シネマ法話度チェック 2003年 6月 |
「刑務所の中」 2002・日本 花輪和一原作の漫画の映画化。本人が銃刀法違反で懲役を勤めた時の体験が元になっている。原作は先に読んでいたが、綿密な画風で描かれた、ちょっとした「刑務所紹介物語」のようになっている。 映画はほとんど漫画に忠実。山崎務はかっこ良過ぎるが・・。 とにかく、エピソードのいろいろな場面に出てくるのが、刑務所での食事のおいしさ?毎日は元より、模範囚だけが許される映画鑑賞会での、オヤツやコーラのおいしさ。正月の特別料理などは正に天国の食べ物のように描かれる。 良くも悪くも、「少欲知足」の真髄?を教えられる。 (法話度 3) 「めぐりあう時間たち」 2002・アメリカ 一度見ただけではわかりにくいほど、脚本が難しい映画。 生きた年代を異にする3人の女性のそれぞれの一日が描かれる。そして3人は微妙にどこかでリンクしている。 1920年代の作家ヴァージニア・ウルフ。彼女は精神を病んでいる。 そして彼女の作品を読んでいる50年代の女性ローラは良き妻を演じることに疲れている。もう一人、現代のクラリッサはレズビアンであり、かつエイズにかかっている男性の世話もしている。実はそのエイズの男性が50年前のローラに関わっている。 男が見ても少しわかりにくいかもしれない。時代を異にしても、女性は常に自らの存在と時代環境の軋轢の中で格闘していかねばならないということか? キーワードは花、食事、パーティー、家、そして子供。 女性の立場からは「みやこのハッピートーク」参照(一緒に見に行った訳ではないが。) (法話度 3) 「おばあちゃんの家」 2002・韓国 韓国でも大ヒット。母の都合からいきなり、実家の一人暮らしの祖母にあづけられた7歳の少年サンウ。TVゲームやハンバーガーで育ってきて、ろくにTVも映らず、電池も買えない山奥で、口がきけず、ひたすら昔の生活を守る祖母をバカにして、さんざんわがままを言う。 しかし祖母は黙ってそれを受け入れ、孫のために一生懸命世話をやき、見たこともないフライド・チキンを作ろうとし、作った野菜を市場で売って現金を作って、孫に靴を買ってやる。いつしか孫の心は次第にほぐされて・・。 一歩間違えれば「クサイ話」になるところを、少年の名演技と、生涯、映画を見たことさえなかったという、たまたまロケ地で見つけた、素人の祖母役の老女の存在感が見事にマッチして、「臭みのない映画」に仕上がっている。 最後の場面は、予想していたとはいえズルイ!昔「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストシーンを見て「ズルイ!」と叫んだ時以来だ。 見た翌日の本山の朝の法話でさっそく利用させてもらった。しっかり元をとるこの根性! (法話度 5) |