むつ犬のおまぬけ日記
平成20年 7月
7月31日 はれたりくもったり
御主人の誠意の無さが露呈された・・・実は、去る7月28日は僕の8歳の誕生日だったのだ。犬自身は暦を見るという習慣はないので、知らなかった訳だけれど、飼い犬の誕生日ぐらい何か贈り物があっても良いのじゃないかと思った。何よりも飼い犬の誕生日を忘れていたと言うことに腹が立つ。でも、昨日僕のおやつを買ってきた様だったけれどね。今日は僕のヒィラリアの薬と耳掃除液を買ってきてくれた。特に誕生日プレゼントという訳ではないらしい。何しろ僕の誕生日を忘れていたくらいな御主人であるので、あくまでも予定内の買い物と言うことになるらしい。いったい僕の誕生祝いは、何時してくれるのだろうか?寝それが気になって気になって夜も眠れないぐらいなのである。最も昼間はぐったりと寝ているんだけれどね。

7月30日 はれたりくもったり
ききょう、やっと御主人が「少しやせたんじゃないの」と言ってくれた。僕自身は、前々からやせてきたと思っていたのだけれど、御主人は寝何時も僕の身体を眺めて「デブ犬」だの「メタボ犬」だのと自分自身の身体をさしおいて好き勝手なことを言われ続けていた。でも、やっと僕も公私ともに?「夏犬」に慣れたことは嬉しい限りである。これから夏が本番になるので、心配していた所だ。暑い夏を乗り切るためには身体をすっきりさせるに限る。ヨシ!!頑張るぞ!!


7月29日 くもりときどきあめ
どうも、この所すっきりしない天気が続く・・・土曜日と日曜日は晴れたのだけれど、昨日の雨はひどかった。だいぶ前に「梅雨は明けたと思われる」という発表があったのだけれど、僕が思うには、まだ梅雨は明けてはいない様な気がする。夏が大好きな御主人とお米の生育には申し訳ないけれど、この涼しさがずっと続いて欲しいと願う僕なのであった・・・・

7月28日 かみなり、ごうう
今朝は雷が鳴って激しい雨が降った。朝方の4時間だけで40ミリの雨が降ったという。犬には、その数字がなんなのかはわからないけれど、とにかくすごい量の雨が短時間に降ったということは降る雨を見ていて理解できた。そして、雨はポツポツと降る雨に変わり、僕は時々外に寝ころんでいられるぐらいの涼しさになった。気温にして27度ぐらいであるけれど風が、やや北から吹いてくるので犬にとっては気持ちがよい。だけど・・・・湿気だけはたっぷりと含んだ空気が僕の身体にまとわりついて、一日中水の中にいる様な気分だった。それに夕方散歩に出かけようと家を出たのは良いけれど、道路に出たとたんに雨が降り出して中止になってしまったよ。「ヤレヤレ・・・」な今日一日だったよ。

7月27日 はれのちくもり
昨日の午前中は気温は高いながらも、さわやかな風が吹いていたのだけれど、今日は朝から昼にかけて30度以上の真夏日になってしまった。僕は、もう息も絶え絶えになりながらトラクターの下で耐え忍んでいるしかなかった。ところが、御主人は、午後の一番暑い時間になると自転車で何処かへお出かけの様である。「こんな暑い時間に何処へ行くんだ」と聞くと、自転車で街へ散歩に行くのだという。お母さんは街へ自動車で出かけたというのに、何を好きこのんで、この暑いのに自転車で街まで行かなければならないのか理解できずにいたけれど、そんな僕の心配をよそに、さっさと出かけてしまった御主人だった。やがて、ややしばらくして(2時間後)、御主人は汗をかきながら帰ってきた。5から6キロぐらいは自転車で走ったかも知れないという。自転車で街を走ると町並みをゆっくり見ることが出来て、こんな店があったのかと発見することが出来るという。だったら色々買い物をしてきても良さそうなものだけれど、買ってきたのは文庫本一冊だけだったのだ。・・・・なぜ、犬の好むものを買ってくる様な心の広さがないのだ!!!

7月26日 はれ
今日は暑いながらも風がさわやかで気持ちが良かった。しかし、それも午前中だけで、午後からは焼ける様な暑さになった。今日の御主人はお仕事である。ご苦労さんと思いながら、トラクターの下に潜り込んで避暑をしていた僕は気持ちだけ御主人にくみ取ってもらって、ただただ暑さに耐えていたのであった。
ところで、お向かいの工場では社員のレクレーションなのか懇親会なのか、建物の前にシートを敷いてい焼き肉でビールなどの飲み物を飲んでにぎわっている。お隣とはいえ、我が家は関係がないのだけれど、僕としてはひじょうに興味がわく。ことに焼き肉という言葉を聞いただけでよだれが出てくるのだ。しかも匂いがただよってくる。でも、それよりも何よりも興味を引かれたのが、飲み疲れた社員の一部が始めたキャッチボールである。単純にボールを投げて受け取っては投げ返すだけの単純な行為なのだけれど、僕は興味津々と言った目で何時までも何時までも見ていたのであった。ちょっと、御主人と遊ぶサッカーボール遊びと似ているなって思ったよ。

7月25日 あめのちはれたりくもったり
湿気の多い日が続くものだから、僕の毛皮も蒸れてしまって大変なのだ。一部は毛がごっそりと抜け落ちてハゲになってしまった部分もある。一種の皮膚病である。人間の世界のことわざに「面の皮が厚い」というのがある。これは余りよい意味には使われていないけれど、犬は面の皮どころか、身体全体の毛の下の皮膚は繊細でか弱いのである。ちょっとした湿度やシャンプーの洗い残りなどがあると、すぐ皮膚病になって、毛がごっそりと抜け落ちることが良くある。特に僕の家系は皮膚が弱い体質なので、この手の障害がでやすい。僕の姉弟達も、そんな感じらしい。これの対処法は、第1番に、夏の間は内犬になって、クーラーの効いた部屋の中で惰眠をむさぼること。第二番に、ただただ耐え忍んで、息も絶え絶えになりながら夏を乗り切ること。これ以外に方法がない・・・・しかし、第1番の方法には欠点がある。我が家では、よほどの暑さが来ない限りクーラーなどと言う物は使わないのである。窓を全開して西から東に家の中を吹き抜ける風で涼を取るのが一般的な方法なのである。さらに暑い時は扇風機というものを使う。扇風機というものは、いつかの暑い年に使わせてもらったことがあるけれど、暑い時は暑い風が扇風機から吹いてくるので、あまり気持ちの良いものではなかった様な気がする。でも、クーラーという便利なものは御主人から言わせると、長く使うと身体の具合が悪くなるらしい。それはそれで恐い様な気もする。でも、一度で良いからクーラーなるものの恩恵にあずかりたいと日々思っている僕なのであった。

7月24日 くもりときどきぽつぽつあめ
今日の天気は、人々が最も嫌う雨だったね。人間にもこんな感じの人はいるよ。だらだらと、止むでもなく降るでもなくポツポツと雨が落ちてくる。そして雨に打たれても、そんなに濡れる訳ではない。「まぁ、仕方がない多少濡れても仕事は出来る」とばかりに御主人は午後から草刈りに出かけていった。酒飲みも長っ尻でちびちび飲んで、くだを巻くタイプがこの雨降りと似ている。何時までも帰らない。何度も同じ話をする。こんなタイプは、たぶん嫌われると思う。御主人の小言もこんな感じで延々と続く。早く晴れてくれ!!でないと毛皮を着た動物が湿気で参っている。僕もそうなのだけれど・・・・はぁぁ〜、あまりの暑さと湿気で参ってしまい。自分の言っていることが脈絡もない話になっていることをご理解願い。明日も無事、皆様にこの日記を読んでいただけるよう力を入れて今夜を乗り切りたいと願っている僕なのであった・・・

7月23日 くもりときどきごうう
昨日と今日の夕方散歩は僕が御主人を助けてやった様なものだ。もちろん、僕も助かったのだけれどね。というのは、長々とした話になるけれど、きちんと説明しないと気が済まない几帳面な僕の性格なのでお話しするけれど、僕達の地方は梅雨が明けたというのに、だらだらと雨が降ったり止んだりして、今朝などは雷が鳴って恐かったのだ。昨日もこんな天気だったので何時雨が降ってくるかわからない空模様なのであった。と、思えば晴れ間が出てみたりとおかしな具合だった。そして、昨日の夕方散歩のことである。昨日はコースを変えて墓地の方まで行こうと御主人の乗った自転車を引っ張る様に歩いていた僕なのだったが、ある地点まで来た時に妙な胸騒ぎがして「だだ」をこねて一歩も動きたくなくなった。御主人はさんざんに僕を脅しつけて前に進もうとするのだけれど、今日の僕は一歩も引かなかったのだ。とうとう御主人はあきらめて僕と家に引き返したのだった。すると、家に入る前当たりから雨が降り出し、たちまち豪雨となった。そして、今日の夕方散歩のことである。散歩の途中で草むらの匂いが気になり、それをかいでばかりいてなかなか前へ進みたくなくなった。とうとう御主人は、イライラし始め、僕達は家に逆戻りとなったのだった。そして・・・・家に帰り着いたとたんに雨が降り始めたのであった。これすべて僕の予知能力のなせるわざと行っても良い!!前々からうすうす気付いていたのだけれど、今度の件ではっきりした。僕は超能力犬だったのだ!!

7月22日 はれのちあめ
今日は犬の気持ちの様に、天気が急変した。それと同じように、普段は従順な忠犬であるはずの飼い犬が、ある日、ある条件で勝手気ままな犬に大変身をする。それは人間にも言えることなのかも知れない。常識人であり人当たりの良い人間が、ある日、とんでもない行動や事件を起こしたりするのは皆さんがニュースなどでご承知の通りである。飼い犬み、日頃から飼い主に対するストレスがたまりにたまって、時々とんでもない行動を起こすのである。人間も仕事や人間関係でストレスがたまりやすいという。犬の場合は家族や飼い主に対する不満や、自分に対する処遇の悪さなどがストレスの原因と考えられる。だから犬も人間も、たまりにたまったストレスを発散させようとして爆発して、とんでもない行動をするのかも知れない。
そこで、今日の一言「気を付けよう!、ふくらませすぎた風船、たまり過ぎたストレス!」

7月21日 はれ
今日の気温が30度を超したらしい・・・これからは毎日こうなんだろうなと思うと、うんざりする。ところで、今日は「海の日」なのだと言うけれど、僕は何時も行っている通り、海というものを知らない。生まれた所は山形県の庄内地方だけれど実家は海からはだいぶ離れている。一方、我が家は海からは4キロメートルばかり離れてはいるけれど、いつでもいける距離にある。だけど連れて行ってくれない・・・・「連れて行け!!」と唸り声を上げて強要すると、「海の砂浜は暑くて、犬は素足では歩けない」とか「波の音が臆病なおまえを驚かす」、「日射しが強いので、おまえはすぐ舌を出す」、「喉が渇いても海の水は塩辛いから飲めない」等々と、様々な理由を付けて断られる。でも・・・・行ってみたいなぁ〜・・・

7月20日 はれ
昨日「梅雨明け」宣言がされた僕達の地方なのであるけれど、とたんに暑い日がもどってきた・・・・今日も僕はトラクターの下へ潜り込んで暑さをしのいでいる。時々、御主人がやってきては「大丈夫か?」と声をかけてくれ、頭や鼻をなでてくれる。ありがたいことには違いないけれど、かまわないで欲しい。動くのさえ大儀なのに御主人の相手もしなければいけないのは地獄の苦しみである。今年は毛替わりが思う様に進まないので、まだ冬の毛皮を着ている。はぁぁぁ〜毛皮なんかいらない!!人間になりたい!!。落語の出し物である「もと犬」のように神社へお百度参りでもして、人間になってしまおうかなぁ?。人間になったら、犬の時に出来なかったことをするんだ。「まず、犬でも飼おうかなぁ〜・・・・」

7月19日 はれたりくもったり
尻尾をフリフリして、愛想を振りまいて御主人の気を引こうとしても駄目な場合がある。そんなときは、さらに可愛く振る舞って甘えながら御主人にすり寄っていくか、もしくは、ふてくされて御主人を無視するかどちらかが有効である。このどちらかをすると、御主人はたいがい僕の方を振り向いて、最低でも頭の一つぐらいはなでてくれる。それ以上に、わざわざ家まで行っておやつを持ってきてくれることもある。人間社会でも「ごますり」とか「お愛想」が大切な様に、飼い犬も身につけなければいけないものなのである。飼い犬になるための学校もあるぐらいだから、飼い主に気にいられるか嫌われるかで、その犬の運命が決まってしまう。だから飼い犬は必至になって飼い主に気にいられようと努めるのであった・・・・

7月18日 あめのちくもり
雨が降った分湿気が多い。気温は29度ぐらい。僕はトラクターの下に潜り込んで「ぐったり」・・・御主人に蹴飛ばされようが、ほっぺをつねられようが反応しない。と言うか反応したくない。御主人は、僕が動かないので死んでいるのではないかと思った様だ。毎年、夏になると飼い犬は何時もこんな状態になることを知らない訳じゃないだろうと言いたいけれど、言えるだけの元気もない。ただただ、ひんやりとしたコンクリートの床に溶けたアイクリームの様にへばりついて、暑さをやり過ごすだけの一日なのである。「秋よ!来い!」・・・・本格的な夏も来ていないし、梅雨も明けていないけれど、さわやかな秋を待ちわびる僕なのであった。

7月17日 はれたりくもったり
今朝は、散歩拒否をしてみた。だって、最低気温が21度もあって、朝から「ぐったり」状態だったから・・・・それをトラックの下で息も絶え絶えになっていた僕を引っ張り出して散歩に連れて行くのだから嫌になってしまう。最も、僕も条件反射で「散歩に行く」という声が聞こえれば喜びもするけれど、家から一歩道路に出たら、嫌になってしまい、大地に足を踏ん張って一歩も動かなかった。御主人は、仕方なくお母さんが待っている台所に面している裏口に向かい、僕はしっかりとおやつだけもらったのであった。

7月16日 はれのちくもり
日光の東照宮という所には、「眠り猫」の彫刻があるという。それほど猫さんは一日中眠っているのかと思う。猫さんが寝ているのをまだ見たことがない僕は、一日中寝てばかりいる僕と「お昼寝競争」をしてみたいとも思っている次第である。一般的に、猫は眠る動物、犬は寝ない動物という認識があるらしいのだけれど、野生の犬はどうだか知らないけれど、飼い犬は猫さんより眠っている時間が長いかも知れない。なぜなら「ヒマ」だからである。猫さんだったら、自由に家を出入りできて外に遊びに行けるけれど、飼い犬は(家の外に繋がれている外犬の場合)何処にも遊びに行けないのである。散歩以外は外へ出かけられないのだ。だから、暇を持てあました場合は「寝る」しかないのである。と、言った訳で人生・・・いや「犬生」の80%を寝る時間に費やしている飼い犬の僕達なのであった・・・・思えば虚しい・・・

7月15日 くもりのちはれ
今日の夕方散歩は、ちょっと愉快だった、と言うか爽快だった。と、いうのは僕がオシッコしようかしないか迷って、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするので、自転車に乗っている御主人は不安定になってしまった。そして、とうとう、自転車が倒れて、御主人は田んぼの中へ片足をつっこんで泥んこになってしまったのだ。僕のせいなのだと御主人は怒り、僕の背中の皮をつねる。つねられてもどうということはないし、痛みも感じないけれど「叱られている」という感覚は伝わってくるのでビクビクしていた。けれど、それ以上のお叱りもなく家に帰ってきたわけだけれど、日頃から不平不満が鬱積している僕にとっては、心の中で「ざまぁみろ」といった思いだった。「自業自得」、「天につばするものは己に帰る。」、「天知る地知る我知る」等々、飼い主本人が、日頃の飼い犬に対しての思いやりをよく考えれば納得のいく言葉ばかりである。日々、飼い犬に対する思いを学習して欲しいと願う飼い犬の僕なのであった。

7月14日 あめのちくもり
「ねぇ、ねぇ、ねぇ、ちょっと聞いてよ!!」と、お仕事から帰ってきたお母さんに僕はそう言ってすり寄って行ったのだった。「御主人ったら、又僕の世話もしないで何処かへ出かけていったんだよ。トラックで出かけたから、飲みに出かけた訳じゃないと思うけれどね」と、主婦の井戸端会議の様な口調で飼い主に対する愚痴をこぼしたのだった。今日も御主人は、すぐ帰ってくると僕に言い残したままトラックで街へ向かった。何でも交通安全の会議があるのだと言う。このようにして置き去りにされた僕は、腹ぺこのまま、お母さんかお兄さんの帰りを待つしか自分自身を救う手だてはないのであった。幸いお母さんが帰ってきたので、御飯だけはもらえたので良かったよ。そして、「すぐ帰ってくるからな」といった飼い主本人が帰ってきたのは、僕がその言葉を聞いた3時間後なのであった・・・・

7月13日 くもりのちはれ
夕方散歩に行ったら、田んぼにお母さんがいた。僕達が散歩に出たあとに、お母さんも1人で散歩に出かけてきたらしい。少し離れた所から声をかけられたので振り向いた。いってみようかなって思ったけれど、いってもおやつをくれる様な状況じゃないみたいなので、行かなかった。でも、少しの間迷ったんだ。何度も何度も振り向いては考え直した。御主人も「行くか?」と聞いてくれたけれど、この言葉をきっかけにして、ぼくは足を家の方に動かしたのであった。・・・・・・・・

7月12日 くもり
毎日梅雨空が続く・・・
ところで、今日も夕方散歩と御飯をもらえなかった。御主人からであるけれど、その替わり、お母さんが土曜日で家にいたので助かった。と、いうわけで当たり前に御飯がもらえたのだ。今日の御主人は、隣の藩のお祭りの警備にいった。隣の藩「岩城藩」という。我が家は「本荘藩」で前者は1万石、こちらは2万石と、いずれも小大名である。まぁ、江戸時代の話であるけれど。で、隣の藩のお祭りの警備なのだが、今は、町村合併で同じ自治体になってしまったので、前は行かなくても良かった所へ警備に行かなければいけなくなってしまったのだった。距離にして20キロメートル余りだけれど、警備時間も入れて5時間と長丁場である。17時前から出かけていって帰ってきたのが22時半である。疲れて帰ってきた御主人を見ると、さすがの僕も御飯と散歩に連れて行ってもらえなかった恨みも忘れて、お帰りの踊りを踊って見せて出迎えたのであった・・・

注・・・お帰りの踊りとは、飼い主が帰ってきた時に、うれしさのあまり、大喜びではしゃいで見せ、そこいら中をかけずり回る動作をいう。

7月11日 くもり
最近の御主人は忙しい。飼い犬の世話などそっちのけである。今日は夕方散歩と御飯をもらえなかった・・・・もっとも、遅く帰ってきたお母さんから御飯だけはもらったけれどね。飼い犬の世話を怠るのは「動物保護法」に違反していると思うのだけれど、訴えるつもりはない。御主人には、すでに罰が当たったからだ。夜遅く帰ってきた御主人は、土砂降りの中をずぶ濡れで帰ってきたのである。出かける時は曇りだったし、雨も降らないという予報だったらしい。けれど、お話しした通りになってしまった。天の神様は飼い犬のために胸の空く様なことをしてくれた。そうでなかったら、僕が飼い主に噛みついてやる所だったのに・・・

7月10日 くもりのちあめがぱらぱら・・
最近の散歩は、僕が完全にリーダーシップを取っていると言っても過言ではない。何しろ、僕が気になる匂いを見つけた時は、御主人がいくら散歩紐を引こうが、どうしようが、僕が首を「グイッ」と引っ張って、だだをこねれば、御主人は僕に従わざるを得ないのである。そんなことが散歩中には何度かある。御主人は僕に文句を言いながらも従っている。今や飼い犬と飼い主の逆転現象が起きている。地球も、物価もこんな事になっている様だから、犬と人間の関係も完全に逆転することだっていつかあるよね。

注・・・SF小説で犬が地球を支配しているというものがあった様な気がする。「なんとか都市」とか、都市という題名が付く様な気がする。と、犬より記憶力が弱くなったご主人の談であった。

7月9日 うすぐもり
湿度が高い、気温が高い。時々、雨が降る。いよいよ梅雨らしい天気になってきた。この状態を乗り切れば「日本の夏」がまっているぞ!!と、御主人は言う。夏が大好きな御主人はそういうけれど、犬にとっては「地獄の季節」を迎えることになる。何しろ毛皮をまとっているので、「暑さの我慢大会」を毎日している様なものなのである。
ところで、この所、田んぼでは毎日「赤とんぼ」の羽化が始まっている。赤とんぼたちは、今頃に田んぼの中で羽化をして、夏の暑い季節は山の中の涼しい所で避暑をして、お米の収穫時期になると里へ戻ってきて相方を見つけて産卵するのである。犬にとっては優雅な一生とうらやむしかない。ただ、その一生が1年にも満たない短さなのが切ない・・・・

7月8日 くもり
犬は記憶力が弱い。「あれをしては駄目、これをしては駄目」と、様々に叱られることが多い。叱られている時は、神妙な顔をして「恐れ入りました。ごめんなさい」と御主人のお叱りを聞いているのだけれど、終わってしまえば、今なぜ叱られていたのか忘れてしまうのだ。それを、さらにクドクド叱られると、「ぼくは何も悪いことをしていないのに叱られている」と犬は思ってしまって、ひねくれた犬になってしまう恐れがある。だから、犬を叱る時は、悪いことをした直後に、その場で一言二言叱るだけで良いのだ。もっとも、たいした効き目はないと思うのだけれどね。

7月7日 あめのちくもり
今日は「七夕」という行事らしいけれど、家では七夕なんてやった事はないという。笹竹に願い事を書いた短冊をぶら下げてお星様にお祈りをすると言うだけの事である。いわば「星祭り」なのだろう。それに、特においしい物を食べるわけでもないようだ。今日は、曇っているのでお星様も見えないから、お祭りは出来ないのかも知れない。その替わり、ホタルが夜になると光を出しながら飛ぶ姿が見られる様になったので、こっちをお星様の代わりに眺めると良いかも知れない。昨日の夜も、僕と御主人と夜に田んぼへ歩いていったんだ。蒸し暑かったからね。そしたら一匹だけ光っているホタルを見つけたよ。
最も、この「星祭り」は旧暦で言えば秋に当たる行事らしいので梅雨のさなかに、笹竹に短冊を下げて願っても御利益はないことだろうとおもう・・・・

7月6日 はれたりくもったり
今日は気温が31度にもなった。まだ梅雨も明けないのに、いよいよ夏本番と言った所だ。ところで、今日の僕は夏には嬉しい「行水」というのをやってもらった。こういう風に書いてみると涼しげだけれど、本当はシャンプーなのだ・・・・いつもの様に、いつもの行動で、いつもの動作・・・・毎度この日記に書いているので、ここに書かなくても想像はできるだろう・・・・シャンプーが終わったあとは、身体を拭いてもらうのが嫌いなので逃げ回り、すぐトラックの下に潜り込んだ。ところが御主人に引っ張り出されてしまった。その時は、もう身体の一部が泥んこになってしまっている。トラックの下にたまったホコリが僕の濡れた身体について泥んこになってしまったという訳なんだ。御主人に叱られながら、身体を拭いてもらった僕は、今度はトラクターの下に潜り込んでみた。でも・・・濡れた身体が気温31度の気温の中で「ムシムシ」と水蒸気を発して、蒸し風呂に入っている様な状態になってきた。地獄の苦しみである。
はぁぁぁ〜・・・毛皮を着ている動物にとって、夏は何かとやっかいな季節なのであった。

7月5日 はれたりくもったり
最近は、夕方5時になる市役所のオルゴールに合わせて、僕が美しい声で歌っても御主人は散歩に連れ出してはくれなくなった。当たり前と言えば当たり前なのかも知れない。今の時期、辺りが暗くなるのは7時半ぐらいになる。夕方五時と言えば、まだお日様が天高くあって、地上をギラギラと照らしている時間である。そんなときに、散歩に出かけたら僕の身体か燃え尽きてしまいそうになる。だから今頃の季節は、お日様が沈んだ頃を見計らって散歩に出かけるのだ。従って5時の時報が鳴ったからと言って御主人が僕のところへやってこないのは当たり前である。それに、田んぼから帰ってきた御主人は、畑の世話もあるので僕の世話は後回しになってしまう。飼い犬の世話は少々手抜きをしても、野菜や田んぼの世話はまめにしないと盛夏になって実ったおいしい物が食べられなくなるので、御主人にとっては切実な問題なのであった・・・・

7月4日 あめのちくもりときどきあめ
今日の夕方散歩は、御主人には珍しく、雨が降り出す前に出かけて途中で「降りそうだ!!」という御主人の直感を信じて、僕も素直に足の向きを変えて家路をたどったのである。いつもなら、「帰るぞ!!」と言われて素直に「はい、そうですか」と従った試しがない。それが、今日は僕としても「虫が知らせた」のか、素直に従った所が偉い!!そして、家に入る直前に大粒の雨が激しく降ってきて、僕達は危うくずぶ濡れになるのを免れたのであった。近年まれに見る御主人の「間の良さ」なのであった。

7月2日 はれ
何はともあれ、御主人のお話は真剣に聞かなければならない。時には真剣に聞いているふりをしなくてはならない。御主人は、僕が人間であるかの様にお話をする。僕も人間語はわかるというものの「単語」とか理解できない。だから、会話というもののほとんどが理解不能である。だけど、御主人の話を聞いていて、首をかしげたり、興味がある様な顔をしたりと大変なのである。最も、興味がある様な顔をする時は、理解できる単語が御主人の口から出た時である。あとは首を→左に傾けて、話を聞いていて、「なるほど、なるほど」と聞き入った様な恰好をしているだけなのだ。そうすると御主人も「自分の話を飼い犬は聞いてくれたんだ」という思いこみに陥って満足するのである。長年飼い犬をやってきているからこそ、出来る業なのである。飼い主に、いかに満足してもらえるかで、飼い犬の評価が決まるのである。最も、僕だって100点満点の飼い犬ではないけれどね。

7月1日 はれ
うっかり忘れていたけれど、今日は薬を飲まされる日だった。薬とは、言うまでもない「フィラリァの薬」、蚊を媒介として、それにさされるとフィラリァという寄生虫の卵が犬の血液の中に入り込み、いつの間にか成虫になって心臓に巣くって犬の寿命を早める恐ろしい虫である。これを予防するための薬をぼくは毎月一日に飲まされる。毎度の如く「飲め」、「飲まない」の争いが続く事は、この日記でもたびたびお話をしてきた。ところが、今日は、自分でも驚いた事に、寸なのと薬が胃袋の中に収まってしまっていたのだ。「いたのだ」という過去形を使うからには、僕自身薬を飲まされたという感覚がなかったからだ。さて、御主人は、どんな手段で僕に気付かれない様に薬を僕の胃袋に送り込んだのであろうか・・・・この続きは、明日・・・・と言うわけにはいかないだろう。早い話が、僕の大好きな食べ物に隠されて口の中に入った訳なんだ。これは、あとで御主人から種明かしを聞かされたんだけれど、お肉の塊と一緒に口の中に放り込まれたんだよね。犬は好きな物を食べる時はろくに噛まないで飲み込んでしまうから、薬を飲ませる側にとっては好都合な食べ物なんだ。