度障害者雇用実態調査の結果」が公表される。雇用障害者数は推計で631,000人(前回の平成20年度は448,000人)。内訳は身体障害者 433,000人(同346,000人)、知的障害者 150,000人(同73,000人)、精神障害者 48,000人(同29,000人)。視覚障害者は36,000人で、身体障害者の8.3%。
 2014年、中村タケ(1932〜。3歳で麻疹のため失明。13歳からイタコの修行をし、16歳でイタコとして独立。八戸市在住で現在もイタコの仕事をしている)が、イタコのおしら遊びの伝承で、第34回伝統文化ポーラ賞の地域賞を受賞 (オシラ遊ばせ、口寄せ、呪いなど中村タケが記憶する61の唱えごとを収録し解説した『イタコ 中村タケ』平成25年度(第68回)文化庁芸術祭(レコード部門)優秀賞)が平凡の友社より刊行されている)
 2015年3月、私立の熊谷理療技術高等盲学校が閉校する (1932年、全盲の中村春吉が熊谷盲学校を創設、1978年75歳で亡くなるまで校長をつとめていた。2006年に校名を熊谷理療技術高等盲学校に変更。)
 2015年3月、16年4月施行の改正障害者雇用促進法に基き国が定める「差別禁止指針」と「合理的配慮指針」が策定される。合理的配慮指針の別表には障害種別ごとに事例が示されていて、視覚障害では「募集内容を音声等で提供する」「採用試験について点字や音声等による実施や試験時間の延長を行う」「業務指導や相談の担当者を決める」「拡大文字・音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにする」などが例示される。
 2015年3月、桜雲会が、『おとがでるえほん かいてみよう きいてみよう かんじ1』を制作・発行 (音声ペンがセットになっていて、ペンで紙面をなぞると、その漢字の書き順・読み・意味などを読み上げる。2016年3月には『おとがでるえほん かいてみよう きいてみよう かんじ2』も発行)
 2015年4月、国家公務員採用試験の点字受験で、パソコンによる音声読上げを補助として利用できるようになる
 2015年4月、京都府立盲学校が、高等部普通科に、大学進学を目的とした「京都フロンティアコース」を新設
 2015年4月、大阪府立視覚支援学校が、高等部専攻科に柔道整復科を設置
 2015年4月、花王が、日本工業規格(JIS) S0021「高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器」における洗髪料及び身体用洗浄料容器の触覚識別表示についての2014年5月20日改正文に従って、全身洗浄料の容器に触覚識別表示として「一直線状の触覚記号」(通称 ライン)を採用
 2015年4月、クラブツーリズムが、ユニバーサルデザイン旅行センターを開設
 2015年4月、JR西日本が、昇降式ホーム柵(車両数やドア数の異なる列車が発着する駅でも使える)の本格運用を開始 (2014年12月から六甲道駅で試行運用していた昇降式ホーム柵の運用を継続し、また2016年春から高槻駅の新快速列車用の新設ホーム2面で運用開始)
 2015年9月、日本点字図書館理事長の田中徹二が、電子図書館と情報ネットワーク整備に尽力したことにより、第52回点字毎日文化賞を受賞 (1934〜。1954年早稲田大学第一理工学部建築科に入学、間もなく失明。翌年国立東京光明寮に入所、三療を学ぶ。56年早稲田大学第二文学部英文科に転学転科。58年国立東京光明寮を卒業、60年早稲田大学第二文学部卒業。同年社会保健埼玉中央病院整形外科機能訓練室に就職。1969年から東京都心身障害者福祉センター視覚障害科で中途失明者の相談や訓練を担当。1991年より日本点字図書館館長、2001年より同館理事長。「アジア盲人図書館協力事業」など国際協力にも積極的で、エスペランティストとしても活動。2008年、視覚障害者向けラジオ番組の制作に長年協力したことにより、第59回放送文化賞を受賞。2015年『不可能を可能に 点字の世界を駆けぬける』(岩波新書))
 2015年10月、徳島市で、歩行中の視覚障害者と盲導犬が、バックして来たダンプカーにはねられ死亡。この事故を受け、日盲連などが視覚障害者の交通事故対策について活動を始める
 2015年11月、新潟県上越市に、「瞽女ミュージアム高田」が開館 (瞽女のすがたを描いた画家斎藤真一(1922〜1994年)っの作品160点を中心に収蔵・展示している)
 2016年3月、東京都墨田区の江島杉山神社に、杉山和一資料館が竣工
 2016年3月、岡山短期大学の山口雪子准教授(幼児教育学)が、視覚障害(網膜色素変性症)を理由に授業から外され、研究室からの退去を命じられたのは不当として、短大を運営する学校法人を相手取り、地位確認などを求める訴えを岡山地裁倉敷支部に提訴。
 2016年7月、全国300以上の映画館でスマホやタブレットのアプリUDCastを使って、音声解説付きの英画「ワンピース・フィルム・ゴールド」が上映される (UDCastはNPO法人MASC(メディアアクセスサポートセンター)が開発。映画の本編に特殊な音が組み込まれていて、その音をアプリが認識すると、事前にダウンロードされた音声ガイドが自動的に流れるようになっている。DVD/Blu-ray版でも同アプリを使って自宅で鑑賞できる。2017年からは多くの英画でこのアプリを使って音声解説を聞けるようになる。)
 2016年8月15日、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で盲導犬同伴の視覚障害者(男性)が転落、進入してきた電車にひかれて死亡。また10月16日にも、近鉄大阪線河内国分駅で、視覚障害のある男性が転落、特急電車にはねられ死亡。これらの自己をうけて、視覚障害団体、行政、各鉄道会社を中心に駅ホームの安全対策について見直しや新たな取り組みも行われ、さらに一般国民にも視覚障害者の安全について啓蒙活動が行われる。(国土交通省によれば、視覚障害者が駅ホームから転落する事故は、2009年度38件、2010年度58件、2011年度74件、2012年度91件、2013年度74件、2014年度80件起きている。また、障害の有無にかかわらず乗客がホームから転落した事故は、2009年度は2442件、2014年度は3673件。)
  [2016年12月には、国土交通省と鉄道会社などによる「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」が中間報告をまとめ、1日に10万人以上が利用する駅では原則として2020年度までにホームドアを設置(難しい場合は21年度を目途に昇降式ホーム柵を設置)、また1日に1万人以上が利用する駅については2020年度までに「内方線付き点状ブロック」および列車が止まらないホーム両端に固定柵を設置することを確認]
 2016年9月、東京に、ユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」が開館 (映画は字幕付き。各席にイヤホンジャックが設置され、難聴者は音声をより鮮明に聞くことができ、視覚障害者は音声ガイドを聞くことができる。また小さい子どもと一緒に利用できる個室もある。障害者の映画鑑賞を支援してきた市民グループ「シティライツ」が運営。「ちゅぷき」はアイヌ語で自然の光の意。)
 2016年10月、国土交通省が道路運送車両の保安基準を改正、ハイブリッド車や電気自動車の「車両接近通報装置」の備え付けを義務化し、また運転手が手動で音を止めることができないようにする (2018年3月以降に発売される新型車から適用。20年10月からは継続生産車も対象になる。走行時の音量は、時速10kmで50dB以上、時速20kmで56dB以上、バック走行では47dB以上)

目次に戻る