万葉を偲ぶ

・・・射水川支流(荒又川)で見つけた秋の七草から

 

2006年8月帰省時に射水川支流である荒又川河川敷を歩いた。射水川と同じように、荒又川からも家持ゆかりの二上山が見える。荒又川は、天平時代に射水川へと通じた流れの緩やかな運河で、米を下流(富山湾)に海産物を上流(砺波平野)に運ぶ船が往来したという。その荒又川の流れは、今でも射水川と同じく緩やかである。この荒又川周辺に意外と手付かずに残っている自然の草地がある。そこで秋の七草のうちクズ、ハギ、ナデシコ、オミナエシ、キキョウを見つけた。天平時代、家持が墾田検察のため砺波平野に赴いたとき、こんな自然の草花の風景が見られたのであろうか?・・と想像してみる。

 

荒又川と射水川の合流地点付近から見た二上山。手前にある植物はクズである。回りは田畑であるが、この川の合流地点は、土手が高くなっており(たぶん氾濫を避けるため)、雑草が繁茂している。自然そのものである。クズの花の開花はまだ先のようだ。でも北陸の秋は早いから、9月に入ると紫色の花にすぐ覆われるだろう。

 

 

荒又川河川敷から見た二上山。手前の植物はハギである。これも、まだ開花していない。クズよりは、数が少ないようである。土手は射水川の河口にあるため高く盛られている。このあたりも、祖父川と同様に雨季にはよく氾濫したそうであるが、河川改良により今では氾濫しないそうだ。

 

 

荒又川の付近で見つけたナデシコ。正式にはカワラナデシコと言うそうだ。なんとも素朴な名である。カワラは河原というのだろうか?秋の七草でナデシコというとこのカワラナデシコのことをさすらしいが・・・。花びらの先が細く分かれており、いかにも繊細な感じがした。家持は、とりわけナデシコが好きだったようで、自宅であった国守館の庭に植えて愛でていたという。何となくそんな気持ちの判るようなナデシコである。

 

 

荒又川付近で見つけたオミナエシ。このオミナエシ、ふと見つけた花である。オミナエシも年々少なくなっていると実家で聞いたので今回期待していなかった。旧北陸道沿いにある小さなお地蔵堂の隣に遠慮深げに咲いていた。

 

 

荒又川河川敷で見つけたキキョウ(あさがを)である。これは地元の人が植えて手入れをしているのであろう。

 

 

 

 

 

額縁: 戻る