むつ犬のおまぬけ日記
平成20年 3月
3月31日
夕方、何かありそうな予感がしたので御飯を食べ終わった後に、犬小屋へ入らないで外で寝ころんでいた。少し寒かったけれど、何かあったら大変なので番犬のお仕事を超過勤務でこなしていたって言うわけなんだ。いわゆる「飼い犬の第六感」というのかも知れない。しばらく時が経ち、車の明かりがしたかと思うと、僕の家に入ってきた。僕は立ち上がり「わんわんわん」・・・と、吠えようと思って身構えたら、車、タクシーから降り立ったのは御主人とお母さんだった。僕はうれしさのあまり、思わず「お帰りの踊り」を踊った。お帰りの踊りとは、待ちかねていた人が家に帰ってきた時に、僕がそこいら中を狂ったように駆け回る姿を言う。そして、御主人に身体を「ナデナデ」してもらったよ。だけど、ナデナデだけだった・・・お土産というものは皆無だった・・・それでも、帰ってきてくれただけでも嬉しいよ!!

3月30日
どうやら、僕の世話は、おじいちゃんとお兄さんがしてくれている。食べ物や散歩には困らないけれど、何となく物足りない。なぜなのかはわからないけれど、犬小屋の中に潜り込んで寝ている。天気も悪い事だしね・・・・・それに食欲もない・・・・病気なのかしら?・・・・

3月29日 
いつまで経っても朝散歩に行こうと、御主人がやってこないので、日中に畑にやってきたおじいちゃんに聞くと、なんと驚いた事に御主人とお母さんは東京とやらに行ったという。お母さんの知り合いの法要があるという。どうやら御主人はそれにくっついていったらしい。僕にお留守番も言いつけないで行ってしまうなんてルール違反である。帰ってきたら噛みついてやろうと思っている「怒れる飼い犬」の僕なのであった!!!!

3月28日 くもり
今日は御主人に「お耳の掃除」をしてもらった。お耳の掃除は恐いし、時々痛いので嫌いなのだ。時には唸り声を上げたり、悲鳴を上げたりして逃げる工面ばかりしていたのだった。ところが、今日は首輪をがっちりと掴まれて、逃げ場のない小屋の隅にオスワリをさせられての「お耳の掃除」だったんだ。僕は不安がいっぱい・・・・御主人から目が離せない。すると、御主人が「そんなに恐い顔で俺をにらむな」と言われた。「えっ、僕ってそんな顔をしていたの?」と思ったけれど、とうとう、そんな顔は「お耳の掃除」が終わるまで変わる事がなかったのであった・・・・

3月27日 くもりいちじあめ
相変わらず「デブデフ゛」で「重い身体」の僕なのである。夏の暑さを乗り切るためには、今からダイエットしなければ間に合わない。と、言うわけで、この日記でもお知らせしていたように自転車散歩が始まった。ところが、最近は御主人が忙しいのでなかなか夕方散歩には行けないでいる。だから「相変わらずデフデブの」僕なのであった。そんな状態なので、最近は改名を真剣に考えている。名前ももう決まっている。中高年のアイドル、肥満犬の「メタボ」である。最初は御主人から持ちかけられたお話だったんだけれど、「メタボ」という言葉の響きがとてもメカニックで気に入ってしまった。でも・・・・・この身体だけは、もう少し何とかしなければ・・・

3月26日 くもりのちあめ
午前中から雨が降ってきたので、僕は「今日の散歩は行けないかも知れないなぁ」と御主人に言われ続けた。退屈である。雨が降っているので外へ寝ころぶわけにも行かない。犬小屋の中でじっとしていた。それでも退屈なので作業小屋の中でお仕事をしている御主人を見に行ったりしてみた。御主人は、春作業の準備がすっかり出来てしまって、余裕があるようだ。それでなのかどうかはわからないけれど、午後からお出かけだった。そして夜になっても帰ってこなかった。・・・・・御飯はお母さんからもらったので命拾いしたけれど、これが2月頃だったら大変な事になっていたはずだ。2月はお母さんが忙しくて夜も遅くなるまで帰ってこない。一方、冬は暇な御主人・・・・僕の食事の番人が夜遅くまで帰ってこないとなると、僕の命に関わる事になる。気をつけて、お互いに連携を保って、不備のない飼い犬の世話をしてもらいたいものだと、常日頃から心の中で思い続けている僕なのであった。

3月25日 はれ
今日の夕方散歩は、いきなり「自転車散歩」だった。慣らし運転もしないのに、いきなりフルスロットルでエンジンを全開して車を走らせるような無謀な事を、この僕に対して行ったのである。自転車散歩をするにしても、少しぐらいゆっくりと早足ぐらいで歩かせればいいものを、いきなり走らせるのだから参ってしまう。僕も僕である。御主人の挑発に乗ってしまって、全速力で走ったものだから、舌がこれ以上伸びないぐらいに息が荒くなってしまったよ。帰ってきた時の水がおいしかった事!!
そこで、今日は一つ、教訓を得た。「飼い主のあおり、つまり挑発には乗るべからず」である。人間の世界での道路交通法では「あおり運転」は処罰の対象になっているからね!!

3月24日 あめ
今日は朝から雲が多いなって思っていたら、午後から雨が降った。久しぶりの雨である。この所、僕達の地方は雨が降らなくて「カラカラ」に乾いていたから、ちょうど良い具合の雨だったんじゃないかと思う。当然の如く、僕の夕方散歩は無しという事になった。この事は御主人の胸先三寸によって決まる。少しぐらい雨が降っていても、御主人が行くと行ったら行くので、犬である僕の意向等は斟酌しないような構造になっている。そして「お腹が泥んこになるから行きたくない」とは言えないのである。不合理ではあるけれど、何処かの国に人権がないのと同じように、飼い犬の世界には「犬の権利」などと言う言葉は犬用語事典に存在しないのであった。

3月23日 はれ
今日は、誠にけっこうなお日和で気温が20度を超え4月下旬並の天気になった。四月下旬と言えば僕達の地方では桜吹雪が舞っている頃だ。この所、暖かい日が続いたので福寿草の花が咲き始めた。黄色が鮮やかで、とても美しい・・・・と御主人が言っていた。
ところで、今日の僕は御主人と久しぶりにボール遊びをしたんだ。動くと暑いぐらいの陽気なので、ほどほどにしておいたよ。これからの僕は、夏の暑さに向けて冬の間に太った身体をスリムにしなければならない。やがて、きつい自転車散歩が再開されるに違いない。それと食事の量も制限されるだろう。春が来るというのは、楽しみな反面、つらい事もやってくるのであった。・・・・

3月22日 はれ
今日は嬉しい事が2つもあったよ。一つは、お母さんが午後になってお仕事から帰ってきた。そして僕を散歩に連れて行ってくれたのだ。さらに夕方になったら今度は御主人がお散歩に連れて行ってくれた。そして、そして、僕を繋いでいる紐が新しくなって行動範囲が広くなった事。もっとも、僕の行動を制限している紐なのであまりありがたくはないのだけれど、今までのより数メートルほど行動範囲が広がった事は喜ばしい事だ。と、言うわけで「散歩に2回いけた事」、「紐が新しくなった事」が今日の嬉しい事だった。でも・・・・・・よくかんがえたら、今朝は御主人の都合で朝散歩へ行けなかったんだよね。それを思えばいつもの通りって事なのかも知れないね。でも、お母さんと散歩に行けた事は嬉しかったよ。御主人には出来ない「わがまま」もやれたしね。

3月21日 はれ
北の方に天変地異が起きたのか地軸の逆転が起きたのか、はたまた北は大雪にでも見舞われているのか謎である。えっ、何を言っているんのかって?。実は白鳥さんの事なんだ。この所、毎日、南西の空に向かって飛んでいく。なぜ、今頃になって南西の空に飛んでいかなければならないのか?。今頃の季節だと北東の空へ飛んでいかなければならない事ぐらい7年も生きていて経験上知っている。なぜ?なぜ?なぜ?・・・・・・鳥と犬では習性も違うし、犬は空を飛べないので理解しがたいという事は、この日記でも何度か述べたけれど、なぜなのか理由を知りたいという好奇心だけは捨てる事が出来ない。誰か、この謎を解いて欲しいものである。御主人も、理由がわからないので困っている。御主人も僕に似て好奇心が旺盛なのである。だから、誰か教えてね!!

3月20日 うすぐもり
何でも、今日は「彼岸の中日」という事で、お墓参りをしてお団子やぼた餅などを食べる日らしい。犬には特に関係がないようだ。御主人とお母さんがお墓参りに行くというので「お留守番」を言いつけられた。でも、今日はお休みの日だし、どうせ誰もやってこないと思ったので地面に横になってお昼寝をした。昨日までは暑いぐらいの日射しだったけれど、今日はほどよい暖かさで、僕はぐっすりと熟睡する事が出来た。しばらくして御主人達が帰ってきた車の音がしたので「はっ!」と飛び起きて「僕はお留守番をしていましたよ」というような恰好で出迎えた。幸いなるかな、御主人達がいない間に誰も来なかった、ような・・・・来たような?・・・そんな気がするお留守番を言いつけられた僕なのであった。・・・

3月19日 はれのちくもり
毎日暖かい日が続く。いつもの年なら「暖かい日が続くなぁ」・・・と思っていたら突然、雪が降り出して吹雪になったりするんだけれど、今年は今のところ、そんな番狂わせなような天気はない。だが、油断がならないのが今頃の天気なのだ。桜の咲く頃に雪が降って桜の花びらに雪が降り積もったなんて事もあった。僕達の地方では、梅も椿も菜の花も桜も、一度に咲く。今まで冬の寒さに押さえつけられていた命が、春になって一斉にそのエネルギーを爆発させて芽を吹き、花を咲かせるのだ。出来る事なら犬もそんな気力に満ちた生き方をしたいと思うのだけれど、春の声を聞くと、犬は、ここぞとばかり外へ出て、地面に「ごろり」と横たわるのを無上の喜びとしているばかりなのであった。・・・・

3月18日 はれ
今日は遅くまでお仕事をしたんだよ。もちろん番犬のお仕事だ。近頃は日の暮れるのが遅くなって、御飯を食べ終わってもあたりがほの明るく見えている。だから、あたりが見える時間内は怪しい人や物がやってきた場合は吠えなければいけないというわけなんだ。犬は習性として自分の縄張りに侵入してきた物には吠えたり、うなるなりして警告を発する事になっている。これからは、もっと日が長くなるので番犬も大変なのである。日の長さによってボーナスなり超過勤務手当てを支給して欲しいと思っている今日この頃の僕なのであった。

3月17日 はれのちくもり
今日は昨日に比べて肌寒い・・・と、御主人が言っている。なるほど昨日は暑いぐらいで、僕も舌を「ハァハァハァ」と出すぐらいの陽気だったのだけれど、今日はそれほどでもなかった。それでも僕は外へ腹を出して寝ころんで一日を過ごしたのだ。でも、さすがに一日中寝ころんでいるというわけにはいかなかった。寝ころんでいると身体が冷えてくるのだ。だから時々、犬小屋へ入って体温調節をしなければならない。僕の身体はこのように繊細なのだ。そして、春の気候も乙女の心のように繊細に移り変わり、揺れ動くのであった・・・・

3月16日 はれのちあめ
今日は御主人とお母さんが午前中から何処かへお出かけである。せっかくの日曜なので遊んでもらおうと思っていたのだけれど当てがはずれてしまった。だから暑いぐらいの日射しを浴びながら地面に寝ころんで午前中を過ごしたのだった。お昼過ぎになって、やっと帰ってきた二人なのだったが、御主人はすぐさま何処かへお出かけになった。忙しい人である。それと対照的な僕は暇な犬なのである。そして、とうとう暗くなっても帰ってこなかったのだった。幸いにしてお母さんが家にいたので御飯はもらえたけれどね。今日が日曜で良かったよ。

3月15日 あめ
近頃、僕と御主人は白鳥さん達の話題に花が咲いている。朝晩、毎日のように白鳥さん達が飛んでいく。見ていて気持ちの良いものだ。
ところが、夕方散歩へ出かけると北東の方に飛び去っていったはずの白鳥さん達が、続々とそれぞれの群れを作って南西の方角へ飛んでいくのが見られた。その数100羽は優に超えている。「どうしたんだろう?。北の方は寒いから戻ってきたのかなぁ?」等々と考えてみたけれどわからない。向かうとすれば、山形県酒田市、およそ100qの距離、あるいは新潟県の白鳥の飛来で有名な湖、約250q・・・白鳥さん達も大変である。不精者である御主人と、同じ性質を持つ飼い犬の僕にはとても出来ない事だ・・・と思う。でも、生活がかかっているというか、自然の中で生き延びるためには絶対必要な事だとなれば、白鳥さん達のような行動を取るだろうか・・・・?、それとも、もっとも楽な方法を考え出すのだろうか?動物としての特性が問われる問題なのである・・・・

3月14日 うすぐもりのちあめ
今日も朝から午前中にかけて、百羽以上の白鳥さん達が北東の空へ飛び去っていった。旅をするというのは動物にとって大変な事ではあるけれど、飼い犬としてはうらやましさの方が勝る。
ところで、今日は午後から雨が降ってきたので「お散歩にはいけない」と宣言する御主人に腹を立てて、何時もおもちゃにしているプラスチックの植木鉢に八つ当たりをした僕なのであった。でも、夕方になったら雨もポツポツ程度の降りになって、僕は散歩へ行く事が出来た。「晴れ男」とまではわないけれど、僕が天に祈れば、お空の神様もたまに言う事を聞いてくれるんだなと思った。これぞまさに僕の人徳・・・イヤイヤ犬徳のなせる業だね!!

3月13日 はれ
朝散歩に出ると、白鳥さん達が元気な声を上げて北東の空へ飛んでいった。12羽ほどいたかなぁ?、まだまだ北へ帰る旅は続くなと思ってほほえましく白鳥さん達が飛び去っていくのをしばらく眺めていた。そして、夕方、と言っても、午後からは御主人がお出かけしていたので、暗くなってから帰ってきた御主人と、二人で散歩へ出かけたんだ。「月はおぼろに白魚の〜」と、芝居の文句がつい口に出て来そうな宵で、薄い眉のような三日月がおぼろに見えていて、「明日は雨かな」と思わせるような風情である。そんな空に、白鳥さん達の元気な鳴き声がこだました。「又、北へ帰る白鳥さん達がやってきたか」と思って、暗い夜空を見上げて、白鳥さん達の姿を探し求めると、驚いた事に北東の空から南西の空へ飛んでいったのだ。逆なのである。冬の初めにやってくるコースと同じなのである。どうしたのだろうと不思議に思ったけれど、鳥と犬では感覚の違いが理解できない。首をかしげるばかりだった。きっと、あの30羽ほどの群れの中には、朝散歩の時に見た白鳥さん達も混じっているに違いない。「ちょっと寒いから、またも元のところへ戻ろう」と後から来た白鳥さん達に誘われたか、誘ったかは知らないけれど、そんな話し合いが目に浮かぶようである。いずれにしても、春本番は、もうすぐなのである。

3月12日 まぎれもないはれ!!
冬の間中、春が来たらやりたい事の一つに、「一日中、外へ腹を出して寝ころんでいる」というのがある。今日は、まさに絶好の「腹だし日和」だった。風は少し冷たいものの、お日様の光はたっぷりと僕に降り注いでいる。いゃ、僕だけじゃなくて、地上のあまねく物達に降り注いでいるのだ。「はぁぁ〜極楽、極楽!!」人間が温泉につかって「極楽、極楽」と言っているのと同じように気持ちがよい。出来れば、こんな日が長く続く事を祈る。去年なんか、晴れの日が少し続いて喜んでいたら、突然、吹雪になったりして油断がならない天気だった。お天気の神様も、少しは犬を喜ばせるような事をして欲しいものだと思う僕なのであった。

3月11日 くもり
今日は久しぶりに、こっぴどく叱られた。犬の僕としては、そんなに悪い事をしたとは思えないけれど、御主人があんなに怒るのだから悪い事なのだろう・・・で、何をしたのかというと、田んぼに使う肥料にオシッコをかけたのだ。しかもたっぷりとである。届いたばかりの肥料がお米の乾燥機の脇に並べてあったので、ついオシッコをかけてしまったのだ。見慣れないものには目印としてオシッコをかけるのが雄犬としての習性である。しかもお昼休みで御主人が作業小屋にいない隙を比計らって実行したのも、御主人の怒りに油を注ぐ行為だったかも知れない。「まだ代金も支払っていないのに、オシッコをかけるとは!!」と、僕は頭を押さえ込まれながらクドクドと叱られた。なんとか逃げようともがいてみたけれど、首輪をがっちりと捕まれているので、お叱りが終わるまでは身動きが取れない。はぁぁぁ〜、雪が溶けて地面を濡らすのはいいけれど、犬が習性でオシッコをかけて地面や物を濡らすのは悪い事なのか・・・・不合理な世の中である・・・

3月10日 はれ
御主人がお米の苗作りに使う土を作業小屋の前に広げて乾かしている。冬の間に湿っていた土を干して細かく砕く作業の前処理である。僕はせっかくお日様が暖かく降り注いでいるのに、トラクターで土の移動を行っているので、犬小屋の中に避難しなければならない。しばらくして土を外に広げる作業が終り、「僕は「ヤレヤレ」と、ため息をつきながら犬小屋を出て、外にごろんとお腹を出して寝ころんだ。「ふぁぁ〜」と大きなあくびをしながらウトウトとお昼寝を楽しんでいると、何だか、僕がホットドッグになって、炭火の上で焼かれている夢を見た。この夢は、僕がよく見る夢で悪夢と言っても良い。つまり、お日様の光があまりにも強すぎて、暑いぐらいなので、こんな悪夢を見たというわけなんだ。うなされて、「はっ!」と、目を覚まして飛び起きると、舌を「ハァハァハァ」と出さなければいけないほどになっている。すぐさま、水の入った器のところに走り込んで水を飲む僕なのであった。最高気温が12度だというのに・・・・今から、こんな調子じゃ、夏になったらどうなる事か・・・・

3月9日 うすぐもり
朝散歩から帰ってきて「ホッ」と、一息ついて空を眺めたら、白鳥さんたちが15羽ほど北東の空に向かって、元気良く鳴き声を上げながら飛んでいった。「まさしく、春なんだなぁ〜」と嬉しくなった。白鳥さん達が北帰行を始めたという事は春が南の方からやってきているって言う事なんだよね。動物の季節に対する敏感さは人間の比ではない。動物は人間と違って自然界の動き一つ一つが生死に関わってくるので、人間のように「のほほん」としていられないんだよね。これは自然と一体になって生活する動物ならではの事なんだね。ところが、飼い犬であり外犬である僕は、ある程度自然と一体になって生きているけれど、どこかで人間に依存している部分があって、普段は「御先祖であるオオカミさんの血を引いています」などと威張っているけれど、あまり大きな声では「自然と一体になって生きている」とは言えないんだよね。縄文時代以来、人間のお友達というかパートナーとして暮らし始めて1万年とも5千年とも言われているけれど、今更「自然と共に生きよ!!」と言われても困る。そう思っている僕並びに、すべての飼い犬達なのだった。特に内犬はね!!

注・・・外犬とは家の外で飼われている犬の事、内犬とは飼い主達家族と一緒に家の中で飼われている犬の事である。

3月8日 はれたりくもったり
いや〜、今日は春らしい天気になった。風は人間から言わせたら寒いようだけれど犬にはとても心地よい。僕も一日中、外へ寝ころんでいたんだ。腹を出して寝るほどの暖かさではなかったけれどね。それでも、降り積もっていた雪が減っていくのが良くわかる。雪が溶け出して、それから出た水が絶え間なく流れてくるのが見える。「春になったのかなぁ〜」と思ったりもした。暦の上では、もう春なのだし、季節的にも、そろそろ春がやってこないと、困った事になってしまう。いくら北国の犬が寒さに強いからと言って、何時までも氷の世界だと、「ナルニア国物語」のようになってしまいかねない。何しろ、あの世界では100年も冬が続いた事になっているらしいから・・・。あこがれの春が、もうすぐやってくると思えば、心もウキウキするし、多少のいたずらも御主人が大目に見てくれるに違いない。だって御主人も春が待ち遠しいのだから。でも・・・・春が、あの暑い夏へつながっているのかと思うと、心の奥底が、ちょっとだけ「ズキン!」と痛んでしまう僕なのであった。

3月7日 おおゆき
朝、目を覚まして犬小屋から出て驚いた。辺り一面雪の原、山も野原、すべてのものが雪帽子をかぶり、すべてが真っ白の世界になっていた。僕のするオシッコの色だけが、ただ一つ白以外の色になってしまった。3月も半ばを迎えようと言うのにこの大雪・・・・春はまだ遠いのかとガッカリしてしまった僕なのであった。もっとも、淡雪だったらしくて、午後には消えてしまったのだけれどね。ところが、消えて安心したのも束の間。・・・15時過ぎになったら、又雪が降ってきた。「春よこい!!、早く来い!!・・・歩き始めたミイちゃんが・・・」と泣き叫ぶように天に向かって祈る僕なのであった。

3月6日 くもりときどきゆき
犬の世界のことわざに「天知る、地知る、人が知る」というのがある。悪い行いをした犬に対して天地人、すべてがその犬の行動を知っているから、悪い事をしてはいけないという戒めの言葉である。一方、人間界では「天知る、地知る、我知る」という言葉に置き換えられている。悪い事をした人間は、常にその罪悪感におびえている。自分の悪い行いを自分自身で消し去る事は出来ないのだ。だから悪い事をしてはいけない。と言う意味である。犬の場合、自分の行った悪い事は、犬の習性上すぐさま頭の中から消え去ってしまうけれど、飼い主を始め、すべてのものが、その犬自身を見ている。
つまり、犬は悪い行いに対して、その認識すらないので、周りの人が叱ってやろうという事なのだと思う。でも・・・・自分が悪い行いを忘れてしまっているのに、叱られたら、なぜ叱られているのかもわからないし、その内に叱られた事も忘れてしまうから・・・・・?

3月5日 はれありくもりありゆきあり
今日は様々な天気が休む間もなくやってきて、歌舞伎の総見のような華やかさだった。それでも、午前中はお日様も出たので小屋の隅で日が当たる所に座っていたのだけれど、時々雪が降り出してからは犬小屋の中に引っ込んでしまった。去年の今頃は、毎日のようによい天気で、御主人がお米の苗を作るのに必要な土を外に広げて干していたような気がする。今年はとてもそれどころではない。まだ野山は雪に覆われている。地面が見えているのは道路ぐらいなものである。僕も、早くカラカラに乾いた地面の上に腹を出して横たわってお昼寝がしたいと思う今日この頃なのであった。

3月4日 くもりときどきゆき
作業小屋の屋根から、降り積もった雪が溶けて雨だれが絶え間なく流れてくる。僕が犬小屋にはいるときは何時もこの雨だれの洗礼を受けなければならない。犬は雨だれが流れ落ちる一瞬の間を見計らって、その下を通り抜けるというような神経は持ち合わせていない。御主人は、と言えば雨だれが落ちてくると言っても、屋根の幅から隙間無く流れてくるわけではない。流れてくる隙間を縫って犬小屋の方にやってくるのだ。姑息な手段というか、小心者の行動、腹が据わっていないというか・・・・なぜ、犬の僕のように堂々と雨だれに濡れながら入ってこないのだ。御主人!!僕のような行動を取る事によって、人間的に一回りも二回りも大きくなれるのだ!!

3月3日 くもりときどきゆき
今日は「おひな祭り」だというのに雪がチラチラと降って、野山は薄化粧した。もっともすぐ消えたけれどね。この冬に降り積もった雪も少しずつ消えていく。
ところで、今日は「おひな祭り」だというのに御主人は午後からお出かけをして、夜になっても帰ってこなかった。ぼくのおなかの虫が「きゅるるる〜、ぐるるる〜」と、騒いで仕方なかった。19時26分36秒になった時、御主人のトラックのライトが見えて我が家に入ってくるのが見えた。僕はお腹の皮が背中にくっつく寸前の状態になっていたので、大喜びで御主人を出迎えた。御主人は、すぐさま僕が空腹なのに気付いて迅速に対応してくれた。しかし、僕から言わせてもらうならば、僕が空腹なのは誰が見ても明らかなのである。御主人から御飯をもらわなければ、誰も僕に御飯をやる人など存在しないのだから・・・・御主人が、今日一番早く家に帰ってきた人なのだ。19時26分36秒にね。御飯をもらってしまえばこっちのものだ。僕はものも言わず御飯を食べるのに集中した。もう御主人はいらない。食べ終わったら、あとは犬小屋に潜って寝るだけの僕なのであった。飼い犬は、このようにとても合理的、かつ利己的な動物なのである。

3月2日 はれ
この所の暖かさで、あれほど積もっていた雪が消え始めた。「いったい春は来るのだろうか?」と心配していた僕だけに、ホッとしている。今日などもお日様の柔らかい光が一日中地上を照らして、僕も一日中外へ出て地面の上に寝ころんでいたんだ。こんなに天気がいいのに御主人と来たら、一歩も家から出てこない。僕と遊んでくれてもいいのに出てこない・・・御主人の出不精と愛犬奉仕精神の欠如には困ったものである。ここは一つ、御主人の自覚を促すために、「ガウンガルルル〜」と威嚇のための唸り声を上げて、もし聞く耳を持たないようであれば・・・噛みつくしかない・・・のかもネ?

3月1日 くもりときどきゆきがちらちら
この前、お正月が来たと思ったら、もう3月になってしまった。月日のうつろいは早いものだ・・・それだけ、こちらが歳をとってしまったという事なのだろうか?。歳を取ると日々のうつろいが超特急のように過ぎ去っていくという。日々を無為に過ごしているわけではないのだけれど・・・もっとも、犬にとっては、なにやら目的を持って日々を行動するなどという事はないので、人間から見れば無為に過ごしているようにも受け取られるかも知れない。けれど、これが犬・・・限定して言えば飼い犬が日々を過ごすべき本来の姿勢なのだ。つまり、夜も眠り、日中も眠り、実際犬が起きている時間は24時間の内3時間ぐらいしかないという。しかし、犬にも趣味は色々ある。趣味と言っていいのかどうかは意見の分かれる所だけれど、言い換えれば、それぞれの犬が育ってきた環境において身につけた習性と言っていいかも知れない。僕の場合は、子犬と若犬の頃は「洗濯物の引きずりおろし」が趣味だったし、今は「プラスチックの植木鉢でおもしろおかしく遊ぶ」・・・事である。ボール遊びは昔も今も変わらない趣味だけれどね。人間もそうだけれど、犬も年取ってから趣味を探すのも大変らしいから、若い内から趣味を見つけておいた方がいいと思うよ。特に御主人にはきつく忠告したいね!!