シネマ青色青光 ーー(4)

 
★「夏休みのレモネード」 
          (2001・アメリカ)

シカゴに住む、アイルランド系大家族の中で育つピートは、のびのび育ちすぎて、学校でシスターから「地獄行きになる」と脅されます。

「地獄行き」にならないためには、異教徒をキリスト教に改宗させればいいのではと考えたピートは、町のユダヤ教の教会堂の前でレモネードを配り、そこに来るユダヤ教徒を「改宗」させようとするのでした。

ユダヤ教のラビは、そんなピートをあえて追い払おうとはしません。しかしその作戦もうまくいかず困っていた時、たまたまラビの家で火事が起こり、そのラビの息子を救出したのが町の消防士であるピートの父でした。

そんなことでピートは、今度は知り合ったユダヤ教のラビの息子ダニーを天国に行けるようにしようと、ダニーと二人で「大作戦」を展開するのでした。


砂浜を走ったり、石投げをしたり、二人で決めた「天国行き」の課題に取り組んでいる最中、ピートの兄の進路問題で、ラビと感情的にもつれたピートの父は、ピートを部屋から外出禁止にしてしまいます。

ようやく「課題」を全てクリアーしたダニーが、直後に入院したと聞き、ピートは教会の棚から「聖体」のパンを持ち出し、病院に駆けつけますが、前から白血病に侵されていたダニーはすでに命を終えていたのでした。「天国で会おう」とピートに伝言を残して・・。

宗教にとって、確かに信仰の純粋さを追及することは大切なことです。しかし、そのことだけにしか目がいかなくなり、ともすれば他を排斥する方向にしか向かわないとしたら、それは本来の宗教の目指すものとは、どこかで違う道を歩み始めているのではないでしょうか?

異なる
宗教間の争いが問題になる現代の世界。ユダヤ教のラビキリスト教の神父という、「専門家」の大人をもたじたじとさせる、一途で無垢なピートの発想や言葉が一層意味を持ってくるように思える映画でした。

●ピート語録
(病床のダニーに聖跡のパンを渡そうとしてキリスト教の神父に止められて)
 「そんなやり方はイエス様的でないよ。」

★(息子ダニーを失ったラビとの会話)
 「キリスト教だとかユダヤ教だとか、そんなものは勝手に人間が決めたものさ。僕たちは同じところへいくんだよ。天国への道は一つじゃないんだ。」

                           
END


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