平成20年 4月
4月30日 はれ
この前、雪が消えたと思ったら、もう5月である。月日の経つのは早いものである。そして又、犬が歳を取るのも早いのである。この前、子犬だった僕が、もうすぐ8歳になるのだという。「と言う」というのは・・・何だかややこしい言い回しだけれど、犬は自分の歳は勘定しない、と言うか出来ない。だから飼い主が飼い犬の誕生日を記憶して勘定していなければいけないのだ。だからと言うわけで、犬の缶詰も「7歳からの愛犬元気」という銘柄を買ってくるようになった。歳を取ると肥満になりやすいので、カロリーの少ない製品なのだろう。味にこだわりを持たない犬にとっては、前に食べていたのとそんなに変わりはないのだけれどね。と言うわけで、いまだに「ボテボテ犬」とか「メタボ犬」と飼い主に言われ続けている僕なのであるけれど、その言葉をそっくり飼い主に返してやりたい今日この頃の僕なのであった。
4月29日 はれ
何でも、今日は「昭和の日」という祝日なのだそうだ。祝日だからと言って、何かおいしい物を食べたり呑んだりする日ではないらしい。最も、犬にとっては祝日も日曜日も平日と変わりがない。
ところで我が家は、おじいちゃんから下のお兄さんまで全員が昭和生まれであるそうな。一方、我が家の飼い犬はと言うと、歴代秋田犬の内5代目の僕と先代(4代目)のまるさんが平成生まれである。ちなみに僕は平成12年7月28日生まれ、まるさんが平成元年8月1日生まれである。そして、初代から3代目までは、みんな昭和生まれなのだ。ちなみに、初代「ブチ」、2代目「アカ」、3代目「タロ」という名である。
でも、昭和生まれだからどうだって事はないと思うのだけれどね・・・・
4月28日 あめあられ、のちはれ
今日も、またまた寒い一日だった。御主人は外でお仕事をしながら、早くビニールハウスの中に入りたいと震えていた。昨日にも増して寒いような気がする。でも、僕は外へ腹を出して寝た。風が強いので寒く感じられるのかも知れない。昨日はひどい雨だったので、仕方なく犬小屋の中で過ごしたけれど、今日は時折雨あられが降ってくるぐらいだったので、外で過ごしたんだ。一方の御主人は、外での作業が終わり、やっと念願だったハウスの中での作業に移る事が出来た。それでも、20度から25度しかない。お日様が出たかと思えば、雨あられの繰り返しである。僕の場合はお日様が出た時、その暖かさが毛皮にしみ込んでいるので、少しぐらい寒くなっても平気なのだ。御主人も防寒具を着ればいいのにと思ったけれど、飼い犬は御主人に指示をするなんて恐れ多い事は出来ない習性である。
だから、黙っていた。
つまり今日は、このようにして暮れていったのだった。
4月27日 ふうう
今日も寒い一日である。雹が降ってきた。この時期としては珍しい事ではないけれど、寒い。この僕でさえ寒いので犬小屋の中に引きこもったきりの一日だったのだ。そんな中、御主人は集落の共同作業とやらで農業用水路の泥上げに出かけていった。ご苦労な事である。寒いのが苦手な御主人はつらい事だろうと思う。せめて僕が着ている毛皮でも着せてやりたいと思うけれど、犬は肉体的な構造上、自分が着ている毛皮は脱げない事になっている。だから、僕は心の中で「ご苦労様、行ってらっしゃい」といいながら、犬小屋の中で惰眠をむさぼるのであった・・・・
4月26日 はれのちくもり
御主人は、今日も午前中はビニールハウスの中である。外が少々冷たい風が吹いているので、なかなか外へ出ようとしない。中でのお仕事が終わってもとどまっている。なんと言っても御主人は夏が好きだからね。暑い所が気持ちいいのだろうと思う。ところが、お母さんのお話によると、その割に、お風呂は烏の行水で、長くても10分から15分程度らしい。犬はお風呂にはいるという習慣がないので、基本的には「シャンプー」とか「身体の洗濯」などと言う。それでさえ、30分ぐらいかかるのだから御主人の入浴時間がいかに短いかわかる。でも、僕のシャンプーは1ヵ月に一度くらいなのだ。あまり犬を洗いすぎると良くないという俗説を御主人は信じ込んでいるようだ。そんな事はない。御主人が面倒くさがり屋なので、その俗説を信じ込もうとしているだけなのだ。せめて、2週間に一度ぐらいはシャンプーして欲しいと思っている僕なのであった。
4月25日 はれたりくもったり
この所、だいぶ暖かい日が続いたのだけれど、今日は雨降りの次の日とあってか、晴れたけれど風が冷たい。御主人はビニールハウスの中でお仕事をしている。ハウスの中の気温は30度〜35度。もはや中は「盛夏」である。僕にとっては最も苦手な季節に当たる。今日ぐらいの気候が犬にとっては最適なのである。だから外へ出て腹を出して寝ころんでいた。
ところで、どうやら今日の御主人は厄日だったらしく。何をやっても駄目なようだった。トラクターのタイヤがパンクして莫大なお金が消えてしまったし、お仕事もうまく行かなかったし、お昼に食べようと持ち上げたおにぎりを落として床の上に転がり、「おむすびころりんすっとんとん」とねずみの穴へ・・・・・落ちては行かなかったけれど、それはもう、さんざんな今日の御主人だったのだ。はぁぁ〜、今日は御主人には近づきたくないと思ったよ。「運の悪さ」移るからね。いっその「おむすび」がねずみの穴へ落ちていったら、宝物をもらえたかも知れないね。
4月24日 あめ
5日ぶりの雨である。しかも、たっぷりと一日中降り続いた。僕は犬小屋でお休みである。雨の日はのんびりした気分になって、お昼寝もはかどる・・・・はかどるって言うのはないけれど、熟睡状態である。そんな中で、御主人は会議とお酒飲みがあるとやらで、首に布きれをぶら下げ良い洋服を着て、傘を差して歩いて何処かへ出かけていった。こうなると、もう僕の天下である。飼い主がいないので、何をしようが僕の自由である。ここぞとばかりに、熟睡をした・・・・やがて、ややしばらく、・・・暗くなってからだいぶ経って帰ってきたのはお母さんの車である。その中に御主人も乗っていた。このようにして、僕は今日の御飯にありつく事が出来た
4月23日 はれ
今日の昼休みの事である。いや、昼休みを過ぎた頃と行った方がよいかも知れない。僕が腹を出して、ぐっすりと眠っていると御主人がやってきて、僕の身体を揺さぶった。・・・・・らしい?。「らしい」というのは、僕は、まったくその事を覚えていないからだ。御主人は、僕の身体を揺さぶっても目を覚まさないので「死んでいるのじゃないか」と心配になったらしい。しばらく僕の身体を激しく揺さぶると、僕は寝ぼけた顔で御主人を見上げたらしい。さらに、しばらくして意識がはっきりしたのか、飛び起きた。そこいら辺だけは覚えているのだ。番犬が正体もなく寝込んでしまっては、「役立たず」と言われても仕方がない。・・・まだ言われてはいないけれどね。まぁ、それだけ今日の陽気が良かったという事だと思うよ。もうすぐ8歳になると言う歳のせいではないよ。絶対に!!
4月22日 はれ
今日の僕は、「おまえは天文学的なおまぬけ犬だ!!」と御主人から罵倒されてしまった。夕方散歩の時である。いつも気になる匂いがする場所で、その匂いをかいで楽しんでいたのだけれど、突然、御主人が「猫だ、猫がいるぞ!!」といった。僕は辺りを見回してみたけれど、そんなものは何処にも見あたらなかった。御主人は一生懸命に猫を見ろと怒鳴るけれど、いないものはいない。そうしている内に、その猫とやらは逃げ去ってしまったらしい。散歩から帰った後で、よくよく話を聞いてみると、その猫は白猫で、まだ水が流れていないU字溝の中に潜んでいたらしい。その距離5メートルほど。何時、僕に見つかるかと身構えていたらしいのだけれど、さっき話したような状態だった。そこで隙を見て、U字溝の中を走り、道路を横断しているヒューム管の中へ隠れ込んでしまったという。そこで、僕は「猫の存在すら察知できない大間抜け犬」という事になってしまったらしい・・・弁解させてもらうなら、風は西よりの風で、猫は僕より東の方に潜んでいたらしい。だから猫の匂いが、僕に届かなかったという事になる。それと、御主人は僕に比べて背が高いから、猫を見つけやすい目線だった。一方の僕は御主人の背丈の5から4分の1の高さで物を見ているから猫を見つけられなかった・・・・。でも、猫がいたからどうなんだって言いたい。追いかけて、捕まえておもちゃにでもしろって言うのかな?、そんな動物虐待みたいな事は出来ないね。猫が一匹いたからといって騒ぐような、そんな度量が狭い僕ではないのだ。「こちとらぁ、山形生まれの秋田犬だ!!文句があるなら矢でも鉄砲でも、高級牛肉でも持って来いってんだ!!!」
飼い犬に罵倒されて、開き直っている飼い犬の僕なのであった。
4月21日 はれ
今日は、まるで夏のような天気だったね。何しろ気温が25度にもなったのだから・・・・あんまり陽気がよいので御主人が「ムツ、シャンプーでもしようか」といったので、僕は内心ビクビクしていたんだ。でも、御主人は仕事を放り出してまで僕の世話をする気はないらしい。僕をからかって、おもしろがっているだけなのだ。いずれ農繁期が終わって、もっと暖かくなればシャンプーされる事は間違いない。嫌な事が先に延ばされただけの話である。でも・・・・・身体の臭い匂いが少々気になってきている今日この頃の僕なのであった。
4月20日 はれ
今日は暖かいと言うよりは、暑いぐらいの一日だった。御主人なんかはティシャツ一枚でお仕事をしている。そのお仕事とは、1年に一度だけのお米の種蒔きである。家族総出という事なので、僕もお手伝いにかり出された。何時も行っているけれど「猫の手も借りたい」という言葉はあるけれど「犬の手も借りたい」というのはないので、普段は「手伝え」と言われても無視をしていたのだけれど、今日は特別な作業なので黙って見ているわけにもいかない。それに、お手伝いをすると、おやつがたくさんもらえるのだ。僕は一生懸命に尻尾を振って家族に愛嬌を振りまき応援をした。断っておくけれど、犬は肉体的構造上、人間のお仕事を物理的に手伝う事が出来ない。だから精神的に手伝うのだ。それが、先にいった「しっぽ振り愛嬌」である。おかげで、作業もスムーズに進み、休み時間には「シュークリーム」というお菓子をもらう事が出来た。こんなおいしいものは生まれて初めて食べたので感激だった。このようにして、1年に一度の特別な日は終わり、夕方近くには通常の生活に戻ったのであった。そして、御主人といった散歩で歩く農道は真っ赤な夕日に染まり始めていたのであった。
4月19日 うすぐもり
「花曇り」と言いたいけれど、風がなかなか強くて、列車などは徐行運転をする始末である。気温も風のせいで、やや低く感じられる。最も御主人は明日の「種蒔き」の準備作業をビニールハウスの中でやっているから汗にまみれている。
午後からの御主人は城跡の公園で開かれている「花見」の警備に行ってしまった。「お留守番」を言いつけられたけれど、そんなに忙しいわけでもなかったから、外に寝ころんでいたんだ。毎度の事だけれどね。このようにして、平和な一日が終わったというわけなんだ。
4月18日 あめ
今年は観測史上、三番目に早い開化となった桜だったのだが、もう「散り染め」と相成った。この所、風が強いので「花吹雪」となるかも知れないと心配している。いや、犬である僕ではなくて人間達がである。なぜなのかは、犬であるけれど、ちゃんと知っているのだ。桜の花が長く咲いていれば、その期間中は「花を愛で」「おいしい物を食べたり呑んだり」出来るからなのである。犬には、ちっとも関係のない話なのだけれど、ちゃんと知っている・・・・犬としては、早く「桜吹雪」になって「葉桜」になり、人間たちが通常の生活に戻れるように願っている・・・・
4月17日 はれ
さて、昨日の「犬の注射」の話である。散歩の時間でもないのに御主人が散歩紐を持って僕のところにやってきた。僕は本能的に身の危険を感じて逃げたのだ。御主人が時ではないのに散歩紐を持ってきたからと言って、何時も危険が迫っているというわけではない。時には楽しい事もある。「山へ連れて行くぞ!」とか、「海へ連れて行くぞ!!」とか・・・・いや、海はないか・・・なんて言う事はあるのだけれど、確率から言えば、危険な事、つまり僕にとっては不都合な事の方が多い。今日も、やっぱり僕にとっては不都合な事だった。冒頭に話した所の「犬の注射」なのだ。僕はトラックの助手席に座らされて、「犬の注射の会場」にいった。そこはおじいちゃん、おばぁちゃんたちの家の目の前だった。もちろん、毎年同じ場所で行われているのでおなじみの場所なのではあるけれど、今年は何だか雰囲気が違う。飼い犬と、その飼い主が粛々として行列を作り注射の順番を待っているのだ。少し異常である。いつもの年だと、会場にいる犬たちが「わんわん」だの「きゃんきゃん」だのと鳴き騒いだり、時には「ガウンガルルル〜」と犬同士でにらみ合ったりしてにぎやかなお祭り気分だったのだけれど、今年は、何だか、行列が出来る店でお昼御飯を食べようと並んでいるような雰囲気で静かであった。市役所の担当の人の声だけが静かに聞こえている。僕は、少し興奮したけれど、会場の雰囲気を察し、御主人の「オスワリ」の声で落ち着いて順番を待っていたんだ。事務手続きが終り、注射をしてくれたのは、僕が時々行っている動物病院の先生だった。注射は、首の後の方にされたんだけれど、痛くも何ともない、数秒で終わってしまった。と、言うわけで、今年の犬の注射は終了したというわけなんだ。家に帰ってきて「ホッ」としたら、喉が渇いて仕方がなかった。あんまり感じなかったけれど、やっぱり緊張していたんだね。
4月16日 はれ
今日の気温は20度を超えた。完全に「シャンプー日和」である。午前中、御主人が僕に「シャンプーしようか?」と聞いた。が、断った。「まだその時期にあらず」と思ったからだ。御主人が「シャンプーをしようか」と言ったのにはわけがある。午後になると、1年に一度の「狂犬病の予防注射」があるからだ。僕をきれいにして多くの犬たちの前に出したいと思ったようだ。たしかに注射会場に行ってみると、こんなに汚れているのは僕をおいて他にない。みんなさっぱりとして、きれいな毛並みの犬ばかりである。さて、「犬の注射」と、御主人が呼んでいる事件の顛末はいかに!!って事で、このお話は明日へ続くよ。でも、事件って言うほどの事でもないんだけどね。
4月15日 はれ
夕方、僕は御主人のお手伝いをしたんだ。お手伝いと言っても、田んぼに置いてあるトラックを御主人と取りに行く事なんだけれどね。御主人は今、田んぼの耕起をしている。朝、トラクターを田んぼに持っていき歩いて帰ってきて、今度はトラックを田んぼに持っていく。お昼になると、そのトラックに乗って帰ってくる。そして、午後になると出かけていく。夕方になると、トラクターで帰ってきて、僕を連れてトラックを取りに散歩がてら行くというわけなんだ。忙しい時の僕の世話は、何時もこの手である。「一石二鳥」と御主人は言うけれど、散歩替わりにトラックを取りに行くのはよいのだけれど、もっと歩く距離を長くして欲しいなぁ。家の田んぼは、遠くても我が家から数百メートルの距離しか離れていないのだから・・・・
4月14日 あめのちくもり
今日は、天気が昨日と逆転して雨のち曇りの寒い日々になった。それでも、桜の花が開き始めている。何でも県内での桜の開花観測史上三番目に早いという。と言っても、僕達の住んでいる所は県内でも真っ先に桜の花が開く所だから、本当かどうかわからないけれど、とにかく桜の花が開き始めたのだ。城跡にある「鶴舞公園」というところでは16日から一般的に言う所では「お花見」、官公庁で言う所では「観桜会」が開かれるという。僕も桜の花が開き始めたので、少し浮かれたいと思っているのだけれど、それは出来ない事になっている。だって犬だから・・・犬は肉体的にも精神的にも「浮かれる」という事が出来ない。「はしゃぐ」というのは本能の赴くままにうれしがる事だけれど、「浮かれる」というのは「はしゃぐ」というのとは微妙に違う。犬は、そこら辺の微妙なという加減んが出来ないので「浮かれる」という行為は出来ないと思うのだ。それに、たいていの犬は、二十歳には達していないので酒も飲めないし、1頭では桜のある所へはいけない。何頭かで連れ立って花見に行ったりすると、保健所ですごい騒ぎになるだろう事は目に見えている。場合によっては捕獲されてしまうかも知れない。犬が一頭、あるいは群れをなして、出歩くという事は人間世界では犯罪になってしまうのだ。人間にとっても、近頃の世の中は住みにくいときているのに、犬にとっては、その何倍も住みにくい世の中なのである。ただ、飼い主の家から出ないで、それに満足していれば、これ以上平和で、住みやすい場所はないと言っても良い。僕も一応、そのことに満足してはいるのだけれど・・・・何だかなぁ?
4月13日 はれ
今日は僕達の町内のお祭りである。「お払い」がやってきて、その後に「お獅子」がやってくる。僕は、このお獅子が恐くて「わんわんわん」と強気で吠えているように見えるけれど、内心はビクビクしながら恐怖に耐えて吠えているだけなのである。お神輿や山車も出るけれど、僕の家は町内の端にあって踏切を越えなくてはならないので、そっちの方はやってこない。なんとか震え出したくなるのをこらえて吠え終わると、しばらくして「神社の御札配り」がやってきた。こっちの方は普段から吠え慣れているような風体の人達だったので、ここを盛りとばかりに吠え立てた。まぁ、これで僕の一日の仕事が終わったようなものである。あとは、外へ一日寝ころんでいた。お天気も良く、暖かく風も弱いので、とても気持ちの良いお昼寝だったよ。おかげで熟睡する事が出来たよ。御主人はお祭りの交通警備で出かけてしまったので、うるさい人がいなかったから、のんびり過ごす事が出来たよ!!「飼い犬の楽しい日曜日」って言うところだね!!
4月12日 あめのちくもり
花冷えとは言え、寒すぎる・・・・と、御主人が言っている。僕も、今日は犬小屋の中で一日を過ごしたんだ。と、言うわけで夕方散歩はビニールハウスの中と決まった。無精な御主人が「寒い」と言うだけの理由で飼い主の義務である飼い犬の散歩を、いくらか暖かくて風のないビニールハウスの中で行うという考えに至った経過は明らかである。「寒くない」、「歩きたくない」、「犬に付き添わなくても良い」等々である。ハウスの中に犬を放しておけば勝手に走り回るだろうという安直な考えなのである。ところが、犬は放されたからと言って簡単には動かない動物なのである。これが広い外で放されたというなら話は別である。自分の好きな方に走り去り飼い主などは顧みないものなのだ。ところが、放された場所はビニールハウスの中・・・・廻りはすべてビニールにおおわれていて、自由など無い。自由に駆け回れと言われても、おもしろくも何ともない。いわば行動範囲が少しだけ広がったという程度に過ぎないのだ。そこで御主人はボールを持ってきて僕を遊ばせた。これならいくらか楽しんで運動が出来る。しばらくボールと仲良く遊んでいたのだけれど、「どんぐりころころ」ではないが「やっぱりお外が恋しいと、泣いては御主人を困らせた」といった具合になってきた。それに「砂ぼこりがひどい」、「疲れてきた」と言った理由を付けてハウスの入り口付近でじっとしていた。この行為は、もちろん「早く外へ出たい」という意思表示である。そこは長年、僕の飼い主をやっている御主人なのですぐさま了解したのだけれど、そう簡単には外へ出してくれない。この僕が、舌をこれ以上伸びないぐらい走り回らせて疲れさせたいと思っているようだ。その理由は「僕のダイエット」にある。だが、そんな御主人の思惑通りに行くような僕ではない。僕は入り口の前に立ったまま動かない。こうなれば、どちらかが妥協するまで「我慢比べ」である。そして、とうとう御主人が負けて、僕に散歩紐を付けてハウスのドアは開かれたのであった。久しぶりに御主人に勝つ事が出来たので、今夜の御飯のおいしかった事!!「勝利の美酒に酔いしれる」という言葉が人間の世界にはあるけれど、犬のことわざには「勝利の御飯に腹をふくらます」というのがある。だって犬は酒を飲むという習慣がないからね!!
4月11日 あめのちうすぐもり
なんでも、「桜前線」というのが秋田県に入ったそうである。そういえば、ビニールハウスの北側に植えてある桜は、少し花芽が開き始めている。開化とは言え無いまでも、もう少しで開きそうだ。一方、南側にある桜の木はつぼみがうす緑色にふくらんでいるだけだ。北側が早くて南側が遅いというのが、少し異常な感じがするけれど、なんにしても暖かくなってきた事だけは確かなようだ。今日も午前中は雨が降ったのだけれど、暖かいので外に寝ころんでいたんだ。雨と言っても霧雨な様なもので犬の毛皮にとっては、どうという事はない降りようである。かえって午後になって雨が止んだら、風が冷たくなって僕は犬小屋の中に引っ込んでしまったぐらいなのだ。なんにしても、今日も平和に一日が終わったので良しと思わなければいけないと思う・・・
4月10日
飼い犬とはつらいものなのだ。御主人は、夏が近づくと「太っているからやせろ!」と言うし、冬が近づくと「少し太れ!」という。僕の身体を心配していってくれているって言う事はわかるのだけれど、「てゃんでぇ!!。犬の身体は風船じゃないやぃ!!。そう簡単にふくらましたり、しぼんだり出来るもんじゃねぇやい!!」と・・・言いたくなってしまう。犬は無機質な物とは違って生き物だから、少しは物事のどおりを考えて欲しいと思っている。そして、御先祖だったオオカミさんと我が身を比較してみると、飼われている事に対して多少の後ろめたさと、安楽さという相矛盾した思いが錯綜している飼い犬の僕なのであった・・・・
4月9日 はれ
朝早くから、御主人を始め、お母さんとおじいちゃんがハウスにビニールを張る作業を始めた。時に午前4時50分・・・なにやら、騒がしい音がしたので犬小屋を出てみると、そんな事をしている。ご苦労な事である。でも、お米の苗を作るためには必要な作業なのである。僕も秋にはおいしいお米を食べたいので、心の中で「がんばれ!!」と応援しながら、地面の上にごろんと寝ころび、すぐに熟睡状態になったのであった。時々、忙しい時に「手伝え!」と
、いわれるのだけれど、「猫の手も借りたい」という言葉はあるけれど「犬の手も借りたい」という言葉はないので無視をしている。だいたい、犬は人間の仕事の手伝いが出来るような肉体的構造になっていないのだ。だから、心の中で応援をして、寝ころびながら作業を見ているしかない飼い犬なのであった・・・・
4月8日 うすぐもり
この前の日曜日から「春の火災予防運動」が実施されている。僕も協力しているんだよ。以前に御主人が「消防団員」だったので、その飼い犬である僕も協力するようになったんだ。と、言っても火災現場に駆けつけたりするわけではない。防火宣伝車が鐘を鳴らしながらやってきたり、夜の8時に防火宣伝のサイレンが鳴ったりすると、それに合わせて「遠吠え」をするだけなのだ。それでもご近所や家の人達には「防火宣伝」の効果はあると思っている。御主人は「単なる犬の習性で遠吠えをするのだろう」と、素っ気ない言い方をされる。それはそうかも知れない。サイレンや、消防車の鐘の音の周波数が犬の本能を刺激して「遠吠え」を上げさせるのだろう。でも、そんな動物学的な事は知った事ではない。僕は純粋に「防火宣伝活動」に寄与しているという事を言いたいのだ。そして犬という動物は人間より純粋に生きているのだという事を声高々に言いたいのだ!!・・・・・ハァハァハァ、ゲホゲホゲホ・・・あまりに力みすぎてむせてしまったよ。はぁぁぁ〜・・・
4月7日 うすぐもり
この所、「花冷え」と言っていいのかどうかわからないけれど、肌寒い日が続いている。最も、人間にとっては・・・であるけれどね。犬である僕は、もう気持ちよくって気持ちよくって、食欲も増してたくさんクッテいるぐらいである。御主人などは、真冬に着た防寒具を又出して着ているぐらいである。まぁ、御主人は一般の人から比べたら極端な寒がりなのだ。天候も3月末頃の暖かい日とは開きがありすぎる今日この頃なのである。出来る事ならば、御主人のために少しだけ暖かくなる事を祈っている、忠犬の僕なのであった・・・・
4月6日 はれ
今日も、昨日のような夕日が沈んでいった。「今日も一日無事に終わったな」と思わせるような風景だった。でも、飼い犬にとっては「一日を無事に過ごす」という実感がわいてこない。御先祖だったオオカミさん達なら、獲物を求めて野山を駆け回り、敵とも戦わなくてはならなかっただろうから、無事に過ごせた日は心が安らいだ事だろうと思う。飼い犬の、たとえば僕の場合は「朝起きて散歩に連れて行ってもらって、一日中寝ころんで昼寝をし、時たま番犬をお仕事を多少なりともこなす。夕方には散歩に連れて行ってもらって御飯をもらって寝る。」という事の繰り返しなのである。この何処に危険があるのだろうか、無事に過ごせないというような要素が潜んでいるのだろうか・・・?99.999%無いと言っても過言ではない。飼い犬は、今の日本のような状態と言っても良い。「平和ぼけ」しているのだ。自らに対する危機感がないのだ。飼い犬たちよ!!自らの姿勢を問え、そして行動するのだ!!・・・・・・って、なにを?
4月5日 はれ
今日は風が冷たかったけれど、雲一つ無い快晴だった。僕は外に寝ころんでいたんだ。とても気持ちが良かったけれど、ホコリがみんな僕のところへ寄ってくるので困る。
そして、何よりの贈り物は夕日の美しさだった。夕方散歩に御主人と行くと、春の日はゆっくりと西に傾いて明るかった日の光が穏やかに橙色に変わっていく。そして、まん丸な「日の丸の旗」のようなお日様がゆっくりと西の空に沈んでいった。とてもきれいだったので、僕達はしばし見とれていたんだ。こんな時間を過ごせる事に、僕達はささやかな幸せを思うようにならなければいけないと思うよ。
4月4日 くもりいちじあめ
今日は、晴れたので外に寝ころんでいると雨が降ってきた。かと思うと、又晴れたりして不思議な天気だった。最悪だったのは、うろうろしている内に、コンクリートのブロックに紐が絡まってしまい、動けなくなって途方に暮れていると雨が降ってきて身体が濡れてしまった事だ。この前、御主人が僕の紐を新しいのに変えたので僕の行動範囲が数メートル広がった事はすでにこの日記で述べた。行動範囲が広がるという事は、それだけ紐が物に引っかかる確率が高くなるという事である。そういう事実を御主人も僕も、今の今まで頭になかったのだ。そして、紐を変えてから今まで物に引っかからなかったという事は、僕自身よほど運が良かったのだという事になる。でも・・・・そんな事で僕の運の良さを使い果たしたくないと思う。どうせなら、もっとすごい運の良さをもたらして欲しいと思っている僕なのであった。
4月3日 くもりいちじあめ
去年の9月から、僕の身体はシャンプーされていない・・・・ぼろぼろになったぞうきんのような身体と匂いがする。御主人は「犬らしい匂い」と言っている。そうなのかも知れない。御先祖だったオオカミさん達はシャンプーなんかしなかっただろうからね。
ところで、そろそろ僕のシャンプーを・・・と言う話が出ている。冗談に決まっているけれど、御主人に限って言えば本気なのかも知れないと思えたりして少々恐い。「何も、この寒い時期にシャンプーでもないだろう」と、思うのが常識というものである。最も内犬は、この限りにあらずである。なんと言っても僕は「誇り高き外犬」だからね。おかげで、ちりやほこりが僕の身体に吹き込んでくる今日この頃の風の強さだった・・・
4月2日 はれ
やっと、通常の生活に戻った飼い犬と飼い主だったのだけれど、約束していた「自転車散歩」にはいけなかった。僕も特別、自転車散歩などはしたくないと思っている。自転車散歩は僕の「夏ばて防止」のためにやるもので、今の時期に急いでやせなければいけないというわけではない。問題は御主人にある。3月27日の日記にも書いてあるけれど、僕より御主人の方が「メタボ君」なのである・・・・少なくとも、今の74キロの身体を70から72ぐらいにしたいと思っているらしい。それで、自転車散歩より歩いた方がいいだろうというので僕と一緒に歩いているって言うわけなんだ。でも、僕から言わせてもらうならば無駄な事だ。一日8qぐらい歩かないと効果はないらしい。僕ぐらいの犬もそれぐらいだ。時間にして2時間である。僕はかまわないけれど、御主人がね・・・・・
4月1日 あさにゆきのちくもり
今朝は雨が時々雪に変わったりして寒い。北西の風が強く吹いて冬に逆戻りのようなのだ。風があんまり強いので僕の食器や飲み水に砂やホコリがはいってしまう・・・・
ところで、今朝は久しぶりの散歩を期待していたのだけれど、御主人が交通安全の街頭指導とやらに出なければならないので中止になった。僕はおもしろくないので、犬小屋に潜り込み再び眠りに陥ったのだった。人間もそうだと思うけれど、朝の二度寝というのは、なんと気持ちよいものだろうか・・・・癖になりそうである。最も、犬の場合は2度寝、3度寝、4度寝、と、その日の天気次第では何度も寝る事になるから人間とは比べものにならないのである。だいたい、飼い犬というものはヒマだからね・・・・