恵比寿大黒相撲の図
 今回は「恵比寿大黒相撲の図」を取り上げてみる。誠にユーモラスな構図で、どこかから構図を借りてきて描いたのかあるいは松四郎自らの構図なのかはわからないが、独自の構図だとすると松四郎の性質や性格と言った心の中までのぞけるようで興味深い作品である。
私自身この絵が最も傑作なのではないかと思っている。左に大黒、右に恵比寿を配置して、行司役に配されている人物はさだかではないが七福神の内の一人と思われる。人物の表情も三者三様でおもしろく、右に大黒の持ち物である米俵を配して、人物だけでは少し寂しすぎる構図を豊かにしている。制作年代は不明である。

大黒天・・・インドの神が仏教に帰依して日本に伝わり、大国主命と混同されてしまっている。
えびす・・・恵比寿、蛭子とも書かれる。蛭子という表記は「ひるこ」とも読まれ、日本誕生神話に出てくるいざな ぎ、い ざなみの二神の一番目の子供で、出来が良くないため船に乗せられて海に流されたと神話 は記している。なぜ七福 神であり、恵比寿になったかはわからないが、空想をたくましくすると権力 によって虐げられたものを加えることによって過去を帳消しにしてしまおうというもくろみがあ ったのではないのか・・・と?